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多発性骨髄腫治療薬により多発性骨髄腫患者の無病生存期間が有意に延長

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多発性骨髄腫治療薬により多発性骨髄腫患者の無病生存期間が有意に延長

NCIニュース 

血液と骨髄の癌である多発性骨髄腫の患者を対象とした大規模ランダム化臨床試験の初期結果によると、造血幹細胞移植後に経口薬のレナリドミド(レブリミドもしくはCC-5013として知られている)を投与された患者は、プラセボを投与された患者と比較すると、増悪しない期間が長かった。 18〜70歳の患者を対象にした本臨床試験は、米国国立癌研究所(NCI)の資金援助のもと、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)と血液・骨髄移植臨床試験ネットワーク(BMT CTN)、CALGB臨床試験団体が率いる研究者ネットワークによって実施された。 BMT CTNは、共に米国国立衛生研究所の一機関であるNCIと米国国立心肺血液研究所(NHLBI)が共同で出資している。

本臨床試験の最終結果は、2012年5月10日付けNew England Journal誌(Vol. 366, No. 19, 1770-1781)で発表された。

自己造血幹細胞移植後に試験薬を投与した患者は、プラセボ投与患者と比べて無増悪期間が長いことが試験により確認されたと、本臨床試験(CALGB-100-104)を監視する独立データ安全性モニタリング委員会により報告されため、試験は早期に中止された。自己造血幹細胞移植とは、患者自身の造血幹細胞を採取し、高用量の化学療法もしくは高線量の放射線療法で治療し癌を死滅させた後、造血幹細胞を再び患者の体内に戻す方法である。これは多発性骨髄腫患者に対してよく行われる治療法である。 2004年12月から2009年7月までの間に、治療歴が12ヶ月未満で、造血幹細胞移植の既往を持たない多発性骨髄腫患者、合計568人を登録した。全ての患者はメルファランと呼ばれる多発性骨髄腫の治療によく使用される薬剤を高用量投与した後に自家移植を行った。最終的には、適切な臓器機能を有し、病態の進行が認められない460人の患者を選出し、移植後90〜100日の時点で、レナリドミドまたはプラセボに無作為に割り付けた。移植後100日〜110日の時点でレナリドミドまたはプラセボの投与を開始し疾患増悪が確認されるまで投与を継続した。 プラセボ投与群では、およそ778日以内に半数の患者に疾患の進行(増悪)が認められた。一方、レナリドミド群では、増悪が認められた患者は半数以下だったため、無増悪期間の中央値は得られていない。レナリドミド群は、プラセボ群と比較して、疾患進行リスクが58%低減したことになる。両群の無増悪期間の差は、統計学的にきわめて有意であった。 これは、多発性骨髄腫に対する造血幹細胞移植後のレナリドミド投与の臨床的有益性を示す初のランダム化第3相試験(臨床試験の3つの段階の最終的かつ最も総合的な試験の段階)である。しかしながら本試験では、全生存期間の延長に関するにエビデンスは確認されていない。 本試験で認められた副作用の種類は、レナリドミドを用いた他の臨床試験でこれまで認められたものと同様であった。試験結果の詳細は、今後学会で発表される予定である。 「この試験は、多発性骨髄腫患者にとって重要な問題である、移植後100日の時点でレナリドミドを用いた維持療法を開始することについての答えを示しています」とロズウェルパーク癌研究所(Roswell Park Cancer Institute)の医学部准教授であり、本試験の試験責任医師であるPhilip L. McCarthy, Jr.医師は述べた。「レナリドミドを用いた長期維持療法は、プラセボと比べて、疾患の進行を遅延させることが分かりました。これは多発性骨髄腫の治療の分野において興味深い進展であり、多発性骨髄腫患者が本試験に積極的に参加してくれたことや、多くの医師や関連研究グループが協力してくれたおかげで達成することができました」 サリドマイド誘導体であるレナリドミドは、多発性骨髄腫の治療を今までに1回でも受けたことのある患者に対して多発性骨髄腫治療用ステロイド薬であるデキサメタゾンと併用使用することで、2006年に米国食品医薬品局の承認を受けた。ニュージャージー州サミットに本社を置くCelgene Corporation社は、NCIとの臨床試験協定のもと、本試験のためにレナリドミドを提供した。 「本試験は、レナリドミドの発明・開発・製造元であるCelgene Corp社の支援のもと、NCIが資金提供を行っている癌臨床試験グループ、NCIおよびNHLBIが一部出資している血液・骨髄臨床試験ネットワークの協力によって重要な研究課題が効果的に実施された最たる例です。これら研究機関の協力のおかげで、試験に必要な症例登録数を迅速に達成し、医療現場における重要な変更に関する情報を適時に提供することができました」とNCI癌治療診断部門(Division of Cancer Treatment and Diagnosis)の一部である、癌治療評価プログラム(Cancer Therapy Evaluation Program)の血液およびエイズ関連癌治療課(Blood and AIDS Cancers Therapeutics Section)のRichard F. Little医師は語った。 多発性骨髄腫は形質細胞と呼ばれるある種の免疫細胞が過剰増加し、骨髄(骨内部のスポンジ状の組織)中の健康な血球を圧倒するため痛みが生じ、次第に骨やその他の身体器官を破壊していく。2012年には、米国でおよそ21,700人が多発性骨髄腫と診断されると推定される。米国における多発性骨髄腫患者数は、約46,000人と考えられる。 ### CALGB 100104/ECOG 100104:多発性骨髄腫に対する自家幹細胞移植後のCC-5013による維持療法をプラセボと比較した第Ⅲ相ランダム化二重盲検試験。本試験の試験計画の概要および組み入れ基準は、以下のULRを参照のこと。

http://www.Cancer.Gov/Clinicaltrials/Calgb-100104(臨床試験登録番号:NCT00114101)

 

原文掲載日

翻訳Yuko Watanabe訳、岩崎多歌子 更新

監修林 正樹(血液・腫瘍内科

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