乳がん治療と転帰に関するがんセンターのウェブサイト情報の検証 | 海外がん医療情報リファレンス

乳がん治療と転帰に関するがんセンターのウェブサイト情報の検証

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乳がん治療と転帰に関するがんセンターのウェブサイト情報の検証

米国臨床腫瘍学会(ASCO) ケアの質シンポジウム2017

研究者らは、乳がん治療に関し、情報に基づいて意思決定するには患者の知識が不可欠である、と言う。

 

専門家の見解

「患者、およびその家族や友人が患者のがん診断に関して調査し、より多くの情報を得るためにインターネットを利用することがますます多くなっています」、とASCOの専門委員であり理学修士であるTimothy D. Gilligan医師は述べた。「ウェブサイトは多くの患者にとって重要な役割を果たしているため、主ながん関連のウェブサイト情報の質に関する分析はタイムリーで重要です」。

 

ますます多くの患者がインターネットでがん情報を検索しているものの、アラバマ大学の研究者らは、米国国立がん研究所(NCI)指定がんセンターのウェブサイトの多くには乳がん患者が全ての治療選択肢を理解し、情報によく基づいた決定を下す助けとなるのに十分な情報が記載されていないことを見出した。また、それらのサイトにスペイン語を話す患者およびモバイル機器を利用する患者が十分にアクセスできないことがわかった。一方、NCIおよびスーザン・G・コーメン(Susan G. Komen®)のウェブサイトは質の高い患者情報を記載していた。この知見をフロリダ州オーランドで2017年3月3~4日に開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)ケアの質シンポジウムで発表予定である。

 

「過去5年の間にインターネット上にがん関連の情報が爆発的に増加しました」、と筆頭著者でアラバマ大学バーミンガム校の放射線腫瘍科レジデントであるCaleb Dulaney医師は述べた。「その結果、乳がんに関する情報源については、患者にはこれまで以上に多くの選択肢があります。本試験により、患者が治療に関する情報を入手し続けるのに本当に役立つ情報源をがんセンターのウェブサイトから見つけ出すのが難しいことが明らかになりました。がんセンターのウェブサイトには優れた情報があり、われわれは医師として患者がケアの目標を理解するのに役立つ包括的な情報源を案内することが出来ます」。

 

研究者らは、65のがんに関するウェブサイト上の乳がん情報を評価した。評価したウェブサイトは米国国立がん研究所(NCI)、スーザン・G・コーメン、およびNCI指定がんセンター63ヵ所である。研究者らは、乳がんに関する情報を含むウェブページを見つけるのは簡単(ページアクセスまでのクリック数中央値、2クリック)であるものの、ウェブサイトの大多数が治療やケアに関する十分な情報を含んでいなかったことを見出した。

 

著者らは妥当性が確認された3つのBreast Cancer Decision Quality Instruments(DQI)から選んだ33の質問を用いてウェブサイトの内容の質を評価した。DQIのような質問ツールは、情報の質、および全ての治療選択肢について患者が情報提供を受けている程度を評価する目的でデザインされている。たとえば、研究者らは、乳房全摘術Vs放射線療法/乳房温存術とを比較した情報の質、ならびに化学療法の副作用に関する情報の質を評価した。

 

平均すると、多くのがんセンターのウェブサイトは33の質問のうち21%(7質問)のみを扱っていた。約10カ所のウェブサイトはDQIの質問を1つも扱っておらず、全質問を扱ったサイトは1つもなかった。一方、研究者らはNCIおよびスーザン・G・コーメンのウェブサイトは、それ以外のがんセンターサイトよりも取り扱った質問の割合が高かった事を見出した(NCIで85%、スーザン・G・コーメンで88%)。

 

Dulaney医師らは、情報の質の他に、情報のアクセス性についても検討した。ウェブサイトのうち、モバイルで閲覧可能であったのは59%のみ、スペイン語翻訳機能があったのは25%のみであった。乳がんはヒスパニック系/ラテン系女性のがんによる死因の1位を占めている。このため、著者らはスペイン語の情報が利用できるようがんセンターに推奨する。

 

「がん治療とケアに関する全内容を網羅した情報、および転帰の情報に乳がん患者がアクセスできるようにするため、本知見では、医師が自身のがんセンターでのウェブサイト内容の立案に参加する良い機会であることを明らかにしています」と、Dulaney医師は述べた。

 

