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進行卵巣がん術前化学療法、一部の患者には利益がない

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進行卵巣がん術前化学療法、一部の患者には利益がない

転移している卵巣がん患者が術前化学療法で利益を受ける可能性を示す研究結果が発表されてから、術前化学療法の使用が大幅に増えていることがダナ・ファーバ研究所などの研究者による新たな研究で報告された。しかしながら特定の患者集団では、術前化学療法は、手術を先行させる従来の手法より一般的に生存期間が短いという結果も示された。

 

研究者らは、ステージ3C(大きさが2cm以上の腫瘍が上腹部に転移している病期)の患者では、手術前に化学療法を受けるよりも、先に手術を受けた方が有意に長く生存する傾向にあることを見出した。これに対して、がんが腹部以外に広がっているステージ4の卵巣がん患者の場合は、手術あるいは化学療法のどちらを先行させても、結果はほぼ同様だった。

 

これらの知見は、注意深く選定されたステージ3Cの患者では、術前すなわち「ネオアジュバント」化学療法よりも、腫瘍切除手術による治療を先行させた方が、生存率で利益を与える可能性があることを示唆している。しかし、ステージ4の患者に関しては、ネオアジュバント化学療法は少なくとも手術を先行させた場合と有効性は同程度であるが、集中治療室での治療や再入院が必要となる確率は低くなる。

 

「ネオアジュバント化学療法を受けたステージ3Cの患者が、先に手術を受けた患者より結果が悪かったことに驚きました」と、本研究の上席著者でダナ・ファーバ研究所Suzan F. Smith婦人科がんセンターのAlexi Wright医師は述べた。「生存期間は二つの群で同程度と予想していました。これまでの試験では、そういう結果が示されていたからです」。本論文の第一著者で責任著者は、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのLarissa A. Meyer医師である。

 

進行した卵巣がん患者1538人のデータを研究者が分析したところ、ステージ4の患者の生存期間はネオアジュバント化学療法を受けたか、先に手術を受けたかにかかわらず、同程度だった。しかしながらステージ3Cの患者の生存期間中央値は、ネオアジュバント化学療法群が33カ月だったのに対し、先に手術を受けた群は43カ月だった。

 

ネオアジュバント化学療法を受けたステージ3Cの患者は、手術後に残存する腫瘍は1cm以下の場合が多いと思われるが、残存腫瘍のこうした大幅な減量が生存期間の延長に寄与していないことを示した。これと比べて、最初の手術で残存腫瘍を同程度まで減量できた患者は、ネオアジュバント化学療法を受けた患者より生存期間が長かった。この結果は、ネオアジュバント化学療法後に残ったがん細胞が、その後の化学療法に抵抗性を得た可能性を示唆している。

 

本研究は、ネオアジュバント化学療法受けた進行卵巣がん患者は、最初に手術を受けた患者と比べ少なくとも同程度の生存期間だが、治療関連の合併症が少ないという2010年の欧州での臨床試験結果の影響を評価する意図だった。(ネオアジュバント化学療法は腫瘍を縮小するのに役立ち、手術を容易にする可能性がある。ネオアジュバント化学療法の使用の有無にかかわらず、一般的には手術後に残ったがん細胞を除去するために、化学療法を実施する)

 

患者のデータ分析から、進行した卵巣がん患者へのネオアジュバント化学療法の使用頻度は、2003年から2012年までの間に著しく増えたことが明らかになった。ステージ3Cの患者では16%から34%へ、ステージ4の患者では、41%から62%へと増えていた。

 

「2件の大規模な欧州での臨床試験結果で、化学療法を先に実施した方が安全である可能性が示されるまで、すべての卵巣がん患者に対して化学療法前に手術を実施すべきと長年考えてきました」と、Wright氏は話す。「米国の多くの医師はこれらの試験結果に疑問を持ち、反対意見を公に表明する医師もいました。しかしながら私たちの研究では、予想よりもはるかに頻繁に医師がネオアジュバント化学療法を使っていることが明らかになりました」。

 

著者らは、さらなる研究として手術後の残存腫瘍の大きさが異なる患者におけるネオアジュバント化学療法の有効性を調べることを提言した。
 

本論文の第一著者および責任著者は、Larissa A. Meyer, MD, MPH, of University of Texas MD Anderson Cancer Center. 共著者は次の通り。 Charlotte C. Sun, DrPH, MPH, Charles F. Levenback, MD, of MD Anderson; Angel M. Cronin, MS, and Ursula A. Matulonis, MD, Dana-Farber/Brigham and Women’s Cancer Center; Kristin Bixel, MD, and David M. O’Malley, MD, of The Ohio State University Comprehensive Cancer Center; Michael A. Bookman, MD, of US Oncology Research and Arizona Oncology; Mihaela C. Cristea, MD, and Joyce C. Niland, PhD, of City of Hope Comprehensive Cancer Center; Jennifer J. Griggs, MD, MPH, of University of Michigan Comprehensive Cancer Center; Robert A. Burger, MD, of the University of Pennsylvania; and Gina Mantia-Smaldone, MD, of Fox Chase Cancer Center.

 

本研究は米国国立がん研究所(Grants No. K07 CA166210 and K07 CA201013)と、テキサス州がん予防研究所(Grant No. RP140020)から資金提供を受けた。

原文掲載日

翻訳片瀬ケイ

監修喜多川 亮(産婦人科/東北医科薬科大学病院)

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