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MDアンダーソンの乳がん病期分類新システムにより、予後指標としての腫瘍生物学の重要性が強調

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MDアンダーソンの乳がん病期分類新システムにより、予後指標としての腫瘍生物学の重要性が強調

Neo-Bioscoreでは従来の病期分類システムにHER2状況を追加

MDアンダーソンがんセンター

 

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者によって開発された新しい乳癌病期分類システムにより、腫瘍生物学の導入は術前療法を受ける乳がん女性の予後を指標する上で不可欠であることが明らかになった。

 

JAMA Oncology誌で発表されたNeo-Bioscore病期分類システムでは、HER2状況を取り入れることにより、乳がんの全てのサブタイプにおいてより正確な予後分類が可能になった。個々の患者の治療への反応を理解することは、追加療法がどの患者に最も適しているか医師に情報を提供する。

 

従来、診察時における原発腫瘍の大きさ、リンパ節への転移またはリンパ節の病変によって乳がん患者の病期を分類していた。しかし、乳腺腫瘍外科の准教授であるElizabeth Mittendorf医師によれば、この分類は腫瘍生物学を考慮していないという。腫瘍生物学は非常に重要でることが明らかになっている。

 

これらの知見はMDアンダーソンがんセンターで従来開発された乳がんの病期分類システムであるCPS+EGに基づいている。CPS+EGでは、治療前臨床分類(CS)、エストロゲン受容体状況(E)、グレード(G)、術後組織病理分類(PS)が考慮される。

 

しかし、Mittendorf氏によればCPS+EGはトラツズマブ(ハーセプチン)が術前療法として常用される以前のものであり、この病気分類システムではHER2陽性の乳がん患者の予後に関する情報提供に限界があるという。

 

「私たちの当初の研究で、臨床と病理の病期を組み合わせることで患者の予後をより正確に分類できることが明らかになりました。また、エストロゲン受容体の状況やグレードなどの生物学的要因が重要であることもわかりました」と本研究の責任著者であるMittendorf氏は言う。

 

「今回新たにHER2状況を加えた病期分類システムであるNeo-Bioscoreは、乳癌の予後に関する生物学の重要性をさらに示すものとなりました」乳腺腫瘍外科の教授、理事代理であるKelly Hunt医師は語る。Hunt氏もまた本研究の責任著者である。

 

この後ろ向き研究で、研究者らはデータをあらかじめ準備しておいたデータベースから、MDアンダーソンがんセンターで術前化学療法を受けた非転移性乳がん患者2377人を評価した。この中にCPS+EG病期分類システムの開発または検証に含まれた患者はいなかった。

 

臨床病理学的データと病期は、対がん米国合同委員会の病期分類ガイドラインに基づいて決定された。全患者はアントラサイクリンおよび/またはタキサンを使用した術前化学療法受けており、HER2陽性の患者にはトラスツズマブが投与された。

 

患者年齢の中央値は50歳、追跡期間の中央値は4.2年であった。疾患特異的年生存率は89パーセントであった。

 

術前化学療法後、全患者は局所療法(乳房温存術、腋窩評価と全乳房の放射線治療、腋窩評価と乳房切除術のいずれか)を受け、一部の患者は術後放射線治療を受けた。

 

従来のモデルにHER2状況を加え、CPS+EGのスコアが個々の患者について算出された。新たな病期分類システムであるNeo-Bioscoreは、HER2陰性腫瘍のCPS+EGのスコアに点数を加算して開発された。

 

研究者によれば、この患者群においてCPS+EGのスコアが予後を改善したという過去の研究結果が確証された。また、Neo-Bioscoreが適用された場合、従来のCPS+EGのスコアからの移行により、1786人(75パーセント)の患者がより正確に分類されたことが明らかになった。このスコアの移行は本研究のHER2陰性腫瘍の数を反映しており、HER2を加えると非常に有意な改善が見られた。

 

Mittendorf氏によると、乳癌の病期分類に生物学を取り入れた本研究以前の論文ではデータが不足していたという。

 

「このツールがあれば、患者が必要としている予後に関するより正確な情報を提供することができます。また、このデータにより、どの患者が追加的な治療を最も必要としているかについて知ることができます」「今回の研究結果がより多くの情報に基づいた医師・患者間の会話につながるとよいです」とMittendorf氏は言う。

 

Mittendorf氏とHunt氏はこのデータにより、乳癌のガイドラインが病期分類と予後における腫瘍生物学の重要性を反映したものへと更新されることを期待している。

 

Mittendorf氏とHunt氏の他の共著者は以下のとおりである; on the all-MD Anderson study include: Jose Vila, M.D., Breast Surgical Oncology; Susan L. Tucker, Ph.D., Bioinformatics and Computational Biology; Mariana Chavez Mac Gregor, M.D., Breast Medical Oncology and Health Services Research; W. Fraser Symmans, M.D., and Aysegul A. Sahin, M.D., both of Pathology; and Gabriel Hortobagyi, M.D., Breast Medical Oncology。

 

本研究の一部は米国国立がん研究所からMDアンダーソンがんセンターへのがんセンター支援助成金 (CA016672)を受けて行われた。本研究の著者に開示すべき利益相反はない。

原文掲載日

翻訳高橋多恵

監修原 文堅 (乳腺/四国がんセンター)

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