2017年ケアの質シンポジウムのニュースプランニングチーム

  • Don S. Dizon医師(議長)、マサチューセッツ総合病院
  • Timothy D. Gilligan医師、理学修士(MSc)、クリーブランドクリニック
  • Joshua Adam Jones医師、文学修士(MA)、ペンシルバニアヘルスシステム大学(University of Pennsylvania Health System)

 

ニュースプランニングチームの情報開示についてはこちらを参照のこと。

 

ニュースとして取り上げる場合は、全て、2017年ケアの質シンポジウムへの帰属を示すこと。

 

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2017年ケアの質シンポジウム:プレゼンテーション情報

ポスターセッションA:質の高い診療-そのコスト、価値、政策

2017年3月3日(金):11:30 AM~ 1:00 PM (東部標準時)

2017年3月3日(金):   4:15 AM~ 5:15 PM (東部標準時)

ハイアットリージェンシーグランドサイプレス、リージェンシーホール, 1階

Caleb Dulaney医師、放射線腫瘍科

アラバマ大学バーミンガム校、バーミンガム、アラバマ州

 

アブストラクト135:NCIがんセンターのウェブサイト上で扱う乳がん患者への治療選択肢に関する情報の質

 

著者:Caleb Dulaney, Daniel Victor Wakefield, Gabrielle Betty Rocque, Jennifer F. De Los Santos; Department of Radiation Oncology, University of Alabama at Birmingham, Birmingham, AL; University of Tennessee Health Science Center, Memphis, TN; University of Alabama at Birmingham, Birmingham, AL; The University of Alabama at Birmingham, Birmingham, AL

 

背景:治療決定に影響を及ぼす可能性のある情報の検索にがん患者がインターネットを利用することがますます多くなっている。米国国立がん研究所(NCI)指定がんセンターのウェブサイトおよび全米で認められたがん研究機関は情報源として信頼されているが、これらのサイト上の情報の質に関するデータはほとんどない。治療選択肢を扱うがんセンターウェブサイト上の乳がん治療に関する情報の質とアクセス性を評価した。方法:全てのNCIのがんセンター、NCI、 およびSusan G. Komenのウェブサイトを評価した。妥当性が確認された3つのBreast Cancer Decision Quality Instruments(DQI)から選んだ33の質問を用いて質を評価した。盲検化された2人の評価者が、ウェブサイトが各質問への回答情報を提供しているかを判定した。乳がんに特化したウェブページにたどり着くまでのクリック数、評価時間、およびスペイン語でのアクセス性とモバイルからのアクセス性を記録した。カッパ係数を用いて評価者間のばらつきを測定した。評価時間と回答された質問との間の相関性についてピアソン係数を用いて測定した。結果:評価した63のがんセンターウェブサイトのうち、94%に乳がんに関するウェブサイトがあり、中央値で2クリックで到達した。平均評価時間は11分であった。24%はスペイン語でアクセス可能であった。59%はモバイルで閲覧可能であった。全質問に関する情報を提供したサイトはなかった。最も情報を提供したがんセンターサイトは質問の76%を扱っていた。平均すると、1つのサイト当たりで扱っていた質問はDQI全体の21%であった。16%のサイトはいずれの質問の回答となる十分な情報を示していなかった。一方、NCIおよびKomenのサイトはがんセンターサイトよりも扱う質問の割合が高かった(NCIで85%、 Komenで88%)。評価者間のばらつきは、ほとんどない~中等度となった(平均カッパ係数、0.37)。評価時間は回答された質問数と強く相関していた(r = 0.75)。結論:NCIがんセンターのウェブサイトは、平均すると、妥当性が確認されたDQIの質問の21%について乳がん患者に対し役立つ情報をフィードバックしていた。この情報は、スペイン語を話す患者およびモバイル機器を利用する患者がアクセスしにくかった。ウェブサイトの改善は乳がん患者の知識を深め、情報に基づく意思決定を促進するかもしれない。

 

情報開示:Gabrielle Betty Rocque医師:旅費、施設費、諸経費はMedscapeが提供。Medscapeより謝礼金受領。Pack Health社、Medscape、およびCarevive Systems社より研究資金を受けた。

 

研究資金提供源:研究資金源は開示されなかった。

原文掲載日

翻訳三浦 恵子

監修原野謙一(乳腺・婦人科腫瘍内科/国立がん研究センター東病院)

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