非ステロイド性抗炎症薬が大腸がんサバイバーの生存率向上 | 海外がん医療情報リファレンス

非ステロイド性抗炎症薬が大腸がんサバイバーの生存率向上

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

非ステロイド性抗炎症薬が大腸がんサバイバーの生存率向上

フレッドハッチンソンがん研究センター

Journal of Clinical Oncology 誌で発表された知見は、NSAIDががんのサブタイプや薬物使用のタイミングに関して恩恵を与えることを示した。

 

長期の大腸がんサバイバーの間で、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用により総死亡率を約25%低下したことがJournal of Clinical Oncology誌の6月15日付け電子版で発表されたフレッド・ハッチンソンがん研究センターの新たな研究で明らかになった。

 

本試験はさらに、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンなどのNSAIDには、KRAS遺伝子変異のない大腸がん(KRAS野生型腫瘍)と診断された後に服用すると、特に優れた効果があることを示唆している。本試験は、この群でのNSAIDの使用が40%も延命効果を高めることにつながることを示す。大腸がんは、米国でがん関連死因では第2位であり、本試験の大腸がん患者の約70%がKRAS遺伝子変異のないがんを有していた。

 

「複数の他試験からNSAIDと大腸がん予防との間に関連性があることがわかっていますが、本試験は診断時からみたNSAID使用のタイミングとがん種が、どのように生存に大きな差をもたらすのかを徹底的に検証した初めての試験でした」と、フレッド・ハッチンソンがん研究センター公衆衛生部門の疫学者である本研究統括著者Polly Newcomb医師は述べた。「これらの結果によって、患者と医師の間で話し合いが活発になるはずです。NSAIDの使用は、心血管疾患予防方法として認められており、がん対策の手段としてのNSAIDも同様の検討や研究に値します」。

 

今回の観察研究では、米国、カナダ、オーストラリアの大腸がん患者から生活習慣、家族歴、診断情報を収集する国際コンソーシアムであるColon Cancer Family Registryから、新たに診断された患者2,419人のデータを用いた。研究者らは、患者を4群に分けた。診断後も診断前と同様に薬剤を服用していた群、診断後に薬剤服用を始めた群、診断後に薬剤服用を中止した群およびまったく薬剤服用していない群である。研究者らはまた、がんの変異およびがんの種類を特定するため患者検体の遺伝子型を決定するがんマーカー検査を用いた。

 

本試験は、フレッド・ハッチンソンがん研究センターおよびその他3施設で実施した。ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨークリニック、カナダのトロントにあるCancer Care Ontario、およびオーストラリアのメルボルンにあるメルボルン大学である。診断後、患者を10.8年(中央値)追跡調査した。患者のうち、42%はアスピリン系、非アスピリン系を含む何らかのNSAIDを定期的に服用していた。

 

最も正確な結果を得るため、Newcomb医師と研究チームは、喫煙状況、家族歴、年齢、他の特性などの要因を調整した後、全生存率および疾患特異的生存率の両方に対するNSAID使用の潜在的関連性を確定するため統計解析を実施した。チームはNSAIDの種類と予後での差を発見し、その差はNSAIDの種類よりもむしろ服用量または服用期間などのさまざまな服用パターンによるものとした。

 

本試験の制約は、NSAID使用については患者の自己報告に依存していること、本試験の一般化可能性が長期の大腸がんサバイバーのみに適用可能であることなどがある。チームは今後の取り組みに人種的に多様な集団を組み入れることを推奨する。

 

「大腸がんと診断された一部の患者にとって、NSAID服用がどのようにして有益となる可能性があるかについて、理解が深まりました」と、本試験の筆頭著者でフレッド・ハッチンソンがん研究センターの疫学者であるXinwei Hua医師は述べた。「次に、KRAS遺伝子野生型がん患者でのNSAID使用の最適なタイミング、用量および期間をさらに正確に理解する必要があります。がんの分子経路でのNSAID使用を実証する生物学を理解し始めたばかりであり、非常におもしろいです」。

 

本試験の共著者は、フレッド・ハッチンソンがん研究センターのAmanda Phipps医師、Andrea Burnett-Hartman医師、Scott Adams医師、Sheetal Hardikar医師、Stacey Cohen医師およびJonathan Kocarnik医師、コロラド大学医学部およびGastroenterology of the RockiesのDennis Ahnen医師、アリゾナ州スコッツデールにあるメイヨークリニックのNoralane Lindor医師、ならびにノースカロライナ大学チャペルヒル校のJohn Baron医師である。

 

本試験は、米国国立がん研究所(NCI)から資金提供を受けた。筆者のScott Adams医師はCVSヘルス社およびギリアド社の株や所有権について報告しており、同じく筆者のJohn Baron医師はアスピリンの大腸がん化学的予防薬としての使用の特許について報告している。

原文掲載日

翻訳太田奈津美

監修高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害
  4. 4若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  5. 5がんに対する標的光免疫療法の進展
  6. 6コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  7. 7「ケモブレイン」およびがん治療後の認知機能障害の理解
  8. 8HER2陽性進行乳癌治療に対する2種類の新診療ガイド...
  9. 9ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  10. 10アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他