FDAがヒアルロニダーゼを一部のリンパ腫および慢性リンパ性白血病に承認

FDAがヒアルロニダーゼを一部のリンパ腫および慢性リンパ性白血病に承認

2017622日、米国食品医薬品局(FDA)は、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL、および慢性リンパ性白血病(CLL)の成人患者に対して、リツキシマブ+ヒトヒアルロニダーゼの併用(商品名:RITUXAN HYCELAGenentech Inc社)を承認した。

この承認では、リツキシマブの皮下投与により、静脈内投与では数時間かかる投与時間が57分に短縮できた。また、この新しい製品は固定用量で投与できる。

本併用は、リツキシマブ(商品名:リツキサン)で承認が得られている以下の適応症に対して承認されている。

・再発または難治性FLに対する単剤療法。

・未治療のFLに対する初回化学療法との併用療法、および化学療法との併用で完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を示した患者に対する単剤維持療法。

・シクロホスファミド+ビンクリスチン+プレドニゾン(CVP)の初回化学療法後の非進行性(病状安定を含む)のFLに対する単剤療法。

・未治療のDLBCLに対する、シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾン(CHOP)または他のアントラサイクリンベースの化学療法との併用。

・未治療および既治療のCLLに対するフルダラビン+シクロホスファミド(FC)との併用。

リツキシマブ+ヒアルロニダーゼ併用は非悪性疾患の治療には使用できない。

本承認は、以下に示す複数のランダム化臨床試験の結果に基づく。

(a) リツキシマブ(1,400mg)+ヒアルロニダーゼ(23,400単位)併用におけるリツキシマブのトラフ濃度(Ctrough)は、静脈内投与リツキシマブ(375mgm2)と比較して、非劣勢を示した。

(b) リツキシマブ(1,600mg)+ヒアルロニダーゼ(26,800単位)併用におけるリツキシマブのCtroughは、静脈内投与リツキシマブ(500mgm2)と比較して、非劣勢を示した。

(c)リツキシマブ+ヒアルロニダーゼ併用とリツキシマブ単剤の両製品は、同等の有効性および安全性を示した。試験結果は、添付文書に記載されている。

FL患者で最も多く見られた有害事象(20%以上)は、感染症、好中球減少症、悪心、便秘、咳、疲労であった。DLBCL患者で最も多く見られた有害事象(20%以上)は、感染症、好中球減少症、脱毛症、悪心、貧血であった。CLL患者で最も多く見られた有害事象(20%以上)は、感染、好中球減少症、悪心、血小板減少症、発熱、嘔吐、注射部位紅斑であった。

推奨される用量は、FLおよびDLBCLに対してはリツキシマブ1400mg+ヒトヒアルロニダーゼ23,400単位で、CLLに対してはリツキシマブ1600mg+ヒトヒアルロニダーゼ26,800単位である。投与スケジュールの詳細については、添付文書を参照すること。リツキシマブ+ヒアルロニダーゼ併用は、静脈内投与による標準用量のリツキシマブの投与少なくとも1受けた後に開始するべきである。

添付文書情報は以下を参照のこと:

https//www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2017/761064s000lbl.pdf

医療従事者は、医薬品および医療機器の使用との関連が疑われるすべての重篤な有害事象を、http://www.fda.gov/medwatch/report.htmのオンラインフォームへの入力、オンライン上の宛先フォームに料金受取人払いでFAX1-800-FDA-0178)または郵送、もしくは電話(1-800-FDA-1088)のいずれかの方法で、FDAMedWatch Reporting Systemに報告すること。

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翻訳担当者 西原 晋

監修 北尾章人(血液・腫瘍内科/神戸大学大学院医学研究科)

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