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オラパリブがTP53破壊的遺伝子変異陽性卵巣がんの全生存期間延長

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オラパリブがTP53破壊的遺伝子変異陽性卵巣がんの全生存期間延長

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ESMO2017

卵巣がん患者のBRCA遺伝子およびTP53遺伝子を分析したところ、TP53破壊的遺伝子変異がある場合にolaparib[オラパリブ]で全生存期間が延長されたことが示された

 

Olaparib[オラパリブ]とプラセボを比較した第2相臨床試験データを分析したところ、オラパリブがTP53遺伝子の状態に関係なくBRCA遺伝子変異を有するすべての患者の全生存期間を延長したほか、BRCA遺伝子が野生型で、TP53 DNA修復遺伝子に破壊的変異を有する患者の全生存期間も延長した。この知見は、スペインのマドリードで開催されたESMO2017欧州腫瘍学会年次総会で発表された。

 

筆頭著者であり、スペインのバルセロナにあるInstituto Oncologico Dr Rosell, Hospital Quirón腫瘍内科所属のAlejandro Martinez Bueno氏ら研究者は、プラチナ製剤を含む化学療法を受けた後にオラパリブまたはプラセボを受けている卵巣がん患者195人において、TP53の状態(破壊的か非破壊的か)と全生存期間との関係を評価した。全生存期間および無増悪生存期間が、TP53遺伝子変異とBRCA遺伝子変異の有無別に調査された。

 

オラパリブはDNA一本鎖切断の修復に重要なPARP阻害剤である。細胞分裂の間に二本鎖切断が生じることがあり、これが細胞にとって致死的になる。腫瘍細胞のいくつかの種類は二本鎖切断を修復する相同組換え経路に欠損があり(例えばBRCA1およびBRCA2の遺伝子変異)、欠陥のあるDNAを有する細胞が生き残ることを可能にしてしまう。

 

研究者らは、Foundation Medicineに保管されていたNCT00753545試験のデータおよび匿名の腫瘍試料を使用した。TP53の状態は、p53タンパクの機能および構造の障害の程度に応じて破壊的と非破壊的に分けられた。特に、TP53破壊的遺伝子変異は、p53タンパクのDNA修復活動の重大な障害と関連する。

 

オラパリブによる全生存期間延長は、BRCA野生型、TP53非破壊型を有する患者を除き、すべての患者群に認められた

 

研究者らは、2016年5月のデータ切断時点において、95人の患者がTP53破壊的遺伝子変異を有し、100人の患者がTP53非破壊性腫瘍を有すると判定した。

 

BRCA遺伝子変異陽性、BRCA野生型のいずれの集団の分析においてもオラパリブによる有意な無増悪生存期間延長効果は認められず、またTP53破壊群とTP53非破壊群の無増悪生存期間のハザード比(HR)が同等であることが明らかになった。

 

しかし、全生存期間に関しては、BRCAの状態によって、TP53破壊群とTP53非破壊群の比較は異なる結果を示した。

 

TP53破壊的遺伝子変異陽性患者群は、オラパリブで統計学的に有意に全生存期間が延長された。これらの患者のうち、プラセボ群の全生存期間中央値が24.0カ月だったのに対してオラパリブ群の全生存期間中央値は39.5カ月で、ハザード比は0.57(95%信頼区間[CI] 0.35,0.92)であり、TP53非破壊群での比較ではハザード比0.73(95%CI 0.46,1.15)であった。

 

BRCA状態で分析したところ、BRCA遺伝子変異を有する108人すべての患者が、TP53の状態とは関係なくオラパリブによる全生存期間延長が得られたことを示したが、TP53破壊群では全生存期間の延長がより顕著な傾向であった(18カ月対7.5カ月)。

 

BRCA野生型群に属するTP53破壊的遺伝子変異陽性患者がオラパリブ治療を受けたところ、全生存期間が35.0カ月だったが、プラセボを受けた同様の患者の全生存期間は25.5カ月だった( n= 47、ハザード比 0.80 [95%CI 0.40,1.52])。

 

BRCA野生型およびTP53非破壊的遺伝子変異を有する患者40人のみが、オラパリブ治療からの利益を得られなかった(ハザード比 1.58(95%CI 0.77,3.35))。

 

しかし、著者らは、いくつかのサブグループについては患者数や事象数が少なく、より大きな患者集団でさらなる検証が必要であると表明している。

 

NCT00753545研究の結果は、BRCA遺伝子変異陽性の再発上皮卵巣がん患者に対するプラチナ製剤を含む化学療法奏効後の維持療法として、オラパリブが欧州において承認される根拠となった。

 

結論

TP53破壊的遺伝子変異を有する患者全員において、オラパリブ治療により全生存期間が有意に延長した。すべてのBRCA遺伝子変異陽性患者は、TP53の状態にかかわらず、全生存期間延長が認められたが、TP53破壊的遺伝子変異陽性の場合、全生存期間がより長く延長された(18カ月対7.5カ月)。BRCA野生型患者では、TP53破壊的遺伝子陽性患者のみがオラパリブによって全生存期間が延長すると思われる。この事後検診分析の結果は注意深く解釈されるべきであり、より大きな患者集団におけるさらなる検証が必要である。

 

情報開示

この研究のために外部から資金提供されたとの報告はない。

 

参照

LBA42 – Martinez Bueno A, et al. Disruptive mutations in TP53 associate with survival benefit in a PARPi trial in Ovarian Cancer.

原文掲載日

翻訳関口百合

監修原野謙一(乳腺・婦人科腫瘍内科/国立がん研究センター東病院)

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