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2011/02/08号◆FDA最新情報

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2011/02/08号◆FDA最新情報

同号原文
NCI Cancer Bulletin 2011年2月8日号(Volume 8 / Number 3)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中〜

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FDA最新情報

・骨スキャン用に新規の放射性トレーサーを承認・濾胞性リンパ腫の維持療法にリツキシマブを承認
・FDAが豊胸手術と稀なリンパ腫の関係について調査

骨スキャン用に新規の放射性トレーサーを承認

骨スキャンで使用されるテクネチウム-99m(Tc-99m)という薬剤が現在不足している問題を解決する第一歩として、NCIはフッ化ナトリウムF18という陽電子放射断層撮影法(PET)用トレーサーについて米国医薬食品局(FDA)の承認を得た。この薬剤は当初1972年に承認を受けたが、安価な代替品が入手可能となった1975年に取消となっている。

今回の新規承認は用量および濃度の範囲が異なる。 PETによる骨スキャンで、骨以外の原発癌からの骨転移の診断を行う際、放射性トレーサーが用いられる。骨転移は多くの癌、特に乳癌および前立腺癌の患者で重大な問題である。 NCIがフッ化ナトリウムF18の新薬承認申請(NDA)を行った理由の一つは、製薬業界がより安価なジェネリック医薬品を開発できるようにするためである。NDA承認されるまで製薬業界はジェネリック医薬品を製造することができない。

「われわれがNDAを行い、今回承認されましたので、学界も製薬業界もジェネリック医薬品の簡略承認申請をすることができます」。NCIの癌治療・診断部門副部長のDr. Paula M. Jacobs氏はこう話した。 FDA承認は償還の点でも重要である、とJacobs氏は指摘した。公的保険メディケア・メディケイドサービスセンターは今週の声明で、患者が登録していればフッ化ナトリウムF18に対する償還を行う予定である、と発表した。民間保険会社にも追随させる結果となるだろう。

これまで承認されていた放射性トレーサーはTc-99mのみであった。過去5年間、Tc-99mは世界的に不足している。本薬剤はモリブデン-99(Mo-99)の崩壊生成物である。まだ数年続くとみられるこのTc-99m不足は、NCIの癌画像診断プログラムによると、Mo-99を製造する数少ない原子炉の老朽化に伴う問題が原因であるという。

Mo-99の不足が1〜2週間続くと、途端にTc-99mが市場から不足し、医師がTc-99mを用いたスキャンができなくなる可能性がある。2007年には250万人以上の患者が骨スキャンを受けた。すべての骨スキャンでTc-99mを使用しているわけではないが、毎年何百万人もの患者が放射性トレーサーを用いたスキャンを受けている、とJacobs氏は指摘した。

「今回の新薬承認が放射性トレーサーの安定供給につながることは間違いなく、償還も促進されるでしょう」とJacobs氏は述べた。

NCIによるフッ化ナトリウムF18の新薬承認申請の経過および理論的根拠はこちらを参照。

濾胞性リンパ腫の維持療法にリツキシマブを承認

FDAは1月28日、リツキシマブ(リツキサン)と化学療法の併用による初回治療が有効であった濾胞性リンパ腫患者に対する維持療法薬としてリツキシマブを承認した。1997年にリツキシマブが非ホジキンリンパ腫(NHL)に対する2次治療薬として初めて承認されて以来、今回の承認で6つ目の適応となる。リツキシマブはNHLに対する適応がいくつかあるほか、慢性リンパ球性白血病(CLL)治療にも承認されている。

FDAは今回の新適応について、1,200人の患者を登録して行われた国際的な第3相臨床試験であるPRIMA試験をもとに承認した。試験に参加した患者でリツキシマブおよび化学療法薬の併用による初回治療が有効であり、その後2年間2カ月ごとにリツキシマブ投与を受けた患者では、維持療法を受けなかった患者と比べ無進行生存期間に46%の改善が得られた。2年後時点で病勢進行せず生存していた患者は維持療法群で82%であったのに対し、対照群では66%であった。

PRIMA試験の結果は昨年の米国臨床腫瘍学会年次集会で報告されている。

FDAが豊胸手術と稀なリンパ腫の関係について調査

FDAが豊胸手術と、極めてまれな癌である未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)の関連の可能性について調査している。学術論文のレビュー、専門家らの議論をもとに、FDAは豊胸手術を行った女性は行っていない女性に比べ、ごくわずかではあるがALCL発症リスクが高まる可能性があると述べた。1月26日付ニュースリリースで発表された。

現時点で豊胸手術がALCLの原因の一つとなりうるかを判断する十分な情報は得られておらず、症状がない、あるいは他に異常がない女性については、FDAはインプラント除去を推奨していない。しかしながらFDAは豊胸用インプラントのメーカーと協力し、今後数カ月で患者および医療従事者向けの製品表示資材の改訂に取り組むという。

現在まで、FDAの専門家らは豊胸手術を受けた女性におけるALCL症例を世界で約60例把握しているが、実際の症例数を把握することは困難とだという(豊胸手術を受けた女性は500万人〜1,000万人と推定)。FDAは米国形成外科学協会および他の専門家の協力を得て豊胸手術患者の登録制度をたちあげているところで、ALCLと関連する可能性に関する研究にデータを利用できるようにする。

「われわれにはもっと多くのデータが必要で、一つでも確定症例があれば報告するよう医療従事者に要請しています」と、FDAの医療機器・放射線保健センターの主任研究員でセンター次長のDr. William Maisel氏は声明で述べている。

米国では毎年約500,000人に1人の割合でALCLと診断されており、リンパ節、皮膚などのさまざまな部位に発生する。豊胸手術を受けていない女性で乳房組織にALCLが発見される割合は、100万人に対し年間約3人である。 「豊胸手術を受けた女性で極めてまれな症例としてALCLを発症する事例があることを医療従事者は知っておくべきです」と本件に関するFDAWhite Paper の著者らは話した。

現在のところ、インプラントの種類(シリコン、生理的食塩水等)や手術の目的(乳房の復元、審美性の向上)とリスク増減の関連について確認することは不可能である、とも述べた。 一部の研究者は豊胸に関連するALCLはより侵襲性の低い(緩慢性の)新しい病型を示す可能性があると示唆している。しかし、症例数が少ないこと、ならびに症例の追跡期間が短いことから、FDAは豊胸手術を受けた女性におけるALCL発症予測に関しては結論を出すのは尚早だとした。

さらに詳細な情報は、未分化大細胞性リンパ腫(ALCL)に関するQ&Aおよび一般向け最新情報を参照。 NCIによる豊胸手術のファクトシートはこちら

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橋本 仁 訳
中村 光宏(医学放射線/京都大学大学院)
大渕 俊朗(呼吸器・乳腺分泌・小児外科/福岡大学医学部)監修
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原文掲載日

翻訳橋本 仁

監修中村 光宏(医学放射線/京都大学大学院)、大渕 俊朗(呼吸器・乳腺分泌・小児外科/福岡大学医学部)

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