ニボルマブがプラチナ製剤耐性の進行扁平上皮非小細胞肺がんに有効であるとCheckMate 063 、017試験で追認(ELCC2016ニュース) | 海外がん医療情報リファレンス

ニボルマブがプラチナ製剤耐性の進行扁平上皮非小細胞肺がんに有効であるとCheckMate 063 、017試験で追認(ELCC2016ニュース)

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ニボルマブがプラチナ製剤耐性の進行扁平上皮非小細胞肺がんに有効であるとCheckMate 063 、017試験で追認(ELCC2016ニュース)

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) プレスリリース

 

当該2試験に参加したニボルマブ投与患者の生存期間と血清中サイトカインベースライン値の相関

 ・トピック:肺および胸部腫瘍/腫瘍免疫学

プラチナ製剤治療を受けたことがある進行扁平上皮非小細胞肺がん患者の血清中サイトカインのベースライン値によって、プログラム細胞死1(PD-1)免疫チェックポイントを阻害する完全ヒトIgG4抗体であるニボルマブを用いた免疫療法の有効性が異なる。

 

プラチナ製剤耐性進行扁平上皮非小細胞肺がん患者におけるニボルマブの第2相CheckMate 063試験およびニボルマブとドセタキセルを比較した第3相CheckMate 017試験からの最新の知見が、フランス、レンヌ、Service de Pneumologie、Centre Hospitalier Universitaire de RennesのHervé Lena氏および2016年4月13日~16日にスイス、ジュネーブにて開催された欧州肺がん学会(ELCC)で本結果を発表したSuresh Ramalingam氏らから提出された。

 

CheckMate 063試験では、117人の患者にプログラム細胞死1(PD-1)受容体を標的とするニボルマブを2週間に1回、3mg/kg、病勢進行(PD)あるいは忍容されない毒性が生じるまで投与した。CheckMate 017試験では、135人の患者を上述と同じ用法・用量のニボルマブ投与群、または137人の患者を病勢進行あるいは毒性やその他の理由により中止になるまで3週間に1回、75mg/m2のドセタキセルを投与する群に無作為に割り付けた。

 

CheckMate 063試験およびCheckMate 017試験における主要評価項目はそれぞれ、第3者による放射線画像の再判定(RECIST v1.1)に基づく奏効率(ORR)および全生存期間(OS)であった。プロトコルに基づき、両試験において病勢進行後の治療継続が許可された。

 

いずれかの試験に参加したニボルマブ投与患者222人の血清中サイトカインのベースライン値に対して多変量予備解析を実施し、中央値のカットオフに基づき「高い」または「低い」と定義され、一連の特定のサイトカインが全生存期間へ与える影響の定量化を可能にするSQ-cytoscoreを求めた。

 

両試験を通してニボルマブ投与患者で確認された効果の一貫性

2年間の追跡調査により、両CheckMate試験のニボルマブ投与患者において、主要な有効性および安全性パラメータについての同様な結果が確認された。

 

CheckMate 063試験では、12カ月および18カ月時点の全生存率はそれぞれ39%(95% CI 30%, 48%)および27%(95% CI 19%, 35%)であり、全生存期間の中央値は8.1カ月(95% CI 6.1, 10.9カ月)であった。奏効率は15%(95% CI 9%, 22%)であった。

 

全体で、75%の患者が治療に関連したいずれかのグレードの有害事象を経験し、17%の患者はグレード3または4の治療に関連した有害事象を経験した。12%の患者は治療に関連した有害事象が原因でニボルマブ投与を中止した。2人の患者が死亡し、治療に関連したものと結論づけられた。

 

ニボルマブとドセタキセルとの比較により実証された優れた転帰および安全性

CheckMate 017試験において、12カ月時点の全生存率はニボルマブ投与患者で42%(95% CI 33.8%, 50.4%)、ドセタキセル投与患者で24%(95% CI 17.4%, 31.7%)、18カ月時点の全生存率はニボルマブ投与患者で28%(95% CI 20.8%, 35.8%)、ドセタキセル投与患者で13%(95% CI 7.6%, 18.6%)であった。全生存期間の中央値はニボルマブ投与患者で9.2カ月(95% CI 7.33, 12.62カ月)、ドセタキセル投与患者で6.0カ月(95% CI 5.29, 7.39カ月)であった。奏効率はニボルマブ投与患者で20% (95% CI 14%, 28%)、ドセタキセル投与患者で9%(95% CI 5%, 15%)であった。

 

ニボルマブ投与患者131人およびドセタキセル投与患者129人のうち、それぞれ患者の59%および87%がいずれかのグレードの治療に関連した有害事象を経験し、それぞれの患者の8%および56%がグレード3または4の治療に関連した有害事象を経験した。治療に関連した有害事象を原因とする試験中止はニボルマブ投与患者で5%、ドセタキセル投与患者で10%であった。ニボルマブ投与患者において治療に関連した死亡はみられず、ドセタキセル投与患者では2人の患者が死亡し、治療に関連したものと結論づけられた。

 

CheckMate 063試験およびCheckMate 017試験の探索的解析により、血清中サイトカインのベースライン値がニボルマブ投与患者の全生存期間に変化をもたらすことが明らかとなる

ニボルマブ投与患者における血清中サイトカインのベースライン値を評価したところ、SQ-cytoscoreが高い患者102人はSQ-cytoscoreが低い患者120人と比較し、全生存期間が約3倍であったことが示され、SQ-cytoscoreが高い群および低い群の全生存期間の中央値はそれぞれ、15.6カ月および5.3カ月、ハザード比0.48(95% CI 0.36, 0.64)であった(p < 0.0001)。

 

チェックポイント阻害剤を用いた単剤療法:長期の生存期間の可能性?

