イバンドロネート追加で閉経後乳がんの転帰は改善せず | 海外がん医療情報リファレンス

イバンドロネート追加で閉経後乳がんの転帰は改善せず

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

イバンドロネート追加で閉経後乳がんの転帰は改善せず

米国がん学会(AACR) サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)2016

有益性における決定的なエビデンスを得るためにはより長期の追跡調査が好ましい

ホルモン受容体(HR)陽性初期乳がん患者で閉経後の女性を対象に、アジュバントホルモン療法に加えてビスフォスフォネート製剤イバンドロネート(Boniva)を投与しても、無病生存率(DFS)の改善がみられなかった。第3相臨床試験TEAM IIB のデータが、12月6〜10日に開催された2016年サンアントニオ乳がんシンポジウムで発表された。

 

しかしながら、イバンドロネートを投与した患者における3年間の治療後に無病生存率(DFS)の有意な改善はなかったものの、骨転移を発症する患者数の減少が観察されたことを受け、研究者らは、決定的な結論を導くためにはより長期の経過観察が必要となる可能性があると結論づけた。

 

「TEAM IIBのデータによると、イバンドロネートを3年間投与し、ホルモン療法を受けた閉経後の女性は、DFSの結果が改善する傾向があったが、統計的に有意ではなかった」と、 オランダがん研究所、分子病理学部門のがん専門医、Sabine Linn医学博士は述べた。

 

 「イバンドロネートを追加することによるメリットがある(あるいはメリットがない)という決定的なエビデンスを示すのに役立つDFSイベントが、必要数に達しました」とLinn氏は付け加えた。

 

ホルモン療法は通常、骨の生成に悪影響を与えるアロマターゼ阻害剤を使用する。 転移性疾患を発症する閉経後乳がん患者の約70%が骨転移を経験しており、痛みや身体不動に苦しんでいるため、これらの患者の寿命と生活の質に大きな影響を及ぼす、とLinn氏の同僚で腫瘍学専門の研修医であり博士課程に在籍するSonja Vliek 医師は話した。 したがって、骨転移の予防は、乳がん研究の主題である、と彼女は付け加えた。

 

TEAM IIB研究では、早期乳がんの閉経後女性1,116人をオランダの37の病院に登録し、5年間のホルモン療法において、3年間イバンドロネート50 mgを連日追加投与する群、または追加投与しない群にランダムに割りつけた。 主要評価項目は無病生存率(DFS)であり、副次的評価項目は、安全性、全生存期間、骨転移までの時間、および他の再発部位などであった。

 

経過観察期間の中央値は4.6年であり、試験群の患者の67%が3年間のイバンドロネート治療を遵守した。

 

 2016年11月現在、149件のDFSイベントが報告されている。 イバンドロネート群の3年間のDFSは94.3%であり、対照群は90.8%であった。イバンドロネート群でDFSが20%改善したが有意差はみられなかった。

 

ランダム化の3年後には、イバンドロネート群および対照群の患者の1.6%および4.7%がそれぞれ骨転移を発症した。 イバンドロネート群の骨転移の可能性は35%低かったが、この所見は統計的に有意ではなかった。

 

イバンドロネート群の患者31人より36件の重篤な有害事象(SAE)が報告され、対照群の患者39人より51件のSAEが報告された。Vliek氏によると、 イバンドロネートに関連する唯一のSAEは、顎の骨壊死の報告であり、全ての患者は治療後に愁訴なく完治した。

 

「この試験の結果が、EBCTCG試験(標準的な補助療法にビスフォスフォネートを追加することによって閉経後の女性の全生存期間のわずかな有益性が観察された)の結果とともに考慮される場合、閉経後の女性の早期乳がんに対し、ビスフォスフォネートを追加し治療するエビデンスが増加します」とLinn氏は述べた。

 

「患者は、この補助療法により生存の可能性を得ることで生じる重要な副作用について、医師と話し合うとよいでしょう」と彼女は付け加えた。

 

このデータのさらなる分析は、最後の患者が3年間の追跡調査期間を終えた直後(2017年5月)に計画されている、とVliek氏は述べた。 研究者らは、長期的な影響を分析するために患者を10年後まで追跡する予定である。

 

本研究の限界として、この研究がプラセボ対照ではない点で、説得力に欠けるだろう、とVliek氏は言う。

 

本研究は、オランダのRoche社(Roche Netherlands)とオランダのファイザー社(Pfizer Netherlands)より、無制限の研究助成の資金提供を受けた。 Vliek氏は利益相反がないことを宣言した。 Linn氏はオランダのRoche社から研究助成を受けており、Roche社のベバシズマブ諮問委員会に所属している。

原文掲載日

翻訳林さやか

監修太田真弓(精神科・児童精神科/さいとうクリニック院長)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  2. 2リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  3. 3乳がん検診におけるマンモグラフィの検査法を比較する新...
  4. 4BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  5. 5ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  6. 6若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  7. 7コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  8. 8ASH年次総会で血液がん化学療法の最新知見をMDアン...
  9. 9免疫療法薬の併用はタイミングと順序が重要
  10. 10アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他