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COX-2阻害薬と抗PD1免疫療法薬併用でIDO1発現に効果

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COX-2阻害薬と抗PD1免疫療法薬併用でIDO1発現に効果

米国がん学会(AACR)

COX-2 阻害薬の追加投与により抗PD1免疫療法薬に対する反応性が改善するが、その理論的根拠が研究で得られた

 

前臨床研究においてタンパク質であるインドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO1)を恒常的に発現する腫瘍はシクロオキシゲナーゼ 2(COX-2)阻害薬であるセレコキシブ(Celebrex[セレブレックス])に反応し、特定のT細胞サブセットが腫瘍に侵入しやすくなり、抗PD1療法に反応する可能性がより高くなったことが米国がん学会(AACR)の学会誌であるCancer Immunology Research誌で発表されたデータにより明らかになった。

 

「がん免疫療法における重要な課題は、一部の患者は免疫療法に反応するのにそれ以外の多くの患者が反応しない理由を理解することにあります」、とルートヴィヒがん研究所、およびベルギー、ブリュッセルにあるルーバン・カトリック大学のBenoit J. Van den Eynde教授(医学博士)は述べた。また、「その理由が分かれば、治療が有益である患者のみを選択・治療することができます。最も重要なことは、現在免疫療法が奏功しない患者で免疫療法を奏効させる戦略を考案することができるようになることです」、とも述べた。

 

多くの腫瘍は、免疫攻撃から自身を防御するシールドとしてIDO1を利用している、とVan den Eynde教授は説明した。その腫瘍の一部はT細胞の攻撃を受けている最中にシールドの構築・利用を開始する。このことを適応耐性(adaptive resistance)という。そのような腫瘍において、IDO1の発現は炎症およびT細胞侵入に関連している。

 

しかし、腫瘍によってはIDO1を恒常的に(絶えず)産生し、あらゆる免疫攻撃開始前からそのシールドを準備・利用しているものもある。そのような腫瘍は完全防御されており、すぐさまT細胞を機能不全にすることができる。これにより、T細胞の攻撃を予防する。「これは我々が内因性耐性(intrinsic resistance)と呼ぶもので、これにより一部の腫瘍が“cold”、つまりT細胞の侵入を受けない理由の説明ができるかもしれません」、とVan den Eynde教授は述べた。

 

また、「一部の腫瘍にIDO1を恒常的発現させる分子的機序を理解したいと思っていました」、と付け加えた。

 

Van den Eynde教授らは、2種類のメラノーマ(悪性黒色腫)細胞株を利用し、COX-2およびその産生物であるプロスタグランジンE2(PGE2)が MAPK、PKC、およびPI3K細胞シグナル伝達経路を利用してIDO1を恒常的に発現させることを初めて実証した。メラノーマ(悪性黒色腫)細胞株以外のヒト腫瘍細胞株(肺、卵巣、頭頚部がん細胞株など)でもこれらの結果と同じ結果が得られた。「これらのデータにより、COX-2はIDO1の恒常的発現を通じて腫瘍誘発性免疫抑制を引き起こすという証拠が得られました」、とVan den Eynde教授は述べた。

 

次に、Van den Eynde教授らは、免疫不全マウスにヒトリンパ球を用いて免疫系を再構築し、IDO1を恒常的に発現するヒト卵巣腫瘍異種移植片を植え付けたところセレコキシブおよびIDO1阻害薬であるepacadostatに対して反応したことを明らかにした。COX-2 阻害薬およびIDO1阻害薬で認められた結果はほぼ同じであり、このことには驚きました」、とVan den Eynde教授は述べた。また、「2種類の異なる作用機序を用いて同じシグナル伝達経路に作用する化合物が2種類あることは常にきわめて有益です。腫瘍がある化合物に抵抗性を示しても、それ以外の化合物には感受性のままである可能性があるからです」と述べた。

 

研究チームは、ブロード研究所より得たヒト腫瘍細胞株1,041株のトランスクリプトームデータを検討し、複数のがん種(胃がん、膵がん、肝がん、肺癌、および肉腫など)において、IDO1発現とCOX-2/PGE2経路との間に相関性を認めた。

 

「本研究により臨床現場で抗PD1免疫療法薬とCOX-2 阻害薬の併用を検証する明確な理論的根拠が得られました」、とVan den Eynde教授は述べた。また、「抗PD1阻害薬およびCOX-2 阻害薬の両方は、すでに別の目的での臨床使用に関して承認を受けています。このことを考えると、臨床現場での検証をすぐに行うべきです」、と述べた。研究チームによる初期解析では、腫瘍タイプにより10~50%のヒト腫瘍がIDO1を恒常的に発現していることが明らかになった。

 

本研究は、ルートヴィヒがん研究所、Walloon Excellence in Life Sciences and Biotechnology社(WELBIO、ベルギー)、FNRS-Télévie (ベルギー)、Foundation Against Cancer (ベルギー)、de Duve Institute 、およびルーバン・カトリック大学の資金提供を受けた。利害関係:Van den Eynde教授はIDO1阻害薬を開発するバイオテクノロジー会社であるiTeos Therapeutics社の所有権を有する。

原文掲載日

翻訳三浦恵子

監修野長瀬祥兼(腫瘍内科/近畿大学医学部付属病院)

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