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ニボルマブが非小細胞肺がんに対し有意な効果を示さず

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ニボルマブが非小細胞肺がんに対し有意な効果を示さず

カリフォルニア大学サンフランシスコ校

CheckMate026試験では、二ボルマブは化学療法と比較したときの無増悪生存期間の延長に関連しなかった

 

トピック:肺がんおよび他の胸部腫瘍、がんの免疫学および免疫療法、抗がん剤および生物学的製剤療法

 

CheckMate026試験では、PD-L1発現率5%以上で治療歴のないステージIVあるいは再発性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対して、二ボルマブは化学療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することに関連しなかった。全生存期間(OS)は両群で同様であった。The New England Journal of Medicine (NEJM)誌の2017年6月22日号で、臨床試験責任医師は、安全性プロファイルでは二ボルマブは化学療法と比較して結果が良好であり、新たなまたは予期しない安全性シグナルはなかったと報告した。

 

背景として、2つの第3相臨床試験では、プラチナベース化学療法の治療中あるいは治療後に病勢が進行した転移性NSCLC患者のOSがドセタキセルよりも二ボルマブで有意に延長したと著者は説明した。利益はPD-L1発現率にかかわらずみられたが、PD-L1発現が増加している非扁平NSCLC患者に対しては利益が増大した。

 

多国籍ランダム化非盲検第3相臨床試験であるCheckMate026試験(ClinicalTrials.gov登録番号NCT02041533)で、臨床試験責任医師らは、PD-L1陽性のNSCLC患者に対して二ボルマブによる初回治療と化学療法とを比較した。

 

NEJM誌によると、彼らはPD-L1発現率5%以上のステージIVあるいは再発NSCLC患者(主要有効性解析母集団)およびPD-L1発現率1%以上の患者(副次的有効性解析母集団)に対する初回治療として、プラチナベース化学療法と比較した二ボルマブの有効性と安全性を報告した。また、腫瘍の遺伝子異常総量が治療成績に及ぼす影響を評価する探索的解析について報告した。

 

試験責任医師らは、二ボルマブを投与する(体重1kgにつき3mgを2週間ごとに1回静脈内投与する)群と、プラチナベース化学療法(3週間ごとの投与を最大6サイクルまで実施する)群に、患者を1対1の割合で割り付けた。化学療法群の患者は病勢が進行した時点で二ボルマブ群へのクロスオーバーが可能であった。

 

主要評価項目はPFSとし、PD-L1発現率5%以上の患者が盲検下の独立中央判定によって評価された。

 

臨床試験に登録された患者1325人のうち541人(41%)をランダム化し、271人を二ボルマブ投与群、270人を化学療法群に割り付けた。PD-L1サンプルが評価できない、PD-L1発現率が1%未満、あるいは臨床試験の他の基準に満たないという理由で、計784人(59%)の患者はランダム化されなかった。スクリーニング期間中、PD-L1の発現率が評価可能であった患者の71%がPD-L1発現率1%以上と評価された。合計で530人の患者(ランダム化を受けた全患者の98%)が治療を受けた。

 

PD-L1発現率5%以上の患者423人では、PFS中央値は二ボルマブ群で4.2カ月、化学療法群で5.9カ月(病勢の進行または死亡に対するハザード比 [HR]= 1.15、 95% 信頼区間 [CI]= 0.91- 1.45、 p = 0.25)、OS中央値は二ボルマブ群で14.4カ月、化学療法群で13.2カ月(死亡に対するHR= 1.02、 95% CI= 0.80- 1.30)だった。

 

探索的解析は312人の患者(ランダム化された患者の58%)で実施され、腫瘍の遺伝子異常総量が及ぼす影響を評価した。腫瘍の遺伝子異常総量が多い患者の割合は、治療群間で不均衡だった(二ボルマブ群30%に対し化学療法群39%)。

 

