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遺伝性大腸がんを特定する遺伝子検査の有用性

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遺伝性大腸がんを特定する遺伝子検査の有用性

ダナファーバーがん研究所

1000人以上の大腸がん患者を対象としたダナファーバーがんセンターの新たな研究の結果、全体で約10%という驚くべき割合の患者が、がん感受性を高める(がんを発症しやすくなる)と考えられる遺伝子変異を有することがわかった。大腸がん患者の治療および高リスク家系での大腸がん予防において、遺伝的リスクを特定する遺伝子検査のより大きな役割が本研究で示唆された。

 

大腸がん患者の約3%は、リンチ症候群として知られる遺伝子変異のために、大腸がん発症リクスが高いことが、長年、医師の間で知られてきた。「しかしわれわれの試験から得られたデータは、大腸がん患者に対するこれまでの遺伝子検査の閾値が低すぎることを示しています。7%の遺伝性リスクを持つ集団が見過ごされているからです」と、ダナファーバーの消化器がん治療センターおよびがん遺伝学・予防センターの専門医であるMatthew Yurgelun医師は述べた。同氏は、Journal of Clinical Oncology誌に本日発表された本研究の主著者である。

 

「がんに関連する遺伝子変異を発見する確率が、過去に示されていたよりもはるかに高く驚きました」と、ダナファーバー、ブリガム&ウィメンズがんセンターの消化器がん遺伝学と予防プログラムの責任者で、この論文の責任著者であるSapna Syngal医師は述べた。「すべての大腸がん患者は医師と話す際に、またすべての医師は大腸がん患者と話す際に、遺伝子検査の実施も考慮すべきことを示唆するものです。なぜなら、患者本人だけでなく、その家族にも影響を及ぼす問題だからです」。

 

大腸がんは、米国におけるがん死で二番目に多い原因である。 しかしながら、大腸内視鏡スクリーニングによって、一般的には非常に早い段階で検出することができ、また前がん性ポリープの除去により大腸がんを予防することも可能である。

 

「遺伝的要因が大腸がん発症リスクにしばしば関連することは、長年知られていました」と、Yurgelun医師は言う。「リンチ症候群など、因果関係が明らかな遺伝症候群を検出するための遺伝子検査の対象者選定では、これまで一般的に、大腸がん既往歴を持つ家族が多い、若年で大腸がんの診断を受けたなどの要因に頼ってきました」。

 

この研究は、Myriad Genetic Laboratories社の商業用遺伝子検査パネルを使用し、遺伝性がんリスクに関連する遺伝子変異を探すために、より広範囲に遺伝子を調べた(本研究は一部、同社から支援を受けたが、ほとんどは国立衛生研究所(NIH)の財政支援で実施された)。近年、定期的な診療を受けた大腸がん患者で、研究に参加することを同意した1058人から採取した血液サンプルを分析した。対象者は、がんの家族歴や若年性の診断といった状況による事前の選択は受けなかった。

 

「最終的に、この患者群で遺伝性がん感受性の変異が見つかったのは約10分の1で、これまで考えられていたより、かなり高い割合でした」とYurgelun医師は言う。

 

今日までのところ、遺伝子検査パネルにあるがん感受性遺伝子を標的とした大腸がん治療で、承認されたものはない。しかしダナファーバーの研究者は、BRCA遺伝子変異によって引き起こされる乳がんのような、他のタイプのがんの遺伝子変異を標的とする薬剤は、最終的には大腸がんに対しても有効性を示すのではないかと推測している。

 

より近い将来、広範な遺伝子検査は治療完了後の患者のフォローアップケアを改善する可能性がある。「大腸がんだけでなく、膵がんや乳がんリスクもある遺伝子変異を持つ場合は、これらのがんについても観察する必要があります」とSyngal医師は話す。 同様に家族の中で遺伝性変異を有する人も、大腸がんだけでなく、変異によってリスクが高まるほかのがんについても、定期的にスクリーニングしていくこともできる。

 

研究者は、どの時点で変異ががんを進行させるのかを知るための大腸腫瘍の分析を含め、大腸がんにおけるこれらのがん感受性変異の役割をさらに調べる予定である。

 

「乳がんと卵巣がんなど、他のがんの人たちと同じように、大腸がん患者も遺伝子検査に対する認識を高めるべき時がきています」とSyngal医師は述べる。「米国では100万人以上がリンチ症候群ですが、大多数は自分がそういう遺伝子変異を有していることに気づいていません」と、同医師は話している。

 

遺伝子検査の費用が大幅に下がったため、より広範な遺伝子検査を実施する道も容易になりつつあると、 Yurgelun医師は言う。「事前にリスクを特定できるような集団を見つけて、がんの予防やがんリスクを軽減するための介入策をとれれば、遺伝子変異を持つ人々にとって、そしてさらに重要なこととして、彼らの健康な家族にとっても、遺伝子検査は容易に費用対効果の高い方法となるかもしれません。潜在的な利益が非常に大きいからです」と同医師は話した。

 

本研究のダナファーバーの共同執筆者は次の通り。Matthew Kulke, Charles Fuchs, Hajime Uno, Chinedu Ukaegbu, Lauren Brais, Philip McNamara, Robert Mayer, Deborah Schrag, Jeffrey Meyerhardt and Kimmie Ng. 他の貢献者に含まれるのは、次の 通り。Jason Hornick of Brigham and Women’s Hospital, and Brian Allen, John Kidd, Nanda Singh, Anne-Renee Hartman and Richard Wenstrup of Myriad Genetic Laboratories.

原文掲載日

翻訳片瀬ケイ

監修高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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