スクリーニング検査への壁をなくし大腸癌死亡を減らすよう識者らが提唱 | 海外がん医療情報リファレンス

スクリーニング検査への壁をなくし大腸癌死亡を減らすよう識者らが提唱

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スクリーニング検査への壁をなくし大腸癌死亡を減らすよう識者らが提唱

NCIニュース 

大腸癌は、米国で癌による死因の第2位である。大腸癌スクリーニングの重要性はエビデンスやガイドラインにより支持されているにもかかわらず、大腸癌のスクリーニング受検率は、他の癌、特に乳癌や子宮頸癌よりも依然として低い。 ターゲットとする50歳超の成人集団におけるスクリーニング受検率は1997年の20〜30%から2008年には55%近くに上昇したが、この率でも低過ぎる。米国での大腸癌スクリーニング利用を増やしその質を向上させる方法を明らかにするため、2010年2月第1週に米国国立衛生研究所(NIH)State-of-the-science会議が開催された。 「大腸癌スクリーニング検査は不快で時間がかかるとの思いがあることはわかっています。しかし推奨されるスクリーニング方法を用いれば大腸癌による死亡は減少することも明らかなのです。」とDonald Steinwachs医師(同会議議長、ジョンズホプキンス大学教授、同大学内Health Service Research and Development Center所長)は述べた。「こうした重要な検査をもっと多くの人が受けるよう奨励する方法を見出す必要があるのです。」 今回の会議ではスクリーニング受検に関する最も重要な要因として、保険対象であることと定期的な医療ケア提供者へのアクセスがあることが挙げられた。また、スクリーニング検査の自己負担をなくす必要性が強く提言された。 検査はさまざまな中から選べることが示され、個人の選択による、十分な情報を得た上での自己決定(informed decision)ができれば、検査に消極的な人も、侵襲性、検査頻度、必要な準備といった検査の特質をどのように組み合せるか選択し決定でき、本人が最も納得いく検査を確認し受けることができるだろうと強調された。たとえば、侵襲性は高いがフォローアップは低頻度ですむ検査か、またはフォローアップは高頻度でも侵襲性は低い検査のいずれかを選べる、ということである。 スクリーニング率は人種民族間、社会経済的地位、地理的位置により差があることが指摘され、特定のサブグループに的を絞った方策をとる必要があると強調された。ヒスパニック系は、非ヒスパニック系白人よりもスクリーニングを受ける傾向が低い。 また、スクリーニング利用拡大の努力が成功すれば大腸癌スクリーニングサービス需要がさらに大幅に増大するだろうと指摘された。検査対応力には、検査施設、適格な訓練を受けた検査担当者のみならず、十分な情報を得た上での決断ができるようなサポート、スクリーニングサービスをコーディネートし検査結果を確実に伝える組織、また結果が陽性の場合は確実に大腸内視鏡検査を行うよう強化された監視業務などがある。スクリーニング率上昇の程度にもよるが、検査対応力は地域的・全国的に高めていく必要があると考えられる。 さらに、初回スクリーニング率アップの必要性に加え、推奨されるスクリーニング間隔をおいて再度検査を確実に受ける必要があることが確認された。複数のガイドラインが、さまざまな大腸癌スクリーニング検査を、さまざまなスクリーニング間隔で受検することを推奨している。こうした検査の要約は、下記の今回の会議の声明草案に掲載。

http://consensus.nih.gov/2010/colorectalmedia.htm

2月4日のstate-of-the-science公開会議での発言を含む同会議声明草案の最新版は以下で公開。

http://consensus.nih.gov

今回の会議は、NIHのOffice of Medical Applications of Research(医学応用研究オフィス)と、その他のNIH やDepartment of Health and Human Services(米国保健福祉省)下の組織とともに、国立癌研究所(National Cancer Institute)から資金援助を受けた。この会議はNIHコンセンサス開発プログラム(Consensus Development Program)下で開催された。このプログラムでは科学的エビデンスを評価する会議が開催され、論議の多い医療問題に関する意見書が具体的に作成されている。 13人のメンバーからなるこの会議には、癌サーベイランス、医療サービス調査、地域密着型研究、意思決定、医療ケアへのアクセス、医療ケア方針、ヘルスコミュニケーション、医療経済学、医療格差、疫学、統計学、胸部放射線学、内科、消化器病学、公衆衛生、終末期医療などの分野における専門家らと、一般からの代表で構成された。メンバー全員の一覧とその所属機関は会議声明草案に掲載されている。メンバー略歴、写真、その他関連情報など付属資料は、http://consensus.nih.gov/2010/colorectalmedia.htmで公開。 会議では、発言者が会議で提示した資料や参加者が討議期間中に述べたコメントに加え、公開文献やその系統的レビュー結果の研究が検討された。この系統的レビューはAgency for the Healthcare Research and Quality Evidence-based Practice Centers (EPC)プログラムを通じ、RTI International-University of the North Carolina Evidence-based Practice Centerにより作成された。EPCは、科学的文献を綿密で包括的に統合・分析し、これに基づきエビデンスを報告し技術評価を実施しており、方法、根拠、仮説について明確で詳細な文書化を重視している。大腸癌スクリーニングの利用と質の強化に関するエビデンス報告は、以下で公開。

http://consensus.nih.gov/backgrounder.htm

今回の会議声明は独自に報告されたものであり、NIHや連邦政府の方針声明ではない。NIH コンセンサス開発プログラム(Consensus Development Program)は、論議の多い医療・公衆衛生問題を公平かつ公正に判断する機構として1977年に設立された。NIHは119のコンセンサス開発会議と、33のstate-of the-science(旧称「技術評価(technology assessment)」)会議を開催し、多岐にわたる問題を取り上げている。NIHコンセンサス開発プログラムの背景説明は、http://consensus.nih.gov/backgrounder.htmにて公開。 ### NIH本部の研究所所長室は、27の研究所および施設からなるNIHの方針設定を担当している。これにはNIH全組織のプログラムや活動に関する立案、運営、調整業務などが含まれる。また所長室下には特定分野の研究についてNIH全体にわたり推進するプログラムオフィスがある。詳細は以下にて公開。

http://www.nih.gov/icd/od

 

原文掲載日

翻訳柴田慶子

監修 林 正樹(血液・腫瘍内科医/敬愛会中頭病院)

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