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リスクに基づく肺がん検診で、従来法より死亡率が低下する可能性

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リスクに基づく肺がん検診で、従来法より死亡率が低下する可能性

米国国立がん研究所(NCI)ブログ~がん研究の動向~

 

低線量コンピューター断面撮影(CT)による肺がん検診の対象となる喫煙者および元喫煙者を選択するために、リスクモデルに基づいたアプローチをNCI(米国国立がん研究所)の研究者らが開発した。研究者らは2つの肺がん検診試験と米国の健康調査のデータを用い、5年間で予防できる肺がんによる死亡は、現在推奨されている検診よりもこの新しいアプローチの方がより可能性が高いと推定した。

 

この統計解析の結果は5月15日付けのJAMA誌に掲載された。

 

複数の肺がんリスク因子の解析に基づき、研究者らは肺がんで死亡するリスクが高い喫煙者および元喫煙者を特定する統計モデルを開発、検証した。年齢、喫煙歴、人種、性別、肥満指数、教育、肺がんの家族歴そして肺気腫を患っているか否かを含め、わかっているすべてのリスク因子についての詳細な情報がこのモデルでは考慮されている。

 

「個別にリスク評価することで、肺がんによる死亡の回避に役立つだけではなく、従来の方法を上回る有効性と効率性を備えた検診に改善できる可能性があることが、われわれの結果から示唆されたのです」と、この試験の筆頭著者であるNCIがん疫学・遺伝学部門のHormuzd Katki博士は述べた。

 

肺がん死亡の減少

 

低線量CT検査による検診により重度喫煙者における肺がん死亡のリスクが低下することは、National Lung Screening Trial(NLST)で示された。この試験では、年1回のCT検査を3年にわたって受けることで重度喫煙者の肺がん死亡率が、標準的な胸部X線による検診を受けた参加者の死亡率と比較して20%低下することが示された。

 

この試験結果と追加のモデル化研究に基づいて、重度喫煙歴(少なくとも1日1箱を30年以上)があり、現喫煙者あるいは15年以内にやめた元喫煙者である55から80歳の個人を対象に、年1回のCT検診を米国予防医学専門委員会 (USPSTF)は推奨している。

 

先のNLSTデータの解析の中で、CT検診によって予防された肺がん死亡は高リスクと判断された参加者において最も多く、低リスクと判断された参加者においては極めて少なかったとNCIの研究者らは報告している。対象となる喫煙者をさらに細かく分類するというリスクに基づいた個別のアプローチが、最も利益が得られる個人を特定するより良い方法である可能性があるとKatki氏は言及した。

 

モデルの検証

 

この方法を評価するため、Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian Cancer Screening Trial (PLCO)で得られたデータを基に開発したリスクモデルを用い、USPSTF推奨の方法との比較を行った。モデルの検証には、PLCO、NLSCおよび米国国民健康調査(National Health Interview Survey)のデータを使用した。

 

USPSTFの基準を満たした現喫煙者および元喫煙者は900万人で、CT検診により5年間で4万6千人の肺がん死亡を予防できる可能性があると著者らは推定した。

 

しかしながら、リスクに基づき改良された検診方法を用いて同じ900万人の喫煙経験者から検診対象を選択すると、5年間でおよそ20%多い推定5万6千人の肺がん死亡を予防できる可能性があることが、この試験の著者らによって見出された。

 

また研究者らは、検診の有効性を示す一般的な2つの評価基準において、リスクに基づくアプローチにより肺がん検診が改善されている可能性もあると推定した。この2つとは、1人の死亡を予防するために必要となる検診受診者数の減少(194人から162人へ)と、予防された死亡ごとの偽陽性(がんでないのにがんと診断されること)の結果となる人数の減少(133人から116人へ)である。

 

リスクに基づいた検診戦略の方が、USPSTF推奨の方法よりも良い可能性があるとこの試験の著者は言及している。一つには、現在は検診を受ける資格がないが、受けることで利益が得られる可能性があるリスクの高い個人を特定できるという理由からである。このリスクの高い個人には、1日1箱未満のタバコを数十年間吸っている喫煙者および15年以上前にタバコをやめた元重度喫煙者が含まれる。

 

加えて、年齢と喫煙歴だけで検診の対象となるが、肺がんリスクが低く、検診により得られる利益はほとんどないであろう個人を特定できる可能性がある。

 

「この結果は驚くべきものであり、年齢と喫煙歴のみに基づいたリスク評価よりも、リスクに基づき改良されたアプローチによる検診の方が、より効果的かつ効率的である可能性があるという見解を支持するものである」と、南カリフォルニアにあるKaiser ParmanenteのMichael K. Gould医師は付随論説に記している。

 

将来を見据えて

 

実際の臨床においては、Gould氏は次のように言及した。「検診を受けるという決断は非常に個人的なことであり、個々の患者ごとに決めるべきである」。肺がん検診のリスクと潜在的利益についての信頼できる情報が、医者と患者には必要であると彼は記している。このリスクの中には、偽陽性の結果となることが含まれ、この場合、追加の検査や不必要な手術が行われる可能性がある。

 

この試験の著者らは、観察された結果よりもむしろ統計モデルに基づいた推定であることに注意するようにとしている。このモデルには、リスクに基づいた検診戦略の実施に関して一定の仮説が含まれており、この戦略を実施する最も効果的な方法を決めるにはさらなる研究が必要であろうと彼らは記している。

 

またこの試験の著者らは、肺がんによる死亡のほとんどはCT検診では予防できないとも言及している。

 

「喫煙者が、肺がんおよび喫煙に関連したすべての疾患になるリスクを減らす最善の方法は、できるだけ早くタバコをやめることです」とKatki氏は述べた。

 

関連情報

 

肺がん検診(PDQ)患者版 がん検診の精度を高める(原文)

 

原文掲載日

翻訳田村克代

監修斎藤 博(検診研究部/国立がん研究センター)

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