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FDAが進行卵巣がん治療にrucaparibを迅速承認

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FDAが進行卵巣がん治療にrucaparibを迅速承認

FDA(米国食品医薬品局)

米国食品医薬品局(FDA)は本日、特定タイプの卵巣がんを有する女性患者の治療に、rucaparib(商品名:Rubraca)を迅速承認した。Rucaparibは、過去2種類以上の化学療法を受けた進行卵巣がんの女性患者を対象とし、FDA承認済みのコンパニオン診断検査により同定された特定遺伝子変異(有害なBRCA)のある腫瘍に適用される。

 

「本日の承認は、患者遺伝子の特定変異に起因するがんを治療する標的薬の開発動向を示す新たな例です」と、FDA医薬品評価研究センター抗腫瘍薬製品室長、およびFDAOncology Center of Excellence室長代理であるRichard Pazdur医師は述べた。「これらの遺伝子異常を持ち、卵巣がんに対して少なくとも2種類の化学療法を試みた女性に、ようやく治療法の選択肢が増えます」。

 

米国国立がん研究所では、2016年には22,280人の女性が卵巣がんと診断され、14,240人が同疾患で死亡すると推定している。卵巣がん患者の約1520%がBRCA遺伝子変異を有するとみられる。

 

BRCA遺伝子は損傷したDNAの修復に関与し、通常、腫瘍の増殖を防ぐ働きがある。しかし、これらの遺伝子変異は、卵巣がんなど特定のがんに至る可能性がある。RucaparibはポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤である。PARP阻害剤は損傷したDNAの修復に関与する酵素を阻害する働きを持つ。この酵素を阻害することにより、BRCA遺伝子変異を有するがん細胞内のDNAが修復されにくくなるために細胞死を招いたり、腫瘍の成長を遅らせる、もしくは停止させる可能性もある。

 

本日FDAは、rucaparib使用に必要となるFoundationFocus CDxBRCAコンパニオン診断検査も承認した。同検査はFDAが認可した次世代シーケンシング(NGS)に基づく最初のコンパニオン診断検査である。NGS検査は、卵巣がん患者の腫瘍組織中の有害なBRCA遺伝子変異の存在を検出する。1つ以上の変異が検出された場合、患者はrucaparibを用いた治療に適する可能性がある。

 

Rucaparibの安全性と有効性は2つの単一治療群臨床試験で検討されており、過去に2種類以上の化学療法レジメンで治療したBRCA遺伝子変異を有する進行卵巣がん患者106人が試験対象となっていた。腫瘍組織が採取でき、FoundationFocus CDxBRCAコンパニオン診断を用いて検査を行った試験対象のうち96%において、BRCA遺伝子変異が確認された。試験では、腫瘍の完全または部分的な縮小を認めた患者の割合(全奏効割合)を測定した。試験でrucaparibを投与した患者の54%に、中央値で9.2カ月継続した腫瘍の完全または部分的な縮小を認めた。

 

Rucaparibによく認められる副作用には、悪心、倦怠感、嘔吐、赤血球の低下(貧血)、腹痛、異常な味覚(味覚異常)、便秘、食欲不振、下痢、血小板の低下(血小板減少)、呼吸の障害 (呼吸困難)などがある。またrucaparibは、骨髄の障害(骨髄異形成症候群)、急性骨髄性白血病と呼ばれる血液のがんの一種、および胎児への有害な影響などの重篤なリスクにも関連している。

 

FDAは、迅速承認プログラムに基づきrucaparibを承認した。このプログラムは、臨床的有用性を予測するのに適した代替(代わりの)エンドポイント《訳者注:暫定的な評価項目》において効果を示す臨床データをもとに、重篤もしくは生命を脅かす疾患や病態を治療する薬剤を承認するものである。出資企業は、BRCA遺伝子変異を有する進行卵巣がん患者および他のタイプの卵巣がん患者を対象に、この薬物の研究を続けている。FDAはさらに、rucaparibを現状を打破する画期的治療に指定するとともに優先審査を承認した。また、rucaparibオーファンドラッグ(希少疾患薬剤)にも指定された。これにより、希少疾患の治療を目的とした医薬品の開発を支援し促進するための税額控除、使用料免除、独占権適用といったインセンティブが提供される。

 

Rucaparibはコロラド州ボルダーにあるClovis OncologyInc.により販売されている。FoundationFocus CDxBRCAコンパニオン診断検査は、マサチューセッツ州ケンブリッジのFoundation MedicineInc.により販売されている。

原文掲載日

翻訳白鳥理枝

監修喜多川 亮(産婦人科/東北医科薬科大学病院)

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