ライトタバコの使用が肺腺がんの増加に関連 | 海外がん医療情報リファレンス

ライトタバコの使用が肺腺がんの増加に関連

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

ライトタバコの使用が肺腺がんの増加に関連

オハイオ州立大学総合がんセンター

いわゆる「ライト」タバコも、喫煙者にとって健康上は何の利益もなく、むしろ肺の深部に発生する特定種類の肺がんの増加原因になっている可能性が、新たな研究で示された。

 

この新たな研究では、オハイオ州立大学総合がんセンター Arthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Institute (OSUCCC – James) および、その他の5つの大学、がんセンターの研究者が、喫煙者が禁煙できているにももかかわらず、この50年間で腺がんと呼ばれる最も一般的な肺がんが増加している理由を調べた。喫煙者が減るに従い、他の種類の肺がんは減少してきた。このため、現在では腺がんが最も多く見られるタイプの肺がんとなっている。

 

本研究の結果は、タバコ規制の研究者らが長年疑ってきたことを裏付けた。タバコ企業が長い間「より健康的な」選択肢と宣伝してきた、フィルターに通気孔をあけた「ライト」タバコも健康リスクを減らすことはなく、逆により大きな害をもたらしてきたことが示された。フィルターの通気孔は50年前に導入され、低タールタバコという宣伝文句のよりどころだった。

 

「喫煙者や公衆衛生関係者らをだまし、通期孔をあけたフィルターはより安全だと思わせたのです」と、オハイオ州立大学総合がんセンター次長で、肺腫瘍内科医のPeter Shields氏は述べた。「われわれのデータは、過去20年間の通気孔付きフィルタータバコと、肺腺がんの増加の関連を明確に示しています。特に心配なのは、今も吸われているタバコのほとんどに、こうした通気孔がついていることです」。

 

2009年に制定された「家族の喫煙予防とタバコ規制法」によって、米国食品医薬品局(FDA)はタバコ製品を規制する権限を与えられた。現行規則では、「低タール」または「ライト」という広告表示をタバコ会社に禁じている。しかし本研究の著者らは、この新たに得られたデータににもとづき、FDAは通気孔の使用の完全禁止を含めた規制を即時実施すべきだという。

 

「FDAには公衆衛生の観点から、タバコから通気孔をなくすという規制を即時に行う義務があります」と、Shields医師は言う。「そうした規制の実施にあたっては若干、複雑な面もありますが、規制に着手するのに十分すぎるほどのデータが揃っています。それにより普通のタバコの使用や毒性が減り、喫煙者が禁煙するか、害が多少なりとも少ない製品に切り替えるようになる。禁止することで、予期せぬ結果があるかも知れませんが、それはまた重要な研究テーマになるでしょう」。

 

試験設計と方法

肺がん、公衆衛生、タバコ規制に関わる研究者で構成されたチームが、既存の研究論文について包括的、多角的分析を行った。分析対象の論文には、化学および毒物学研究、ヒトを対象とした臨床試験、喫煙行動とがんリスクの両方に関する疫学的研究が含まれた。研究チームは査読付きの科学論文とタバコ企業の内部文書を調査した。

 

研究者らは肺腺がんの発生率上昇は、フィルターの通気孔に起因するという仮設を立てた。通気孔付きのフィルターだと、喫煙者がより多くの、高レベルの発がん物質や変異原性物質、その他の有害物質を含む煙を吸い込むことになる。

 

「フィルターの通気孔がタバコの燃焼を変化させ、より多くの発がん物質を発生させます。また通気孔のために煙が肺の深部まで到達できます。肺腺がんは、その肺の深部で頻繁に発生するのです」と、Shields医師は述べた。

 

現在までのところ、すべての科学的証拠は通気孔の追加による悪影響を示唆しているが、通気孔をやめさせるところまでいっていない。通気孔をなくすことで、タバコの習慣性またはタバコによる有害物質への曝露が高まらないことを検証するためのさらなる研究が必要である。オハイオ州立大学総合がんセンターのほか、ミネソタ大学のJamesらや、ロズウェルパークがん研究所、バージニア工科大学、ハーバード大学、サウスカロライナ医科大学の研究者らが、複数のヒトのバイオマーカー研究と肺における煙の分布、曝露との整合性について追加の研究を行っている。

 

本研究は、米国国立がん研究所および米国食品医薬品局タバコ製品センターから資金提供を受けた。本研究の共著者は次の通りである:OSUCCC – James researchers Min-Ae Song, PhD, Micah Berman, JD, Theodore Brasky, PhD, and Casper Woroszylo, PhD; Neal Benowitz, MD, University of California-San Francisco; Michael Cummings, PhD, Medical University of South Carolina; Dorothy Hatsukami, PhD, University of Minnesota; Vaughan Rees, PhD, Harvard University; Richard O’Connor, PhD, Roswell Park Cancer Institute; and Catalin Marian, PhD, of Victor Babes University of Medicine and Pharmacy (Romania).

原文掲載日

翻訳片瀬ケイ

監修廣田 裕(呼吸器外科、腫瘍学/とみます外科プライマリーケアクリニック)、

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1診療時の腫瘍マーカー検査は不要な可能性
  2. 2DNAシーケンシング試験により希少がんに既存薬の適用...
  3. 3ペムブロリズマブが治療歴ある進行再発胃がんに有望
  4. 4非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  5. 5リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  6. 6BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  7. 7コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  8. 8若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  9. 9EGFR陽性非小細胞肺がん一次治療にオシメルチニブが...
  10. 10ニボルマブ、進行肺がん一次治療では患者選択が必要ーC...

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他