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Tetrathiomolybdate(テトラチオモリブデイト)銅減少療法

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Tetrathiomolybdate(テトラチオモリブデイト)銅減少療法


珍しい病気のために開発された薬が、癌や自己免疫の治療薬としてさらに何百万人を救う可能性
多種の抗血管新生薬をリードするUMHS研究者ら

ミシガン大学プレスリリース 2003/9

 

Drug developed for
rare disease may help millions more as treatment for cancer, autoimmune
diseases
UMHS researchers leading dozens of studies on anti-angiogenesis
drug
 / The University of Michigan Health System
http://www.med.umich.edu/opm/newspage/2003/tmresearch.htm

 

ANNARBOR, MI - ミシガン大学で開発された抗血管新生薬は、さまざまな癌を含む3つの異なった疾病において研究されています。Tetrathiomolybdate、またはTMと呼ばれる薬は、腫瘍の成長、線維症の形成や炎症を妨げる効果を生むことになる、銅に対する闘いを挑んでいます。

 

この薬を開発したミシガン大学の研究者George Brewer, M.D.氏は、9月10日ニューヨークで行われる第226回American
Chemical Society
の会議で、これまでの発見と現在行われているTMの基本的、臨床的研究について発表する予定です。Brewer氏のプレゼンテーションは、医学無機化学の1日シンポジウムの一部として行われます。

 

TMは、ウィルソン病(珍しい遺伝的疾病で、有害な銅の蓄積を引き起こす)の治療薬として研究されています。最近の第3相試験の臨床データで、この病気の影響を小さくする上で、TMは他のどの治療よりも効果的であることが示されました。血管新生における銅の重要な役割を発見し、Brewer氏とそのグループは、その後、乳癌、腎臓癌、肝臓癌などの癌治療への研究を始めました。

 

しかし、それで終わりませんでした。Brewer氏とそのグループは、肝硬変や嚢胞性線維症などの炎症性線維症へのTMの効果をも調べています。

 

TMは、幅広い病気と闘う力強いツールとなる可能性を秘めています。それは、実際ウィルソン病の若者たちの命を救っていますが、ウィルソン病は稀な病気です。もし、次の相の臨床試験で、癌や炎症性疾患の早期の結果が有望であれば、これが多くの人々にインパクトを与える可能性があります。」と、Brewer氏、Morton S.氏、そして Henrietta K. Sellner 氏(Human Genetics at the University
of Michigan Medical School
名誉教授)らは語ります。

 

ウィルソン病の特徴として、十代や二十代前半の年若い成人を襲います。その病状は、体内で危険なレベルの銅の蓄積を引き起こします。もし、治療せずに放っておくと、重篤な肝臓の障害や神経への影響、そして最後に死が待っています。

 

ィルソン病治療におけるTMの肯定的な第3相結果が、昨年冬発表されました。Brewer氏は現在、ウィルソン病治療へのTMのオーファンドラッグとしてのFDA(米国食品医薬品局)承認申請をする製薬会社を探しています。(*注)その一方で、この臨床試験のプロトコルを通して治療を受けようとする患者が世界中からUMHSに集まってきます。

 

1990年代初期、ウィルソン病治療が成功を達成する一方で、ミシガン大学、他で、血管新生、つまり新たな毛細血管の形成への銅の役割を解明し始めました。これは、体内では正常にみられるプロセスですが、癌細胞では抑制不能になります。研究者らは、細胞が新生血管の一部に変わっていくプロセスをコントロールするのに必要な増殖因子と呼ばれるさまざまな分子にとって、銅が重要であることを発見しました。

 

このことは、Brewer氏に、TMの抗血管新生薬としての新たな方向付けを与えることになりました。彼は乳癌研究者ら、中でもミシガン大学Comprehensive Cancer CenterのSofia Merajver, M.D氏と共に研究を始めました。2000年、彼らは初のパイロット試験の有望な結果を発表するに至って以来、多くの臨床試験が始まり、いくらかは有効な早期結果を報告しつつあります。

 

TMは、銅を減少させることにより、血管新生と増殖因子を阻害します。」と、Brewer氏は述べています。「必然的に、その薬は重要なシグナリング経路、つまり腫瘍細胞が血管新生のシグナルを送るのを妨げる経路をブロックし、その結果、癌が成長し、広がるのを妨げたり、遅らせたりすることになります。」

 

TMは、硫黄とモリブデンという原子で構成されています。これらの合わさった原子が血中の銅と、アルブミンと呼ばれる蛋白質に結合します。この結合によってできる3要素の複合体が、体内から排除されます。ウィルソン病患者においては、高い銅の値を正常値に下げます。癌においては、緩やかな銅欠乏症においやることで腫瘍成長を阻害します。

 

そしてそのことがBrewer氏にTMが線維性疾患に効果を及ぼすかどうかを考えさせることになりました。銅の欠乏が腫瘍細胞における血管新生効果を阻害するのと概ね同じように、それが、成長因子ベータ(TGF-β)の転換-結合組織の成長の引き金となる反応-を阻害します。加えて、この研究は、TMが、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)-炎症の引き金となる反応-を阻害することを示唆しています。

 

「臓器が傷つくと、体は過剰に反応します。これが、炎症や線維症に過剰反応を起こさせ、病気に至ります。TMを用いることで、多くの病気の原因となる臓器が傷ついた後の過度の炎症や線維症を止めることができます。」とBrewer氏は言います。

 

Enbrel
や Remicade
として販売されているTNFアルファ抗体は、リュウマチ性関節炎やクローン病などの自己免疫疾患の新治療に用いられてきました。しかし、この治療には、定期的に抗体を注射することが必要です。Brewer氏に用意されている課題は、TMがその治療をもっと簡単にすることができるかということです。

 

「われわれには、マウスのTNF-αを阻害することを示した経口の錠剤があります。コンセプトは、これらの抗体が治療上のベネフィットを与える病気がなんであれ、その病気のためにTMは使用されるべきだということです。いくつかの自己免疫疾患にとって、研究は開始、または計画の段階にあるということです。」と、Brewer氏は言います。

 

TMの利点の一つは、副作用がほとんどないということです。主な副作用は、過剰投与による銅欠乏症であることが、これまでの研究でわかっています。これは貧血を引き起こしますが、投与量を減量したり、TM治療を中止することで解決できます。ウィルソン病患者では、肝臓障害のリスクもありますが、これもまた休薬期間を取ることで緩和できます。

 

ミシガン大学は、すでにTetrathiomolybdateの抗癌剤としての使用ライセンスをAttenuon LLCに与えており、Attenuon社に対して出資しています。Brewer氏とMerajver氏もAttenuon社に対して出資しており、彼らはAttenuon社の契約コンサルタントです。


*訳者注:1994年にウィルソン病オーファンドラッグ指定を受けた
参考:
http://spores.nci.nih.gov/current/hn/hn_docs/hn-wolf-michigan.html

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