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BELLE-3試験でbuparlisibがHR+進行乳がんのPFSを改善

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BELLE-3試験でbuparlisibがHR+進行乳がんのPFSを改善

米国がん学会(AACR) サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)2016

12月6~10日に開催されたサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)2016で発表された第3相臨床試験BELLE-3のデータによると、PI3K阻害剤buparlisib[ブパルリシブ]とホルモン療法の併用が、エベロリムスとエキセメスタンによる治療後に増悪したホルモン受容体(HR)陽性進行乳がん患者の転帰を改善した。

 

「PI3K阻害剤とホルモン療法の併用治療が、エベロリムスとエキセメスタンによる治療後に増悪したHR陽性進行乳がん患者にとって、現実的な治療の選択肢であるという証拠が、第3相臨床試験において初めて得られました」と、イタリア、プラートにあるOspedale Misericordia e Dolceの腫瘍医、Angelo Di Leo医師は述べた。

 

「この新たな治療では、特定のER陽性患者群において細胞毒性を有する化学療法の開始をさらに遅らせることができます」と、同氏は付け加えた。

 

PI3K/mTOR経路と呼ばれる細胞シグナル伝達経路は、PIK3CA遺伝子変異で活性化することがあり、それがアロマターゼ阻害剤などのホルモン療法に対する抵抗性亢進に主な役割を果たすことが、これまでの研究で示されていた。

 

BELLE-3試験の目的は、HR陽性、HER2陰性、アロマターゼ阻害剤(AI)既治療で、mTOR阻害剤エベロリムスによる治療後または治療中に増悪した、局所進行または転移を有する乳がん患者に対して、フルベストラントにブパルリシブを追加する治療を行い、安全性と効果を評価することであった。

 

研究者らは、432人の患者をブパルリシブとフルベストラント連日併用投与群と、プラセボとフルベストラント投与群に無作為に割り付けた(2:1)。すべての患者は過去にAI治療を受け、ホルモン療法とエベロリムスとの併用治療中割り付けの30日間以内に増悪していた。

 

本試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、副次的評価項目は全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)、臨床的有用率(CBR)、安全性および有効性などで、患者の血液検体を用い、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)におけるPIK3CA遺伝子の状態に基づき評価した。

 

無増悪生存期間(PFS)中央値は、ブパルリシブ群が3.9カ月で、プラセボ群が1.8カ月であった。6カ月無増悪生存率はそれぞれ30.6%と20.1%であった。評価時に病勢進行が認められた割合はブパルリシブ群が33%低かった。

 

ctDNAからPIK3CAの状態のデータを得られた349人の患者のうち、147人の遺伝子には変異が認められ、残りの患者の遺伝子は正常であった。PIK3CAに変異を有する患者のうち、無増悪生存期間(PFS)は、ブパルリシブ群で4.7カ月、プラセボ群で1.6カ月であった。評価時に病勢進行が認められた割合は、ブパルリシブ群で変異を有している患者が50%低かった。この効果は腫瘍組織のPIK3CAの状態も反映していた。

 

「ブパルリシブは、PIK3CA変異がない時は関連する作用がみられないと考えられるため、PIK3CA変異の検査は重要だと思われます」と、同氏は述べた。「PIK3CA検査は、腫瘍検体やリキッドバイオプシーと呼ばれる血液検体で行うことができますが、どちらの検体からも同様の情報が得られるようであることを観察するのは興味深いことです」と、同氏は付け加えた。

 

全奏効率(ORR)と臨床的有用率(CBR)も、ブパルリシブ群の方がプラセボ群よりも有意に高かった。

 

ブパルリシブでの治療はいくつかの副作用が認められ、最も重要なものは、肝酵素の上昇、不安や鬱などの精神科的症状であった、と同氏は言及した。これらの副作用は患者のQOLの低下につながり、一時的または永続的な治療中止の原因になる可能性がある、と同氏は述べた。「これらすべてを考慮すると、同程度の作用があり、より良好な安全性プロファイルを示す新たなPI3K阻害剤の同定を試みる、さらなる研究が必要だと私は確信しています」と、同氏は述べた。

 

「本試験の結果は、新たな範疇の抗がん剤の有望な作用を示し、科学界にとって重要なものですが、私の意見としては、この薬剤がER陽性進行乳がん患者の新しい標準治療となると考えるには時期尚早であると思います」と、同氏は言及した。

 

本試験はNovartis社の資金提供を受けた。Di Leo氏は、AstraZeneca社、Bayer社、Eisai Pharmaceuticals社、Genomic Health社、Eli Lilly社、Novartis社、Pfizer社、Pierre Fabre社、およびRoche社の顧問で、講演料を受領している。

原文掲載日

翻訳平沢 沙枝

監修廣田 裕(呼吸器外科、腫瘍学/とみます外科プライマリーケアクリニック)

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