喫煙に安全な量はない:喫煙本数が少くても早期死亡リスクが高い | 海外がん医療情報リファレンス

喫煙に安全な量はない:喫煙本数が少くても早期死亡リスクが高い

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

喫煙に安全な量はない:喫煙本数が少くても早期死亡リスクが高い

NCI(米国国立がん研究所)ブログ~がん研究の動向~

NCIプレスリリース

1日平均1本未満でも、継続的に生涯にわたって喫煙した人は、非喫煙者より早期に死亡するリスクが64%高く、また1日1~10本喫煙した人では、非喫煙者より早期に死亡するリスクが87%高いことが、米国国立がん研究所(NCI)の研究者による新しい研究で示された。本数が少ない元喫煙者は現喫煙者に比較してリスクが低く、禁煙年齢が若いほどリスクは低下する。本試験結果はJAMA Internal Medicineに2016年12月5日付けで報告された。NCIは米国国立衛生研究所の部門である。

 

研究参加者の死亡原因を検討すると、特に肺がん死亡率との強い関連が観察された。生涯にわたり、平均1日1本未満でも継続的に喫煙した人は、非喫煙者よりも肺がんによる死亡リスクが9倍、1日に1~10本喫煙した人は、12倍近く高かった。

 

研究者らは、肺気腫などの呼吸器疾患による死亡リスク、および心血管系疾患による死亡リスクについて検討した。1日に1~10本喫煙した人は、非喫煙者と比較して呼吸器疾患による死亡リスクが6倍以上、心血管系疾患による死亡リスクは約1.5倍高かった。

 

喫煙は健康に多くの悪影響を及ぼす。このことは米国公衆衛生総監による喫煙と肺がんの関連が1964年に報告されて以来、多くの研究で詳細に述べられてきた。しかし、少量の喫煙を継続した場合の健康への影響は十分には研究されておらず、喫煙本数が少なければ健康に悪影響を及ぼさない、と信じている喫煙者は多い。

 

少量の喫煙が及ぼす全死亡原因および特定の死亡原因への影響をさらに検討する目的で、研究者らはNIH-AARP 食事と健康の研究から29万人分以上の成人データを解析した。本研究では1日あたり10本以下の喫煙を少量喫煙と定義した。研究開始時、研究参加者全員の年齢は59歳から82歳までであった。

 

研究参加者らは15歳の誕生日を迎える前を起点として70歳に達するまで(高齢の参加者の場合)、各々の人生を9つの段階に区切り、喫煙習慣について質問を受けた。現在も喫煙を続けている人のうち、159人が1日に1本未満の喫煙を長年にわたり継続し、 1,500人近くが1日に1~10本喫煙すると報告した。

 

本研究は、試験参加者の数十年以上の喫煙歴に関する記憶に基づくため、その知見にはある程度不確かさが入り込む。また、多数の参加者を調査したにもかかわらず、少量の喫煙を継続している人は比較的少数であった。

 

本研究のもう1つの弱点は、参加者のほとんどが白人、かつ60~70歳代であり、したがって米国における特定の年齢層群の喫煙習慣のみ収集、反映されている点である。今後の研究では若い人々、他の人種や民族を対象とすることが必要である、というのは米国では、少量喫煙は特にマイノリティの人種・民族で歴史的に、より一般的であったからである。本研究では、1日1本未満の喫煙と報告した参加者に関する喫煙習慣の詳細な情報も欠落していた。このため、研究者らは、例えば、2日に1回、数日に1回、または週1回別の喫煙の影響を比較することはできなかった。 

 

「本研究結果は、タバコの煙に安全な曝露量がないという健康に対する警告を支持するものです」と、本研究の筆頭著者であり、NCI 疫学・遺伝学部門のMaki Inoue-Choi博士は述べた。「これらの知見を総合すると、たとえ1日少量であっても、喫煙は健康へ相当の悪影響を及ぼすことを示しています。また禁煙は、喫煙がいかに少なかろうとすべての喫煙者に有益であるというさらなるエビデンスを提供します」。

 

米国国立がん研究所(NCI)について:NCIは全米がんプログラム(the National Cancer Program)と、がん罹患を劇的に減少させ、がん患者とその家族の生存・生活を改善させるNIHの取り組みを主導しています。これらは、予防とがん生物学研究、新たな介入開発、および若い研究者らの教育、訓練、指導をとおして行われます。がんに関する詳細な情報については、cancer.gov にアクセスしてNCIウェブサイトをご覧いただくか、またはNCIがん情報サービス1-800-4-CANCERまでお電話ください。 

 

米国国立衛生研究所(NIH)について:NIHとは米国の医療研究機関であり、27の研究所とセンターを含む、米国保健社会福祉省の一部門です。NIHは基本的に連邦機関であり、基礎、臨床、および橋渡し医学研究を主導、支援するとともに、一般および希少疾患の原因、治療、根治法を研究しています。  NIHとそのプログラムの詳細については、nih.govにアクセスしてください。

 

参考文献

  1. Inoue-Choi M, Liao L, Reyes-Guzman C, Hartge P, Caporaso N, Freedman N. Association of long-term low-intensity smoking with all-cause and cause-specific mortality in the NIH-AARP Diet and Health Study. JAMA Internal Medicine. December 5, 2016. DOI: 10.1001/jamainternmed.2016.7511

 

 米国国立がん研究所のウェブサイトに掲載する記事のほとんどは、ほぼ自由に複製または再使用が可能です。その際、米国国立がん研究所からの出典であることを明らかにしてください。ただし政府関係以外のブログ投稿および画像の権利は作成者が所有していることがありますのでご注意ください。その様な場合、再利用の際は、作家、アーティスト、または出版社にご連絡の上、使用許可を取得してください。

原文掲載日

翻訳佐藤美奈子

監修久保田馨 (呼吸器内科/日本医科大学付属病院 がん診療センター)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  2. 2BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  3. 3リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  4. 4若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  5. 5ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  6. 6FDAがCAR-T 細胞療法Yescartaを成人大...
  7. 7コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  8. 8乳がん治験薬エンドキシフェン、NCIの支援により研究...
  9. 9濾胞性リンパ腫治療の新時代
  10. 10脊髄転移に対する組織内レーザー温熱療法

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他