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放射線化学療法併用療法は頭頚部癌に優れた効果の可能性

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放射線化学療法併用療法は頭頚部癌に優れた効果の可能性

米国国立がん研究所(NCI) 臨床試験結果

Combined Therapy May Offer Advantage in Head and Neck Cancer
(2004/6/2)術後放射線に加え、化学療法治療を受けた頭頸部癌患者は、術後放射線のみの患者に比べ、再発がより少なく、無病期間が長いと2つの無作為臨床試験で示された。

 

要約
術後放射線治療に加えて化学療法を施行した頭頸部癌の患者は術後照射単独の治療患者よりの再発が少なく、無病生存率が長かったということが、2つの無作為臨床試験で示されました。しかしながら、化学療法を施行した患者は施行しなかった患者より副作用の発現率が高かったのです。2つの臨床試験のうちひとつしか、化学療法を加えた患者の生存期間の延長を示しませんでした。

 

出典   New England Journal of Medicine, May 6, 2004.

 

背景
進行した頭頚部癌の患者は放射線治療に加え化学療法を施行される場合もあれば、手術とその後引き続いて放射線治療が施行される場合もあります。もし、治療として手術が選択されると、その周囲の健常組織も切除されるでしょう。頚部リンパ節も切除されるかもしれません。手術の後、放射線治療が施行される場合もあります。初期の治療にも関わらず、約10例のうち3例で頭頸部癌の患者では局所再発します。約25%の患者で、最終的には他臓器転移を起こします。

 

もし、リンパ節転移があったり、周囲組織への浸潤があったり、最初の手術で摘出した組織の辺縁に近接して癌が進展していた場合は、癌の再発の危険性が高いです。このようなリスクを持つ患者の5年生存率は約40%です。従来の報告では、腫瘍が極めて大きく外科手術が不可能な患者には化学療法(特にシスプラチンでの治療)と放射線治療併用はよりよい治療であり、頭頚部癌手術を受けたが再発リスクの高い患者には予後を改善するかもしれないことが示唆されています。シスプラチンのもう一つの効果として、放射線治療に対する身体の感受性を高めることがあります。

 

試験
最新の試験はヨーロッパで一つ、そして米国で一つ施行されました。

 

ヨーロッパでの試験:この試験の主要目的は放射線治療と化学療法を行うこと( すなわち併用療法)で、放射線単独治療と比較して患者の病状が進行するまでの期間を延長できるかどうかを調べることです。334例が、術後放射線単独治療群と、術後放射線化学療法併用群とに無作為に割り付けられた。追跡期間の中央値は5年です。 Oncology Institute of Southern SwitzerlandのJacques Bernier, M.D., Ph.Dが研究チームを率いました。(プロトコール要約参照)

 

米国での試験;この試験の主要目的は、併用療法が局所再発率を減らすことがで きるかどうかを調べることです。459例が、術後放射線単独治療群と術後放射線化学療法併用群とに無作為に割り付けられました。照射線量と化学療法の量はヨーロッパでの試験と同じですが、追跡期間の中央値は若干短く4年でした。New York University Medical CenterのJay S. Cooper, M.Dが研究チームを率いました。(プロトコール要約参照)

 

結果
ヨーロッパでの試験
:研究者は、併用療法を受けた患者では病状進行までの期間 の中央値は55ヶ月であると推定されました。これに対して、放射線単独療法の患者では病状進行の中央値は23ヶ月でした。 併用療法群では病状進行なしでの5年生存率は47%と推定されたのに対し、放射線単独治療群では36%と推定されました。全体としては、放射線単独治療群の5年生存率が40%であったのに対し、併用療法群は53%と推定されました。 併用療法を受けた患者は、疼痛、筋肉のこわばり、嚥下困難などの副作用がより高頻度でした。放射線単独治療群では口内乾燥の頻度がより高かったです。(論文抄録を参照)

 

米国での試験:登録に不適切と研究者により判断された43例がこの研究の集計から外されました。残りの416例で、放射線単独治療群の局所再発率は30%なのに対して、併用療法群は19%でした。無病生存率は併用療法群の方が有意に長くなりました。

 

しかし、全生存率は両群ともほぼ同じでした。白血球減少、嘔気、嘔吐のような重度の副作用は放射線単独治療群の34%に対して、併用療法群は77%で発生しました。(論文抄録を参照)制約事項米国国立癌研究所のCenter for Cancer Researchの腫瘍内科医であるBarbara Conley博士は、ヨーロッパの試験の追跡期間の中央値が5年なのに対して、米国の追跡期間の中央値が4年以下であるということを指摘しています。

 

シスプラチンによる副作用は、化学療法3コースを完遂した試験で、ヨーロッパの試験では50%、米国では60%と非常に高頻度の発現率であったことをConley博士はつけ加えています。付記された論説で、英国のMount Vernon HospitalのMichele I. Saunders 博士とAnaM. Rojas博士は併用療法により受けた恩恵にも関わらず、約30%の患者で局所再発を起こすと述べています。さらに、どちらの試験でも、併用療法が多臓器への転移のリスクの軽減させたという事を示せなかったとConley博士は付け加えました。

 

コメント
『私はこれらの試験の結果から、高リスクの頭頚部癌患者での術後補助療法(手術後に追加する治療)の新たな標準的な対処を確立したものだと考えています』と、米国国立癌研究所のConley博士は語りました。しかしながら彼女は、 併用療法がすべての患者にとって適当なわけではないと警告しています。『比較的高用量のシスプラチンとともに毎日放射線治療を受けられるだけの状態でなければなりません。』、『この治療方針がもっとも有用な患者を選び出すにはしばらく時間がかかるでしょう。そしてさらに生存率を改善する治療を見出すためには、さらなる研究が必要です』とConley博士は主張しています。

 

(平 栄(放射線腫瘍科) 訳)

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