「チェックポイント阻害剤を用いた単剤療法:長期の生存期間の可能性?」と題した討論において、ドイツ、Department of Thoracic Oncology、LungClinic GrosshansdorfのMartin Reck氏は、扁平上皮非小細胞肺がんは通常とは異なる難しい病気であると述べた。Reck氏は、腺がんタイプの非扁平上皮非小細胞肺がんとの多くの違いを強調した。患者の人口統計上、非扁平上皮非小細胞肺がんは女性および非喫煙者においてもっとも多くみられる種類のがん細胞であり、患者が若い傾向がみられる。一方、男性でもっとも多くみられる組織型である扁平上皮非小細胞肺がんについては、喫煙と強い相関がみられ、患者がわずかに高齢である傾向がみられる。

 

局在性の観点から、非扁平上皮非小細胞肺がんは末梢型であり、一方で扁平上皮非小細胞肺がんは中枢型である(そして血管出血につながる可能性がおそらく高い)。非扁平上皮非小細胞肺がんでは空洞化は一般的でないが、扁平上皮非小細胞肺がんでは一般的である。非扁平上皮非小細胞肺がん患者は、多くの場合、症状が出る前に転移病変が認められるが、扁平上皮非小細胞肺がん患者は症状の出現が早いため、局在している段階で発見される可能性が高い。非扁平上皮非小細胞肺がんでは脳転移がより一般的に認められるが、扁平上皮非小細胞肺がんでは通常、局所リンパ節、骨、肝臓および脳への転移がみられる。さらに、病理の観点からも多くの違いが存在する。腺がんは特徴として、腺および乳頭構造の存在、円形~楕円形の核をもつ腫瘍細胞、明瞭な核小体ならびにムチン、TTF-1およびcytokeratin 7にて染色される中程度の量の細胞質を有する。一方で、扁平上皮非小細胞肺がんは特徴として、扁平な形状、細胞間橋、個々の細胞の角化、角化真珠、p63、p40、cytokeratin 5/6による染色があり、治療可能な発がん性の遺伝子変化がほとんどない。

 

ステージ4腺がんの生存期間は扁平上皮非小細胞肺がんと比較して、ここ数十年にわたって著しく改善した点をReck氏は強調した。一般的に、すべての組織型の非小細胞肺がん患者の生存期間は1990年以降改善し続けてきたが、2002年~2005年に腺がんと診断された患者は、扁平上皮がんと診断された患者と比較して著しく生存期間が延長した。しかし、扁平上皮がんの2次治療は長期の全生存期間のモデルにはなっていなかったが、近年変化を見せている。Reck氏は有効性だけでなく治療に関連した有害事象の観点からも、チェックポイント阻害剤を用いた研究およびELCC 2016で発表された研究からの知見を評価した。

 

さらに、Reck氏は「免疫原性」腫瘍の特性を明らかにする方法を議論した。扁平上皮がんにおいて、臨床学的因子は適切でなく、PD-L1(プログラム細胞死リガンド-1)の発現は有用ではない。しかし、SQ-cytoscoreが高い患者はより長い全生存期間を示した(予後因子)。しかし、Reck氏はサイトカイン値の大幅な変化とチェックポイント阻害剤の有効性を関連づけることに疑問を呈した。サイトカインに加えて、循環免疫細胞も関連するマーカーの役割を果たす可能性があるか、また、非扁平上皮非小細胞肺がんにおいても同様の転帰を見込めるか。CM-057試験の解析結果がASCO 2016で発表される予定である。チェックポイント阻害剤を用いることで生存期間が延長する可能性があるかという疑問について、Reck氏は、そのようであると肯定はしたものの、これらの患者を特定するのはまだ道半ばであると結論づけた。

 

結論

著者らは、米国および欧州において、プラチナ製剤耐性の進行扁平上皮非小細胞肺がん患者はニボルマブが治療薬として承認されるまで治療選択肢がほとんどなかった点を指摘した。ニボルマブはCheckMate 063試験およびCheckMate 017試験において、生存期間についてドセタキセルを上回る優位性が示されたことに基づき承認された。

 

本日ここで発表された本結果により、進行扁平上皮非小細胞肺がん患者におけるニボルマブの有効性が確認され、本有効性は治療開始前の患者のサイトカイン値により影響を受けることが実証されたことから、血清中のサイトカインのベースライン値はニボルマブの有効性マーカーの役割も果たす可能性が示唆された。

 

情報の開示

CheckMate 063試験およびCheckMate 017試験はBristol-Meyers Squibb社から資金援助を受けた。

 

参考文献
137O Nivolumab in patients (pts) with advanced refractory squamous (SQ) non-small cell lung cancer (NSCLC): 2-year follow-up from CheckMate 063 and exploratory cytokine profiling analyses

 

原文掲載日

翻訳下野龍太郎

監修後藤 悌(呼吸器内科/国立がん研究センター)

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