ダラツムマブ新レジメンが再発または難治性多発性骨髄腫の進行を遅らせる(ASCO2016) | 海外がん医療情報リファレンス

ダラツムマブ新レジメンが再発または難治性多発性骨髄腫の進行を遅らせる(ASCO2016)

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

ダラツムマブ新レジメンが再発または難治性多発性骨髄腫の進行を遅らせる(ASCO2016)

米国臨床腫瘍学会(ASCO) プレスリリース

 

米国臨床腫瘍学会(ASCO)の見解

「われわれは、多発性骨髄腫で多く認められる標的に基づいた治療を選択した場合に、患者に起こり得ることを目の当たりにしてきました。新規治療レジメンは、多くの患者でがんの増殖を急激に遅らせると考えられます。本試験は、このような背景において初期の小規模な臨床試験でみられたdaratumamab[ダラツムマブ]の有効性を確認するものです」と、ASCO会長であり、経営学修士、ASCOフェローのJulie M. Vose 医師は述べた。

 

標準2剤レジメン(ボルテゾミブおよびデキサメタゾン)にダラツムマブ(商品名:DARZALEX)を追加することで、再発性または難治性多発性骨髄腫患者の転帰が顕著に改善したことが、枢要な第3相試験の初期の結果によって示された。

 

ダラツムマブ併用療法は、がんの病勢進行のリスクを70%減らし、非常に良い部分寛解率が29%から59%に、完全寛解率が9%から19%にと2倍になり、どちらも非常に良好であった。ダラツムマブは多発性骨髄腫に対して初めて承認されたモノクローナル抗体であり、がんの表面に存在するCD-38と呼ばれるタンパク質を標的とする。

 

これらのデータは、ASCO年次総会の一環として特集された5,000以上の抄録の中で、患者ケアに多大な影響を与える可能性があると考えられる4つの抄録を特集するASCOのプレナリーセッションで発表される予定である。

 

「われわれは長い間、CD-38は多発性骨髄腫の主要な治療標的であると推測してきましたが、このような結果は多発性骨髄腫では前例がありません」と、試験の筆頭著者で、イタリア、トリノにあるトリノ大学腫瘍内科、Myeloma Unit所長のAntonio Palumbo医師は述べた。「今後標準治療としてダラツムマブを含む3剤レジメンに移行することは明らかです」。

 

試験について

この初のダラツムマブのランダム化臨床試験では、再発性または難治性多発性骨髄腫患者500人近くを対象とした。患者は、各レジメンを8サイクル受け、その後、ダラツムマブ群の患者に対しダラツムマブ維持療法を行った。

 

「ダラツムマブは速効型薬剤で、多くの場合わずか1カ月で腫瘍が縮小しました。腫瘍が縮小し増殖が遅くなることで、患者は痛みが軽くなり、生活の質が向上しました」と、Palumbo医師は述べた。

 

Palumbo医師は、標準レジメンで頻度が高い副作用がダラツムマブでは大幅に悪化しなかったことを指摘した。ダラツムマブ群の患者は、血液毒性、感染および末梢神経障害を経験する率がわずかに高かった。


次のステップ

患者の生存に関してこのダラツムマブ併用療法の影響を評価するために、長期間患者を追跡する必要がある。再発性多発性骨髄腫に対するダラツムマブとその他の標準療法とを併用する臨床試験が進行中である。新たに多発性骨髄腫と診断された患者を対象としたさまざまなダラツムマブベースレジメンが別の臨床試験で試験中である。

 

ダラツムマブについて
ダラツムマブは、骨髄腫細胞を直接殺すことができる初めての薬剤の1種で、同時に免疫系反応を刺激し腫瘍を攻撃する。急激な腫瘍の縮小に直接有効であることは明白であるが、一方で治療に対する免疫効果の反応は長期間持続する。米国食品医薬品局(FDA)は、非ランダム化第2相試験の結果を基に、2015年11月ダラツムマブを迅速承認した。

 


多発性骨髄腫について
骨髄腫は、感染と闘う抗体を産生する形質細胞のがんである。異常な形質細胞は、骨髄の他の細胞を締め出し、また増殖を抑制する可能性がある。この抑制によって、貧血、過度の出血、感染と闘う能力の低下が引き起こされる可能性がある。

多発性骨髄腫は、まれながんである。米国では今年、推定30,300人[1]が多発性骨髄腫と診断される見込みであり、世界中では2012年に114,250人[2]が診断された。

本試験は、Janssen Research & Development社から資金提供を受けた。

 

1http://seer.cancer.gov/statfacts/html/mulmy.html Accessed on May 13, 2016.

2http://globocan.iarc.fr/Pages/fact_sheets_population.aspx Accessed on May 13, 2016.

原文掲載日

翻訳生田亜以子

監修北尾章人(血液・腫瘍内科/神戸大学大学院医学研究科)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  2. 2がんに対する標的光免疫療法の進展
  3. 3アルコールとがんについて知ってほしい10のこと
  4. 4個別化医療(Precision Medicine)に...
  5. 5専門医に聞こう:乳癌に対する食事と運動の効果
  6. 6アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  7. 7非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  8. 8リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  9. 9ルミナールAタイプの乳がんでは術後化学療法の効果は認...
  10. 10治療が終了した後に-認知機能の変化

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 五十音 アルファベット 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他