加工肉は「がんを引き起こす」とWHOが警告 | 海外がん医療情報リファレンス

加工肉は「がんを引き起こす」とWHOが警告

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

加工肉は「がんを引き起こす」とWHOが警告

英国医療サービス(NHS)

2015年10月9日金曜日

今回の話題

「加工肉は喫煙と並んでがんの主要な原因であると世界保健機関(WHO)は述べている」とDaily Telegraph紙は報じている。加工肉は煙草、アルコール、アスベストと同順位で第1群発がん物質とされてきた。 

 

WHOの国際がん研究機関(IARC)は赤身肉および加工肉の摂取とがんの関連性を評価した報告書を発行した。Q&Aファクトシートも発行された。

 

この報告によると、赤肉とは牛肉、子牛肉、豚肉、羊肉などの未加工肉のことで、加工肉とは、加塩、塩漬け、発酵、燻製またはその他の方法で加工した肉を指す。 

 

最大のエビデンスは大腸がんとの関連性を示すものである。   

 

メディアは報告をどのように受け止めたか 

英国メディアの報道は質にばらつきがある。

 

加工肉は第1群発がん物質であると位置づけられてきたため、一部のメディアは加工肉が第1群の他の物質と同じぐらい危険であるという意味だと考えてしまった。 そのため、Daily Express紙の「加工肉は喫煙と同じぐらい悪い」などの見出しがつくに至ったが、これは単に誤りである。 

 

第1群発がん物質に分類される物質はいずれもがんを引き起こすことが知られているが、がんのリスクがすべての物質で同一であるという意味ではない。ベーコンサンドイッチは兵器級プルトニウムへの暴露ほど危険ではなく、1日に20本入りの煙草を一箱吸うほうがハムロールよりはるかに致命的である。

 

Daily Mail紙とGuardian紙は加工肉の摂取リスクを実感がわくように取り上げた。 両紙ともにウェブサイトに、英国がん研究所が作成した極めて有用な解説画像へのリンクを貼った。 

 

解説画像による主要な統計は、全員が喫煙をやめたら、英国でのがんは年間64,500件減少し、全員が加工肉や赤肉の摂取をやめれば8,800件減少するだろうとうものであった。  

 

この助言のエビデンスは何か 

 

赤肉や加工肉とがんとの関連性は新しいものではなく、これまでにもこれらの食品を摂取していると、腸がんになりやすいと示唆する研究結果が多くあった。 英国がん研究所によれば、腸がんの21%およびすべてのがんの3%は赤肉が原因である。 

 

WHOのワーキンググループは、広範な国、民族、食生活にわたってがんと赤肉の摂取との関連性を調査した800以上の観察研究を評価した。 

 

これらの研究データを分析し、関連性を検討した。 前向きなより質の高い観察研究、つまり、がんであるとわかる前に食生活が評価されたものをより信頼できる研究であると考え、それらの研究結果をより重視した。 

 

また、サンプル数が多く妥当性のある質問票を用いている研究で、かつ関連性に影響を与えている可能性のある健康や生活スタイルについての交絡因子が制御されている研究を優先的に調査した。 しかし、すべてのバイアスと交絡因子を除くことはできないため、特に赤肉については利用できるデータが限られていた。 

リスクは何か 

大腸がんと加工肉との正の関連性は、肉について検討した18のコホート研究中12の研究および9のケースコントロール研究中6研究で認められた。 

 

ワーキンググループは10のコホート研究結果を併合したレビューを検討し、1日の赤肉の摂取量が100g増加すると、大腸がんリスクが17%(95%信頼区間[CI1.05 1.31)増加し、1日の加工肉の摂取が50g増加すると、リスクが18%(95 CI 1.101.28)増加することを見出した。 

 

赤肉の摂取と膵臓がんおよび前立腺がん、加工肉と胃がんとを関連づけるデータもあった。

 

これらの知見の結果、WHOのワーキンググループは結腸直腸がんおよび胃がんとの関連性を示す十分なエビデンスに基づいて、加工肉を「ヒトに対する発がん性が認められる」と分類した。

 

赤身肉を評価するエビデンスは限られていたため、赤肉は「ヒトに対する発がん性がおそらくある」と分類された。 

食べても安全な赤身肉の量は?

WHOのワーキンググループの助言は、赤肉および加工肉の摂取を制限する現行の公衆衛生推奨事項を裏付けるものである。

 

現在1日に90 g以上(調理後の重量)の赤身肉および加工肉を摂取しているのであれば、保健省はそれを70 gに減らすように助言する。

 

90 gは牛肉、羊肉、または豚肉の薄切り約3枚に相当し、1枚はスライスした食パンの半分ほどの大きさである。2本の典型的なブリティッシュソーセージと2枚の薄切りベーコンを含む加熱調理した朝食は130 gに相当する。

 

赤肉はタンパク質、鉄、亜鉛、ビタミンB12を含有する良質な栄養源であるため、まったく食べないようにする必要はない。

 

現在大量の赤肉や加工肉を摂取しているのであれば、減らしたほうがよい。

 

赤肉や加工肉を減らす方法
・肉を小分けにして食べる
・鶏肉または魚に切り替える
・週に数日は赤肉を摂取しない
・インゲン豆、ひよこ豆、レンズ豆などの豆類を肉料理の代わりにする
・ベーコン、チョリソ、サラミではなく、鶏肉や野菜のソーセージを使用する

 

*参考URL:赤肉・加工肉のがんリスクについて/ 国立研究開発法人国立がん研究センター
http://www.ncc.go.jp/jp/information/20151029.html

原文掲載日

翻訳吉田加奈子、

監修朝井鈴佳(獣医学・免疫学)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  2. 2がんに対する標的光免疫療法の進展
  3. 3個別化医療(Precision Medicine)に...
  4. 4アルコールとがんについて知ってほしい10のこと
  5. 5非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  6. 6専門医に聞こう:乳癌に対する食事と運動の効果
  7. 7リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  8. 8ルミナールAタイプの乳がんでは術後化学療法の効果は認...
  9. 9アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  10. 10治療が終了した後に-認知機能の変化

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 五十音 アルファベット 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他