「ライト」タバコの真実:Q&A

NCIファクトシート

Key Points

・「ライト」タバコのパッケージや宣伝の低タール、低ニコチンの記載は、誤った概念を与えています。(Question 1参照)

・「ライト」タバコは、喫煙測定器を誤認させるため、数値の上では低タール、低ニコチン値が得られます。(Question 2参照)

・「ライト」タバコは喫煙者の健康に一切恩恵を与えません。(Question 3参照)

・禁煙希望者は情報を参照できます。(Question 6参照)

多くの喫煙者は「低タール」「マイルド」「ライト」「ウルトラライト」などのタバコを「レギュラー」「フルフレーバー」より健康への害が少ないと思って選びます。「ライト」タバコの煙は、のどや胸になめらかで軽く感じられるかもしれませんが、「ライト」タバコは通常のたばこより健康によいわけではなく、実際に「ライト」タバコは喫煙による健康のリスクを下げることはありません。喫煙者そして周囲の人たちへのリスクを下げるためには、完全に喫煙をやめるしかないのです。


1.「ライト」「ウルトラライト」タバコの製品パッケージや宣伝に表示されているタールやニコチンの低い数値はどのような数値でしょうか?

  1. ◆こうした数値はスモーキングマシン(Smoking machine)で測定されたもので、各ブランドのタバコを全く同一の方法で測定しています。
  2. ◆人間はタバコをマシンのように画一的に吸うことはないので、こうした数字は、ある喫煙者がどれだけのタールとニコチンを摂取するかの値ではありません。

2.「ライト」タバコはどのようにスモーキングマシンを誤認させるのでしょうか?

  • ◆ タバコ会社はフィルターに小さな針の穴を開けることにより「ライト」タバコを作ります。スモーキングマシンに「ライト」タバコを吸わせたとき、これらのフィルターの通気孔からの空気によってタバコの煙の濃度が薄まるため、数値の上では低タール、低ニコチン値となります。
  • ◆ 多くの喫煙者は、タバコのフィルターに通気孔があることを知りません。スモーキングマシンがタバコを吸う際には、その通気孔は開けてあります。しかしながら、通気孔は喫煙者が喫煙の際に唇や指を当てる場所からほんの数ミリのところにあり、多くの喫煙者はその通気孔を塞いでしまうため、「ライト」タバコは通常のタバコとなります。
  • ◆ 会社によっては、タバコのフィルターの周りを包むペーパーの長さを長くするところもあります。それによってタバコ1本あたりの吸入回数を減らそうというもので、スモーキングマシンでは確かに減ります。フィルターを包むペーパーの内側のタバコは喫煙可能ですが、マシンのテストではタバコのこの部分は燃やされません。したがって、マシンでは喫煙者が吸うことができる値より低いタールとニコチンの測定値となります。
  • ◆ マシンの場合と異なり、喫煙者はニコチンを非常に欲しており、とても深く吸入すると考えられます。また、もっと大きなタバコをもっと速く、もっと回数多く吸入する、もしくは渇望を満足させるに足るニコチンを摂取するために1日の本数を増やすかもしれません。これを「埋め合わせ」といい、喫煙者はマシンの数字が示す値より多くのタール、ニコチン、有害化学物質などを吸入することになります。

3.「ライト」タバコが健康に及ぼす影響について、どのような科学的エビデンスがありますか?

  • ◆ 連邦政府の国立癌研究所(NCI)は、「ライト」タバコは喫煙者の健康にとって利点は一切ないとの結論に達しました。
  • ◆ NCIの研究論文「Risks Associated with Smoking Cigarettes with Low Machine-Measured Yields of Tar and Nicotine(機械測定による低タールと低ニコチンタバコの喫煙関連リスク)」によると、通常のタバコから「ライト」タバコに代えた喫煙者は同量の有害化学物質を吸入していると考えられ、喫煙に関連する癌や他の疾患に罹患に対してハイリスクは変わりません。
  • ◆ タバコ会社による「ライト」タバコの宣伝、販売促進のやり方は、喫煙者を安心させ、禁煙の意志をくじき、フィルター付き、または「ライト」タバコが通常のタバコより安全な代替品であると消費者に認知させる意図があることも専門家らにより判明しています。

◆ 実際、喫煙者が「ライト」タバコや「ウルトラライト」タバコに代えることで、タバコをやめるのに役立つというエビデンスもありません。


4.「ライト」タバコを喫煙中に実際に吸収するタールとニコチン量に関してタバコ会社は調査したことがありますか?

  • ◆ タバコ業界独自の文書によると、タバコ会社は「ライト」タバコの喫煙者が大きく吸引することで不足分を補っていることを認めています。
  • ◆ タバコ業界の文書には、マシンで測定したタールやニコチン吸収量と喫煙者が実際に吸う量とが異なることを認めていることも記載されています。

5.喫煙者が自身の健康を守りたい場合、一番重要なことは何ですか?

  • ◆ 安全なタバコなどといわれるものはありません。喫煙に関連のある病気のリスクを減らす唯一の証明された方法はタバコを完全にやめることです。
  • ◆ 禁煙者は喫煙を続けた人に比べ、より長生きします。また、タバコをやめる時期が早いほど、健康の恩恵は大きくなります。年齢30歳以前にやめた人々はタバコに関連するほとんどの病気のリスクを回避することができると研究で示されています。50歳でやめた人もタバコに関連する病気で死ぬリスクが減少します。
  • ◆ タバコをやめることで、肺癌、心臓発作、脳卒中、慢性肺疾患のリスクも減少します。

6.禁煙に関する情報はどこで得られますか?

さらに詳細な喫煙と禁煙に関する情報については、以下にコンタクトしてください。

(略)

このファクトシートは、米国疾病対策および予防センターのthe Office on Smoking and Health(喫煙と健康オフィス)とNCIの共同制作です。


参照文献   *文中の()内番号

Doll R, Peto R, Boreham J, et al. Mortality in relation to smoking: 50 years’ observations on male British doctors. BMJ 2004; 328 (74550): 1519.
(喫煙に関連する死亡:イギリス人男性医師における50年の観察)

National Cancer Institute. Smoking and Tobacco Control Monograph 13: Risks Associated with Smoking Cigarettes with Low Machine-Measured Yields of Tar and Nicotine. Bethesda, MD: NCI, 2001.
(国立癌研究所 喫煙とタバココントロールモノグラフ13:機械測定による低タール、低ニコチンタバコの喫煙関連リスク)


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翻訳担当者 野中 希

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原文掲載日 

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