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2015年画期的がん新治療薬〜最重要研究ハイライト~

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2015年画期的がん新治療薬〜最重要研究ハイライト~

ダナファーバーがん研究所

 

2015年、ダナファーバーがん研究所で最も重要な研究と臨床開発のリストの上位を占めたのは、白血病、大腸がん、脳腫瘍、肺がんおよび乳がんの新規治療薬であった。

 

特に注目されたのは次のとおり。

 

大腸がん

ダナファーバーの研究者らが中心となった研究によれば、新しい配合剤によって、使用可能な標準薬を使い果たした遠隔転移を有する大腸がん患者全員の生存期間が改善したことが明らかになった。

 

ダナファーバーおよび世界中の研究センターの研究者らにより、この合剤(TAS-102として知られる錠剤1個として投与)が患者の全生存期間を改善するだけでなく、病勢の進行も遅らせた上、副作用もほとんどなかったことがわかった。TAS-102は9月に米国食品医薬品局(FDA)に承認された。

 

ダナファーバーの副教務部長で大腸がん研究者である筆頭筆者Robert J. Mayer医師は、「大腸がんは、米国のがんによる死亡のうち(肺がんに次いで)2番目に多い死因であり、世界でもきわめて大きな健康問題の一つです。有病率が高いがんに対して忍容性が良く効果的な新薬があることは、患者さんにとってよい知らせです。」

 

急性骨髄性白血病(AML)

ダナファーバーの研究者らが実施した研究から、標準化学療法に治験薬ミドスタウリン(midostaurin)を追加したところ、急性骨髄性白血病(AML)患者のうち、遺伝子変異が同定された高リスクのサブグループの生存期間が改善したことが明らかになった。このような良好な成績が得られた標的治療薬はこれが初めてである。

 

このAMLサブグループは、「若年成人」とみなされる18〜60歳の患者のうち、FLT-3遺伝子に変異があるがん細胞を有する者とした。変異遺伝子は急速な進行を引き起こすため、このような患者は予後が悪く再発の可能性が高い。化学療法による治療は、寛解を達成して患者が造血幹細胞移植を受けることができるようにすることを目的としている。

 

脳腫瘍

ダナファーバーの神経腫瘍センター臨床部長であるDavid Reardon医師が主導した試験では、悪性度が最も高い脳腫瘍の患者に対し、免疫系を味方につけてがんと闘うワクチンを治験薬として標準治療に追加したところ、生存期間が改善したことが明らかになった。

 

以前の治療後に多形性膠芽腫(GBM)が再発した患者73人を対象としたこの試験では、標準治療とともにワクチン投与を受けた患者の30%が18カ月間生存したのに対し、標準治療のみを受けた患者で同期間生存したのは15%であった。

 

「今や多くの患者に長期生存をもたらしている、全生存期間への効果という非常に珍しい現象を目のあたりにしています」とReardon氏は語った。

 

乳がん

ダナファーバーの研究者らが実施した試験によれば、第3相試験で抗体と化学療法薬の複合体による治療を受けたHER2陽性転移性乳がん患者では、他の治療を受けた患者に比べ、平均生存期間が長かったことが明らかになった。

 

米国をはじめ各国で600人以上が登録したTH3RESA試験では、複合体薬トラスツマブエムタンシン(T-DM1)による治療と医師が選択した治療のどちらかに無作為に割り付けられた患者の生存期間を比較した。

 

「これは、HER2標的療法をいくつか受けた上で進行したがん患者であっても、T-DM1による治療によって、他の薬剤に比べ大幅に延命できることを示しているため、重要な試験です」とダナファーバーのSusan F. Smith女性がんセンターの上級医師であり同研究の上級筆者であるIan Krop医学博士は話す。「さらに、T-DM1は他の治療よりも重篤な副作用が少ない。この試験をはじめいくつかの試験に基づいて、T-DM1をHER2標的療法の使用後に進行したがん患者の標準治療として考えるべきだと思います」。

 

肺がん

ダナファーバーの胸部腫瘍学ロウセンター所長Pasi-Jänne医学博士が中心となって実施した試験から、耐性変異を標的とする治験薬が、EGFR阻害剤による一次治療中に病勢が進行したEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に高い効果があることがわかった。このEGFR阻害剤には、ゲフィチニブ(イレッサ)、エルロチニブ(タルセバ)およびアファチニブ(ジオトリフ)も含まれる。

 

第1相試験の結果から、治験薬AZD9291によって、EGFRT790-M変異(この遺伝子変化によって肺がんはEGFRキナーゼ阻害剤を回避することができる)があるがん患者127人のうち61%の患者の腫瘍が縮小したことが明らかになった。

 

「以前なら、患者がタルセバのようなキナーゼ阻害剤に対して耐性を示すようになった場合、化学療法で治療していました」とJänne医師は話す。「今ならこの選択肢がありますし、素晴らしいことにタルセバのような副作用はありませんから、この薬剤の方が忍容性は優れています」。AZD9291は11月にFDAに承認された。

原文掲載日

翻訳ギボンズ京子

監修林 正樹(血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院)

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