スタチンと癌予防 Q&A | 海外がん医療情報リファレンス

スタチンと癌予防 Q&A

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

スタチンと癌予防 Q&A

1. スタチンとは何ですか?

スタチンはコレステロールを低下させる薬剤の一種で、何百万人ものアメリカ人が服用しています。このクラスの薬剤はHMG-CoA(3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A)還元酵素という酵素を遮断することによって機能します。この還元酵素は身体がコレステロールを作る際に必要なものです。スタチンは血中コレステロールを下げることによって、心疾患の治療および予防を助けます。米国では、アトルバスタチン(商標リピトール)、ロバスタチン(商標メバコール)、プラバスタチン(商標プラバコール)、シンバスタチン(商標ゾコール)が医師の処方によって入手可能です。米国ではスタチンは処方箋がなければ入手できません。

2. スタチンは癌を予防できるのですか?

動物研究や、スタチンを摂取している被験者の経過観察(現在継続中)によると、こういった薬剤は結腸直腸癌や皮膚癌など特定の癌の危険度を下げる可能性があると見られています。スタチンには心血管系疾患を予防する利点があり、またスタチン薬剤は比較的安全であるという長年の有力な証拠がありますので、研究者達は、スタチンに癌予防の可能性があるかどうかを研究しているのです。臨床試験以外でスタチンを癌予防目的で摂取することはできません。


3. なぜ、研究者はスタチンが癌を予防するかもしれないと考えるのですか?

癌進行におけるスタチンの効果を分子レベルで研究したところ、スタチンは、発癌、増殖、転移の調整を担うと考えられる重要な細胞機能に対して対抗する作用があるのが判りました。具体的には、スタチンはHMG-CoA還元酵素の作用を減少(またはブロック)し、そのためメバロン酸とその関連生成物レベルを低下させます。メバロン酸経路は、細胞膜統合性、細胞シグナリング、蛋白合成、細胞周期進行において一定の役割を担っており、これはすべて、癌進行を食い止めるために介入できる可能性がある領域なのです。

4. スタチンによく見られる副作用はどんなものですか?

一般に忍容性は高いのですが、スタチンには筋痛(ミオパシー)や肝毒性との関連性が認められています。こういった理由がありますので、スタチンを摂取する場合は医療機関によるモニターが必要です。

5. 国立癌研究所(NCI)はスタチンの結腸直腸癌予防の可能性に関する研究を支援しているのですか?

NCI癌予防臨床試験協会では、結腸直腸癌になる危険が高く、かつ、大腸癌前駆病変(大腸異常腺窩巣ACF)が認められた患者の臨床試験を立案中です。ACFは、結腸直腸の内面における異常細胞のクラスター(一群)で、結腸直腸腫瘍の発生に関与しています。現在の技術によれば、ACFは結腸直腸癌になる危険を最も早期に検出できる指標となっています。

NCIが支援しているこの第Ⅱ相試験は、2005年後半もしくは2006年前半には患者の登録を開始する予定です。同試験は、ACFに対するアトルバスタチン(および、他の治験薬2種、すなわち抗炎症剤のスリンダクと、結腸で健康なバクテリアの増殖を高める薬剤1種)の有効性を評価します。本多施設臨床試験はポール・ランブール博士(ミネソタ州ロチェスターのメイヨー・クリニック胃腸科研究員)が主導する予定になっています。

6. スタチンには結腸直腸癌への影響が考えられるというのは、どういった根拠からですか?

研究室で培養した結腸癌細胞の増殖をスタチンが抑制することが研究結果から示されています。ある種のスタチンが結腸癌に対して一定の予防効果をもつことが最初に述べられたのは、1994年発行のげっ歯類における癌研究でした。

その後、ヒトによる観察研究でも、スタチンに結腸直腸癌に対する予防効果があることを示唆するものが出ています。ごく最近では、ミシガン大学の研究者達がイスラエルの研究者と共同で、結腸直腸癌と診断された患者1,953例と、非罹患者2,015例とにおけるスタチンの使用を比較しました。同研究では、スタチンの使用は、もう一種の脂質低下薬(フィブレート)の使用とは対照的に、結腸直腸癌の危険を47%低下させるという明確な結果となりました。[スタチンと結腸直腸癌の危険度。JN. Poynter他、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン、2005年5月26日、352:2184-92]。

7. NCIでは、スタチンが他のタイプの癌を予防するかどうかの研究を支援していますか?

NCIは、皮膚悪性黒色腫の前駆病変である異型(いわゆる異形成)母斑の前癌性変化をロバスタチンが改善させ、悪性黒色腫への進行を予防することができるかを評価する第Ⅱ相プラセボ対照試験を立案中です。カリフォルニア州アーヴィンのカリフォルニア大学皮膚科研究員、ケン・リンデン博士がこの多施設臨床試験を率いる予定です。同研究は、2005年後半もしくは2006年前半に被験者の登録を開始します。

8. 脂質低下薬が皮膚癌を予防するというのは、どういった根拠からですか?

2つの大規模心血管系臨床試験では、脂質低下薬を服用した被験者の皮膚癌に有意な減少が見られました。スタチンの使用が皮膚癌のリスクを明確に減少するという臨床データは示されていませんが、さまざまなヒト臨床試験や前臨床試験では、スタチンが皮膚癌に対して化学的予防作用を有する可能性を示唆しています。

9. もっと詳しい情報はどこで手に入りますか?

癌のより詳しい情報については、http://www.cancer.gov内のNCIウェブサイトをご覧いただいたり、癌情報サービス (The Cancer Information Service ) 1-800-4-CANCER (米国内フリーダイヤル1-800-422-6237)までお電話ください。
癌予防の情報は、NCIの癌予防部門ウェブサイトhttp://www3.cancer.gov/prevention/でご覧いただけます。
コレステロール低下薬についての詳しい情報は、FDAのウェブサイトhttp://www.fda.gov/default.htmをご覧ください。

(Snowberry 訳・Dr.榎本 裕(泌尿器科) 監修)


参考:スタチンと副作用Statin drugs and Side effects

スタチンによるCoQ10欠乏PMID: 15210526

原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward