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肺がんは若年患者と高齢患者で遺伝学的に異なる疾患であることが判明

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肺がんは若年患者と高齢患者で遺伝学的に異なる疾患であることが判明

ダナファーバーがん研究所

 

若年患者における非小細胞肺がん(NSCLC)は、高齢患者におけるNSCLCとは遺伝学的かつ生物学的に明らかに異なる疾患であり、異なる治療アプローチが求められる可能性があることが、ダナファーバーがん研究所の研究者らにより判明した。

 

本日のJAMA Oncology誌電子版に掲載された研究によると、研究者らが何千もの異常なNSCLC腫瘍サンプルのDNAを調べた結果、分子標的療法による治療が可能な疾患の遺伝子サブタイプを有する傾向が、若年患者においてより多いことがわかった。

 

「われわれは、50歳未満の患者さんの腫瘍組織に、われわれが研究している5つの遺伝子のいずれかに変異があるという傾向を発見しました。それらの遺伝子変異に対しては、分子標的療法がすでに存在しているか、または臨床開発中です」と本試験の主著者であるダナファーバーがん研究所およびブリガム&ウィメンズ病院のAdrian Sacher医師は述べた。「われわれはまた、若年患者と高齢患者におけるNSCLCの生態および挙動が異なることも発見しました」。

 

それらの差異は、研究者らが本試験の最年少の患者と最年長の患者における生存統計を比較したとき明らかになった。「標的可能な」異常が若年患者の腫瘍でより頻度が高いにもかかわらず、これらの患者の生存期間は、分子標的療法の有益な効果を考慮すると、期待されたものより短かった。これはNSCLCが若年患者で本質的により悪性度が高いことを示唆している、と研究者らは言う。分子標的療法が患者の生存期間を延長できるにもかかわらず、若年患者においては疾患が本質的により悪性のため、利益が相殺されてしまう。

 

この知見は、既承認の薬剤または臨床試験で研究されたことがない薬剤により、治療上標的となりうる全ての遺伝子異常について若年患者のNSCLC組織を研究する必要性を強調していると本研究著者は述べた。

 

NSCLCは肺がんの中で最も頻度の高い病型であり、全肺がん症例の87%を占める。診断時の年齢中央値は70歳で、50歳未満で診断を下された患者は5%未満である。若年の患者は全NSCLC患者の中に占める割合は比較的少ないが、総数はかなり多い。アメリカがん協会(ACS)が発表した数字によると、新たにNSCLCと診断される症例は米国で年間192,000人以上にのぼる。50歳未満の患者数に相当するこの総数の5%は、9,600人である。

 

先行研究は、ある特定の遺伝的異常が若年患者のNSCLCと関連することを示唆してきたが、若年患者と高齢患者の腫瘍における遺伝学的特徴を比較した広範な調査を実施した先行試験はなかった。

 

新たな論文では、既存の薬剤または臨床開発中の薬剤で標的とされうる8つの遺伝子の異常を探すため、Sacher医師らが2,237人の患者からNSCLC組織を調べた。彼らは、5つの標的可能な遺伝子であるEGFR、ALK、HER2、ROS1およびBRAF V600Eにおける変化が、若年患者においてより頻度が高かったことを発見した。診断を下された50歳以下の患者は、これらの腫瘍の変異の一つが潜んでいる可能性が高齢患者よりも59%高かった。

 

「我々の知見は、若年のNSCLC患者に遺伝学的に特異なサブグループがみられることを示唆しています」とSacher医師は述べた。「このことは、疾患の治療方法に影響を与えます。若年患者は標的可能な病型を有する可能性が高いため、彼らの腫瘍組織がすべての標的可能なゲノム変化についての総合的な遺伝子検査を受けることが絶対に必要です。これにより、彼らは確実にNSCLCに対して出現している標的療法のベネフィットを十分得られるようになるでしょう」。

 

本試験の結果に喚起され、研究者らは肺がんと診断された40歳未満の全患者に対し高度の遺伝子解読を提供している。ゲノムプロファイリングのシステムであるFoundationOneにより実施されるこの検査は、患者の腫瘍のゲノム標的を特定し、患者が彼らにベネフィットをもたらす可能性のある標的療法に近づく一助となることを目指している。肺がんを有する若年患者は、以下の試験ウェブサイト経由で参加できる。
www.openmednet.org/site/alcmi-goyl

 

この国際的試験は、JAMA Oncology誌の研究の統括著者であるダナファーバーがん研究所およびブリガム&ウィメンズ病院のGeoffrey Oxnard医師ならびに南カリフォルニア大学のBarbara Gitlitz医師の主導で、Addario Lung Cancer Medical Institute (ALCMI) による調整のもと実施された。

 

JAMA Oncology誌の研究の共著者は以下である:Suzanne Dahlberg, PhD, of Dana-Farber and the Harvard T.H. Chan School of Public Health; Jennifer Heng and Stacy March of Dana-Farber; and Pasi Jänne, MD, PhD, of Dana-Farber and Brigham and Women’s

 

この試験は次の助成を受けた:the National Institutes of Health (grants R01CA114465 and P50CA090578), the Conquer Cancer Foundation of the American Society of Clinical Oncology, the Bonnie J. Addario Lung Cancer Foundation, the Canadian Institutes of Health Research, the Canadian Association of Medical Oncologists, the Gallup Research Fund, and the Kaplan Research Fund

原文掲載日

翻訳太田奈津美

監修高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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