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FDAがESA製剤の推奨用量を改訂/FDAニュース

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FDAがESA製剤の推奨用量を改訂/FDAニュース

For Immediate Release: 2011年6月24日
Media Inquiries: Karen Riley, 301-796-4674
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

FDAESA製剤の推奨用量を改訂
慢性腎疾患の貧血治療に使用した場合に増大する心血管疾患リスクを示す

米国食品医薬品局(FDA)は本日付で、脳卒中、血栓症などの心血管イベントや死亡のリスクを増加させるとの理由から、慢性腎疾患(CKD)患者の貧血治療に使われる赤血球生成刺激剤(ESA製剤)の推奨投与量を下げるよう勧告した。

ESA製剤は、骨髄にある原始細胞を刺激することで血液中の酸素を運ぶ主な細胞である赤血球を産生するエリスロポエチンと呼ばれるヒトタンパク質の化学合成物である。血中ヘモグロビンとは、血液中の赤血球数を示す臨床検査測定値で、貧血の場合、ヘモグロビン値が異常に低い。

ESA製剤は、CKDや化学療法、あるいはその他特定の要因による貧血症の治療薬として認可されている。ESAに分類される薬剤には、エポエチンアルファ(商標名Epogen〔エポジェン〕、Procrit〔プロクリット〕)とダルベポエチンアルファ(商標名Aranesp〔アラネスプ〕)がある。

添付文書の黒枠警告等に現在追記中の勧告は、正常あるいはほぼ正常な血中ヘモグロビン値を達成すべくESA製剤を投与した場合、心臓発作や脳卒中など心血管イベントのリスクが増大することを示す複数の臨床試験の結果を受けたものである。また、ESA製剤が、患者の生活の質(QOL)や倦怠感、健康状態を向上させないことは既に明らかにされている。

「医師は、ESA製剤が重篤な心血管イベントの発症リスクを高めるということを念頭において、CKD患者へのESA製剤を使った治療開始タイミングを検討し、かつ、その投与経過を十分に監視していくべきである。また、使用に伴うリスクを患者に伝えるべきでもある」と、FDA医薬品評価研究センター新薬審査部の局長John Jenkins医師は述べている。「療法を患者ごとに個別化し、ESA投与量を可能な限り抑え、なおかつ、赤血球輸血の必要性を低下させなければなりません。」

疾病対策予防センターによると、米国における20歳以上のCKD患者は2,000万人を超える。

これまでESA製剤の製品ラベルには、CKD患者が10~12 g/dLのヘモグロビン値を達成・維持するよう同製剤を投与することを推奨する表示がされていたが、今回の改訂により、この「ヘモグロビン目標値範囲」の概念が添付文書から削除される。

今後、ESA製剤の添付文書には下記のとおり記載される。

医師ならびにそのCKD患者は、ESA製剤使用による赤血球輸血の必要性を低めることができるかもしれないというベネフィットを、その使用により増加する重篤な心血管イベントの発症リスクと比較すること。患者ごとに投与を調節し、輸血の必要性を減らすに足る最低限の用量でESA製剤を使用すること。 

透析を受けていない慢性腎疾患に伴う貧血患者は、 

  • ヘモグロビンレベルが10 g/dL未満になった時点、あるいは、ある特定の条件下においてのみESA製剤の使用開始を検討すること。
  • ヘモグロビンレベルが10 g/dLを超えた時点で、ESA製剤の投与量を減らすか、もしくは、その投与を中断すること。

透析中の慢性腎疾患に伴う貧血患者は、

  • ヘモグロビンレベルが10 g/dL未満となった時点でESA製剤の使用を開始すること。
  • ヘモグロビンレベルが11g/dLに達しつつある場合、あるいは、11g/dLを超えた時点で、ESA製剤の投与量を減らすか、もしくは、その投与を中断すること。

「開始」とはESA製剤の第1回目の投与を意味するが、添付文書では10g/dLをどのくらいまで下回った場合に「開始」するのが適切かについては定義しない。また、ESA製剤使用によるヘモグロビン目標値を10g/dLとすべきか、それとも、10g/dL超とすべきかについても提言しない。投与は患者ごとに個別化する。

CKD患者に対する改訂後のESA製剤の推奨投与量は、ヘモグロビン目標値を11g/dL超としてESA製剤を使用した場合において心臓発作や脳卒中といった重篤な心血管イベントのリスクが増大し、また、患者に対してヘモグロビン値上昇以外のいかなるベネフィットももたらさないことを示したTREAT(Trial to Reduce Cardiovascular Events with Aranesp Therapy)試験などの臨床試験から得られたデータに基づいている。

CKD患者の貧血治療のためのESA製剤使用については、2007年9月11日に開かれた心血管薬諮問委員会と薬物安全性諮問委員会による共同会議、ならびに、2010年10月18日に開かれた心血管・腎臓薬諮問委員会で討議された。

加えて、FDAは、ESA製剤に係る現行のリスク評価・軽減戦略(REMS)の変更を承認中である。REMSとは、FDAが市販後における医薬品の重大なリスクを管理するために必要に応じて発動させるプログラムである。

Amgen Inc.はカリフォルニア州Thousand Oaksに本社を置く企業である。

詳しくは下記を参照のこと:

FDA Drug Safety Communication

******
村上 智子 訳
大渕 俊朗 (呼吸器・乳腺内分泌・小児科/福岡大学医学部) 監修
******

原文

この記事に関連した記事:

赤血球生成促進剤(ESA製剤)に関する公聴会

赤血球生成促進剤(ESA製剤):Procrit, EpogenおよびAranesp:医薬品安全性通達    FDAが化学療法に伴う貧血の治療薬(ESA製剤)に対する新たな安全性計画を発表

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