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治療歴のない慢性リンパ性白血病患者において、イブルチニブは従来の治療と比較して優れた結果を示す

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治療歴のない慢性リンパ性白血病患者において、イブルチニブは従来の治療と比較して優れた結果を示す

2年生存率はイブルチニブ群で97.8%、クロラムブシル群で85.3%であった

MDアンダーソンがんセンター

 

治療歴のない高齢の慢性リンパ性白血病(CLL)患者を対象にした国際多施設共同ランダム化第3相試験において、キナーゼ阻害剤ibrutinib〔イブルチニブ〕を用いた治療はがchlorambucil〔クロラムブシル〕を用いた従来の治療と比べ非常に優れた効果を示した。

 

269人の患者を追跡した本試験において、イブルチニブ群での24カ月生存率が97.8%であったのに対し、クロラムブシル群の24カ月生存率は85.3%であった。また、報告のあった有害事象はいずれも軽度であった。

 

MDアンダーソンがんセンターJan Burger医師が主導する本試験の結果は、本日発行のNew England Journal of Medicine誌電子版に掲載された。

 

MD アンダーソンがんセンター白血病部門准教授のBurger医師によれば、「治療歴のない CLL 患者における本試験について、無増悪生存期間、全生存率および奏効率の全てにおいてイブルチニブ投与群はクロラムブシル投与群に比べて優れた結果を示しました。 さらにヘモグロビンや血小板数の改善も顕著でした」。

 

これまでイブルチニブ(商品名IMBRUVICA、AbbVie社傘下Pharmacyclics社が開発)は、治療歴のある再発性マントル細胞リンパ腫患者や再発性CLL患者への治療薬としてFDAから承認を受けていた。

 

「CLLは欧米諸国の成人で最も発症頻度が高い疾患です。診断時の年齢中央値は72歳であり、主に高齢患者で発症します。高齢CLL患者への標準的な一次治療薬として多くの国では1960年代からクロラムブシルが使用されていますが、本試験はイブルチニブを一治療に使用する道を開いたといえるでしょう」とBurger医師は続けた。

 

CLLはB細胞由来の 悪性腫瘍である。B細胞とは骨髄に起源をもち、リンパ節で成熟する免疫細胞である。抗体を産生することで感染症から身体を守るのである。

 

CLL患者ではリンパ節・骨髄・血液中で、B細胞が際限なく増殖、蓄積する。そのために、正常な血液細胞の増殖できるスペースが失われる。 CLL の増殖はB細胞受容体(BCR)によって引き起こされる。BCRはB細胞性腫瘍の表面にある分子で、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)などのタンパク質 を用いて増殖を制御するシグナルを細胞に伝達する役割をもつ。イブルチニブBTKと結合してBTKの機能を阻害し、増殖を制御するシグナル伝達を抑え、結果的にCLL細胞を死に導く。

 

また 、イブルチニブはCLL細胞の細胞膜上にある接着因子にも影響する。その結果、成熟の環境であるリンパ節からCLL細胞を退けることになり、CLL細胞を飢餓状態に追い込む。

 

本試験では、患者をイブルチニブ群とクロラムブシル群に無作為に割り付けた。両剤とも経口薬である。患者の年齢中央値は72歳で、44%が進行期であった。フォローアップ期間の中央値は18.4カ月、解析時点でイブルチニブ群の患者87%が治療中であった。下痢、疲労、咳嗽、悪心などの副作用がみられた患者は20%であった。

原文掲載日

翻訳鶴田京子

監修佐々木裕哉(血液内科・血液病理/久留米大学病院)

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