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アルゼンチンタンゴが、がん治療後のバランス障害回復に効果

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アルゼンチンタンゴが、がん治療後のバランス障害回復に効果

オハイオ州立大学総合がんセンター

オハイオ州立大学の学際的研究チームは、ダンス(特にアルゼンチンタンゴ)が治療の一環として、末梢神経障害を伴うがん患者の平衡感覚を大幅に改善し、転倒のリスクを軽減する可能性があるという、新しい研究結果を発表した。

 

この予備研究は、オハイオ州立大学総合がんセンターArthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Institute(OSUCCC – James)のがん研究に対して1億600万ドル以上を集めた、オハイオ州コロンバスのグラスルーツ(草の根運動)サイクリングイベントPelotoniaの資金提供を受けた。

 

Pelotoniaフェローで医学進学課程およびダンス専攻のMimi Lamantia氏と、オハイオ州立大学Wexner Medical Centerの神経科学研究所で運動を研究している理学療法士Lise Worthen-Chaudhari氏が共同研究を行った。

 

がん治療に多い副作用に取り組む研究

化学療法を受けた患者の最大70%に、がん治療の副作用として末梢神経障害が起きる。症状としては、手、指、足と足の指に感覚の喪失がおき、化学療法から6カ月経った後も、患者の3人のうち1人にこの障害が残る。

 

研究者らは、足と足の指への長期的な神経障害は患者のバランスや歩行に影響を与えるため、特に問題であり、この障害によって、患者の日常生活での転倒リスクが高まると考えている。

 

「ますます多くの人々ががんサバイバーとなる現実から考えて、これは大きな問題です。がん発症後の生活の質に影響を与える問題に取り組むことは、とても重要なことです。ダンサーとして運動の技術を、そして生体力学(バイオメカニクス)の研究者兼リハビリ科学者として運動の数学と科学を研究する中、これらの研究を1つにまとめることで神経障害のあるがんサバイバーを救済できると考えました」と、オハイオ州立大学の理学療法・リハビリテーション部門の教員であるWorthen-Chaudhari氏は述べている。

 

がんサバイバーの転倒リスクの生体力学的予測因子におけるアルゼンチンタンゴ練習の効果を評価するために、Lise Worthen-Chaudhari氏とLamantia氏は、20セッションからなるアルゼンチンタンゴのダンス介入コースを作った。患者は、週2回1時間のセッションに10週間参加した。

 

研究者らは、床反力計測システムを使って、ダンス介入治療の開始時と10週間後の完了時で、患者が目を閉じて立った状態での姿勢の傾き度を測定した。患者には、介入治療の満足度も報告してもらった。

 

「多くの患者から理学療法は大変で辛いので、理学療法を続けることは難しいと聞いています。一方、今回の研究でアルゼンチンタンゴは、平衡感覚回復にかなりの効果があることがわかり、しかも、参加した患者は、ダンス療法は本当に楽しかったと話してくれました。ダンス療法は、患者に必要な理学療法を他の人と一緒に楽しくできる方法であり、私たちの初期データはアルゼンチンタンゴが平衡感覚回復になんらかのプラスの効果をもたらすことを示しています」。こう話すLamantia氏は、この研究のために約30人のがんサバイバーにアルゼンチンタンゴを教えた。

 

アルゼンチンタンゴ療法研究に参加した最初の3人の患者の初期データは、2016年11月3日、イリノイ州シカゴで行われる2016年米国リハビリテーション医学会年次総会で発表される予定である。

 

Lamantia氏は、「アルゼンチンタンゴは、治療後にバランス障害を発症するがんサバイバーにとって将来有望な介入治療で、アルゼンチンタンゴを始めてからわずか5週間後に体の傾き度(左右と前後の揺れ)は56%改善されました」と、述べている。

 

本研究は、がんサバイバーがアルゼンチンタンゴのダンスベース介入治療に満足し、この介入治療が平衡感覚改善に有効であるかどうかを示す、最初の検証結果である。

 

Lamantia氏は、「ダンスを教える立場として、私自身、10週間のアルゼンチンタンゴのダンスコースを通して、それぞれの患者が計り知れない喜びを感じ、自信を持ち、運動の質が向上するのを目の当たりにしました」とも、付け加えた。

 

Pelotonia Fellowship Program(Pelotoniaフェローシッププログラム)について

Pelotonia Fellowship Program(Pelotoniaフェローシッププログラム)は、オハイオ州立大学の学部生、大学院生、医学生、およびポスドクや海外からの研究者に、1年間から2年間の研究活動(リサーチフェローシップ)の機会を与えている。プログラムは、オハイオ州立大学の399人の学生に研究費として、1,100万ドル以上の資金を提供している。

 

Pelotonia2016イベントへの参加についての詳細は、pelotonia.orgをご覧ください。

原文掲載日

翻訳ローランド純代

監修前田梓(医学生物物理学/トロント大学)

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