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閉経後早期乳がんに対する長期レトロゾール療法の効果は限定的

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閉経後早期乳がんに対する長期レトロゾール療法の効果は限定的

米国がん学会(AACR) サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)2016

 

 

アロマターゼ阻害薬ベースの補助ホルモン療法を5年間実施した後、さらに5年間、レトロゾールによるホルモン療法を実施する療法は、閉経後のホルモン受容体陽性早期乳がん女性患者における無病生存期間または全生存期間の統計学的に有意な改善を示さなかったことが、12月6〜10日に開催された2016年度サンアントニオ乳がんシンポジウムで発表されたNSABP B-42(NRG Oncology)試験の最終データで明らかになった。

 

 

「このランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、長期レトロゾール療法により無病生存期間の改善傾向が示されましたが、その差は統計学的に有意ではなかったことが分かりました。

 

 

長期レトロゾールによる全生存期間への有益性についてもエビデンスが得られませんでした。これらの知見、さらに、2.5年後における動脈血栓性事象リスクのわずかな上昇を考え合わせると、閉経後早期乳がん患者に対し長期レトロゾール療法を推奨する前に潜在的なリスクと有益性を慎重に評価する必要があります」と、UF Health Cancer Center at Orlando Healthの総合乳腺プログラム(Comprehensive Breast Program)メディカルディレクターであり、NRG Oncology Breast Committee委員長であるTerry Mamounas医師(公衆衛生学修士)は述べた。

 

 

「このような評価には、患者および腫瘍の特徴(診断時の年齢、リンパ節状態など)、合併症、骨塩密度の情報、ならびに最初の5年間の内分泌療法に対する忍容性が含まれる必要があります」とMamounas医師は付け加えた。

 

 

過去の試験で、ホルモン受容体陽性早期乳がん患者では、再発の約半数および死亡の約2/3が診断から最初の5年後に起こることが示されているとMamounas医師は説明した。

 

 

NSABP B-42試験の主要目的は、5年間の補助ホルモン療法(アロマターゼ阻害薬単独投与またはタモキシフェンの後にアロマターゼ阻害薬投与のいずれか)を終了した閉経後の早期乳がん患者において、アロマターゼ阻害薬レトロゾールの5年間追加投与は、プラセボ5年間投与と比較して無病生存期間を改善するかどうかを判断することであった。

 

 

2006年9月~2010年1月の間、試験責任医師らは患者3,966人を、5年間毎日レトロゾールまたはプラセボをそれぞれ2.5 mg投与する2群に1:1で無作為に割り付けた。

 

 

本試験の主要評価項目は無病生存期間であり、副次的評価項目は、全生存期間、乳がん無発症期間、遠隔再発、骨粗鬆症性骨折、および動脈血栓性事象などであった。

 

 

解析に含められた患者3,923人のランダム化から得られた追跡調査の中央値は6.9年であった。

 

 

2016年8月現在、631件の無病生存期間事象が記録されている。

 

 

長期レトロゾール療法では、原発乳がん再燃、対側乳房に発現した乳がん、非乳房悪性腫瘍、または他の無病生存期間事象の発現前の何らかの原因による死亡といった、無病生存期間事象のリスク低下は、わずか15%であった。

 

 

長期レトロゾール療法で、全生存期間は改善しなかった。

 

 

しかし、乳がん無発症期間では統計学的に有意な改善が認められ、乳がんの再発または対側乳房の乳がん発現のリスクが29%低下した。

 

 

さらに、遠隔再発の累積リスクでは統計学的に有意とみなされる28%の低下が認められた。

 

 

長期レトロゾール療法では、骨粗鬆症性骨折のリスクまたは動脈血栓性事象の全リスクは有意に上昇しなかった。

 

 

しかしながら、Mamounas医師は、動脈血栓性事象のリスクは全体では上昇しなかったが、レトロゾール投与を受けた患者では2.5年後に上昇したと指摘した。

 

 

「アロマターゼ阻害薬による5年間の治療が完了間近の、閉経後の早期乳がん患者は、治療の継続または中止のいずれかを決定する前に、上記の要素について医師と慎重に比較し、話し合うべきです」とMamounas医師は述べた。

 

 

試験責任医師らは、期間を延長した補助ホルモン療法に伴う遅発性再発のリスクや有益性を予測できることが判明しているさまざまなゲノム分類に基づいて、B-42患者集団における長期レトロゾール投与の有益性を調べる機会をまだ得ていない。

 

 

このような試験は目下計画中であり、間もなく実施される予定であるとMamounas医師は指摘した。

 

 

本試験は、米国国立がん研究所およびNovartis社の資金提供を受けた。

 

 

過去12カ月間で、Mamounas医師はGenentech社、Genomic Health社、GRAIL社、Biotheranostics社、Macrogenics社、Pfizer社、およびCelcuity社の顧問を務めており、Genentech社およびGenomic Health社の講演者として登録されている。

原文掲載日

翻訳太田奈津美

監修廣田 裕(呼吸器外科、腫瘍学/とみます外科プライマリーケアクリニック)

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