腫瘍の遺伝子異常総量が多い患者では、二ボルマブ群が化学療法群よりも奏効率が高く(47%対28%)、PFSも長かった(中央値9.7カ月対5.8カ月、病勢の進行または死亡に対するHR = 0.62、 95% CI= 0.38 – 1.00)。OSは腫瘍の遺伝子異常総量にかかわらず両群で同様だった。しかしながら、化学療法群の腫瘍の遺伝子異常総量の多い患者のうち68%が、治療のクロスオーバーか臨床試験後の二ボルマブへのアクセス、またはその両方のため、続けて二ボルマブを投与された。腫瘍の遺伝子異常総量とPD-L1発現率の間に有意な関連性は見られなかった。しかしながら二ボルマブ群では、腫瘍の遺伝子異常総量が多くPD-L1発現率が50%以上の患者は、いずれかの因子のみを有する患者や、いずれの因子も有さない患者よりも奏効率が高かった(75%)(腫瘍の遺伝子異常総量のみの患者32%、PD-L1発現率が50%以上のみの患者34%、いずれの因子も有さない患者16%)。しかし、この比較は統計的解析には検定力をもたなかった。

 

腫瘍の遺伝子異常の観察に関する所見として、これは事前特定されない探索的解析であり、データは仮説によるもので前向きな確認がさらに必要である、と著者らは述べている。

 

治療のクロスオーバー

 

化学療法群212人の患者のうち128人(60%)に再治療として二ボルマブを投与した。

 

著者らは次のように述べた。「治療歴のある進行NSCLC患者の生存期間が二ボルマブの治療により延長されることを考慮すると、二ボルマブによる再治療が高頻度に行われていたことが化学療法群の良好な全生存期間に寄与した可能性があります。さらに、ベースライン時の患者の特徴が不均衡であったことが、より良好な予後に関連する特徴(すなわち肝臓への転移が若干少ない、腫瘍の遺伝子異常総量が少ない、女性の割合が高い)を有する化学療法群に有利であった可能性もあります。振り返ってみれば、二ボルマブの奏効に影響を及ぼす2つの因子(PD-L1発現率50%以上で腫瘍の異常総量が多い、女性の割合が高い)を有する患者の割合が、化学療法群より二ボルマブ群では低かったことも、二ボルマブ群には不利に働きました。

 

さらに注目すべき点が2つあり、本試験では放射線療法の治療歴がある患者の割合が高く(39%)、診断からランダム化までの期間の中央値が約2カ月でした」。

 

副作用

 

グレードを問わず治療に関連する有害事象がみられたのは、二ボルマブ群の患者で71%、化学療法群の患者で92%だった。グレード3または4の治療に関連する有害事象は、二ボルマブ群の患者18%、化学療法群の患者の51%にみられた。

 

CheckMate026試験とKEYNOTE-024試験の違い

 

KEYNOTE-024試験は、前向きデザイン試験であるDako22C3によりPD-L1発現率50%以上と判定されたNSCLC患者に対する初回治療としてのペンブロリズマブの役割を確立した。PFS中央値はペンブロリズマブ群で10.3カ月、化学療法群で6.0カ月だった。奏効率はペンブロリズマブ群で45%、化学療法群で28%だった。

 

PD-L1発現率50%以上の患者に対する治療の有効性を比較する解析は、CheckMate026試験では事前に設定されなかった。この2つの臨床試験は、PD-L1腫瘍発現を評価する測定法、放射線治療の治療歴に関連する基準、試験中の糖質コルチコイドの使用、および両群における患者の特性の不均衡さ(CheckMate026試験では性別、および免疫療法群での患者の非喫煙率がKEYNOTE-024試験では3%であり、CheckMate026試験の11%よりも低かった)という点でも異なっていた。

 

CheckMate026試験は、Bristol-Myers Squibb、ONO Pharmaceutical、米国国立衛生研究所Cancer Center Support Grant (CA016672, to MD Anderson Cancer Center [Dr Blumenschein])および Hollings Cancer Center K12 Paul Calabresi Career Development Grant (K12 CA157688, to Dr Wrangle)から助成を受けた。研究チームはDakoスタッフのPD-L1 IHC 28-8 PharmDx測定法の開発の協力に対して感謝を述べている。

 

 

原文掲載日

翻訳宮本満里

監修稲尾崇(呼吸器内科/天理よろづ相談所病院)

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