FDAが頭頸部扁平上皮がん治療にペムブロリズマブを迅速承認

Oncology Approved Drugs

2016年8月5日、米国食品医薬品局(FDA)は、白金製剤を含む化学療法の実施中または実施後に疾患が進行した再発または転移性の頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)の治療に、pembrolizumab[ペムブロリズマブ](商品名:Keytruda[キイトルーダ]注射剤、Merck Sharp & Dohme Corp.社)を迅速承認した。

承認は、国際多施設共同、非無作為化、非盲検、マルチコホート試験の部分群において示された客観奏効率(ORR)の持続に基づいて行われた。この部分群には、白金製剤を含む化学療法の実施中または実施後に疾患が進行した再発または転移性HNSCC患者174人が含まれた。患者はペムブロリズマブ10 mg/kgを2週に1回または200 mgを3週に1回、静脈投与された。

ORRは、固形腫瘍における奏効評価基準(RECIST)1.1に従って、独立審査委員会が特定した。これら174人の患者のORRは16%(95%信頼区間[CI]:11~22%)であった。解析時は、奏効期間の中央値にはまだ到達していなかった。奏効期間の範囲は2.4~27.7カ月(奏効継続中)であった。奏効した28人の患者のうち、23人(82%)が6カ月以上の奏効を示した。

安全性データは、ペムブロリズマブ10 mg/kgを2週に1回または200 mgを3週に1回投与された192人のHNSCC患者を対象に評価された。もっともよくみられた(20%またはそれ以上)有害反応は、疲労、食欲減退、呼吸困難であった。

HNSCC患者に発現した有害反応は、メラノーマ(黒色腫)または非小細胞肺がん(NSCLC)の患者に発現した有害反応と類似していたが、例外として、顔面浮腫(全グレートで10%、グレード3~4で2.1%)および甲状腺機能低下症の発現または悪化(全グレードで14.6%)があった。

もっとも頻度が高い重篤な有害反応(2%またはそれ以上)は、肺炎、呼吸困難、錯乱状態、嘔吐、胸水、呼吸不全であった。臨床的に重大な免疫介在性の有害反応としては、間質性肺炎、大腸炎、肝炎、副腎不全、糖尿病、皮膚毒性、筋炎、甲状腺疾患などがあった。

迅速承認の条件として、ペムブロリズマブの臨床的な利益を確認および説明し、ペムブロリズマブが標準療法よりも優れていることを証明する多施設共同無作為化試験の実施が、Merck社に義務付けられている。Merck社は、白金製剤を含む化学療法の実施中または実施後に疾患が進行した再発または転移性のHNSCC患者を対象に、全生存率を主要評価項目として、多施設共同無作為化試験(KEYNOTE 040)を実施中である。

この適応のペムブロリズマブの推奨用量および投与スケジュールは、200 mgを3週に1回、30分かけて静脈内注入する。

現在の適応は、FDAの迅速承認プログラムで承認された。この申請は優先審査の対象となった。これらの迅速プログラムについての説明は、企業向けガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品および生物製剤」に掲載されており、http://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatoryinformation/guidances/ucm358301.pdfで閲覧できる。

全処方情報は、 http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2016/125514s009lbl.pdfで閲覧できる。

翻訳担当者 鴨田弘子

監修 高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)、

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