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閉経後女性の意図的な体重減量は、子宮内膜がんリスクを低下

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閉経後女性の意図的な体重減量は、子宮内膜がんリスクを低下

米国臨床腫瘍学会(ASCO)

ASCOの見解

 

Jennifer Ligibel医師、米国臨床腫瘍学会(ASCO)がん予防専門医

「肥満と子宮内膜がんや他のがんのリスク増加との関連性を調べる研究はこれまで1,000件以上ありましたが、体重減少とがんリスクの関連性を調べた研究はほとんどありません。本研究では、体重減量は中年期以降に行っても子宮内膜がんリスクの低下につながることを示しています。この知見はまた、過体重および肥満の成人でのがん予防戦略の一環としての体重減量プログラムの開発を支援するものです」。

 

新たな研究では、体重減量で閉経後の女性の子宮内膜がんリスクが29~56%も低下する可能性を示唆している。研究者らは、体重減量に対し積極的に取り組んだ肥満女性に最も大きな利益があったことを認めた。Women’s Health Initiative(女性の健康イニシアチブ[WHI])の研究データから得たこれらの知見は、本日Journal of Clinical Oncology誌の電子版で発表された。子宮内膜がんは、米国ではもっとも多くみられる婦人科がんで、米国女性が罹患するがんの第4位であり、うち75%超が55歳以上である。

 

「高齢者の多くが体重減量で利益を得るには遅すぎると考えていたり、またはもともと過体重または肥満のためすでにダメージを受けている、と考えています。しかし、われわれの知見では、それは正しくありません」と本研究の著者で、インディアナ州ブルーミントンにあるインディアナ大学公衆衛生大学院の疫学および生物統計学准教授であるJuhua Luo医学博士は述べた。「決して遅すぎることはありません。中等度の体重減量でもがんリスクに関しては大きな差となりえます」。

 

本研究について

本研究では、50~79歳の閉経後女性を対象としたWHI観察研究に基づいて35,000人以上の女性について評価した。研究者らは、本研究の初めに研究対象者の体重を測定し、3年後に再度体重を測定し、変化を算出した。体重が減少した女性にはさらに、体重減量が意図的だったか否かを尋ねた。研究者らはその後、研究対象者を平均10年以上、追跡調査し、子宮内膜がんと診断された人々を特定した。

 

重要な知見

意図的に体重を減量した女性では、体重に変化がなかった女性と比べ、子宮内膜がんリスクの明らかな低下がみられた。特に、

・50歳以降、体重が5%以上減少した女性では、年齢や体重減少量にかかわらず、子宮内膜がんリスクが29%低下した。

 

・子宮内膜がんリスクの最も大きな低下は、肥満があり積極的に体重を減量した女性で認められた。肥満であり、意図的に体重を5%以上減量した女性では、56%のリスク低下がみられた。

 

・さらに、過体重または肥満であり、意図的な体重減量後BMIが正常値になった女性では、BMIが安定して正常値であり続けている女性とリスクが同等であった。

 

・一方、体重が10ポンド(約4.5キロ)以上増加した女性では、子宮内膜がんリスクが26%上昇した。

 

「健康を改善させるのに決して遅すぎることはありません。本研究により、体重減量ががんリスクを低下させる可能性があることが示唆されました」とASCOがん予防委員会の委員長であるKaren H. Lu医師は述べた。「これらの知見が、過体重かもしれない人々が食べる量を減らし、運動を増やす生活習慣に改めるのを後押しすることを望んでいます」。

 

著者らはまた、子宮内膜がんがホルモンとの関連性が高いことがわかっているため、今回の知見を解析して、ホルモンの使用による影響を突き止めようとした。しかしながら、ホルモンを使用した女性と使用しなかった女性との間でリスクの明らかな差は認められなかった。

 

肥満が子宮内膜がんリスクを上昇させることを示した過去の研究は数多くあるが、体重減量がリスクを低下させるかどうかのエビデンスは限られている。

 

 

著者らによると、今回の研究は体重減量ががんリスクに及ぼす効果を評価した最初の研究であり、患者が自己申告した体重でなく実際の体重の変化を測定した最初の研究である。

 

本研究はまた、研究対象者の体重減量が意図的であったかどうかで区別した最初の研究である。意図的でない体重減量は、他の併存疾患または病気に関連していることが多く、このような患者の転帰は一般的に不良であり、そのことが今回の研究の知見に影響を及ぼしている可能性がある。

 

次の段階

これらの知見が子宮内膜がん以外のがんにも一般化が可能かどうかを判断するには、さらに多くの研究が必要である。よって、研究者らは現在、意図的な体重減量が他のがん種のがんリスクと死亡率両方に及ぼす影響を評価する研究を計画している。著者らはまた、本研究が閉経後の高齢女性に限定されていたため、他の集団での体重減量の役割も探索したいと思っている。

 

「体重減量が肥満によってリスクが高まる他のがんの予防に役立つかどうかを調べることに興味があります」とLuo医学博士は述べた。「肥満を回避することが健康上多くの利益につながることはすでに分かっていますが、すでに肥満の成人にとっての体重減量の利益については十分に分かっていません」。

 

WHIプログラムは、米国国立心肺血液研究所、米国国立衛生研究所および米国保健福祉省から助成を受けている。

 

肥満とがんの関連についての詳細な情報は、最新のJournal of Clinical Oncology誌の特集シリーズ「肥満とがん 生物学的過程の探索、臨床的意義および今後の方向性」を参照のこと。

 

Cancer.Netから読者への情報として、

・子宮がんのガイド
・肥満、体重およびがんリスク
・サバイバーへの運動の助言

 

ASCO(米国臨床腫瘍学会)の機関誌であるJournal of Clinical Oncology誌は、範囲、読者層、インパクト、影響力において先導する学術誌である。

 

重要な臨床腫瘍研究に焦点を当てるJournal of Clinical Oncology誌は、年間36号で1,000以上の論文を発表している。

 

あらゆる報道・取材においてJournal of Clinical Oncology誌への帰属を明示すること。

原文掲載日

翻訳太田奈津美

監修喜多川 亮(産婦人科/東北医科薬科大学病院)

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