FDAが進行卵巣癌の治療にオラパリブを承認 | 海外がん医療情報リファレンス

FDAが進行卵巣癌の治療にオラパリブを承認

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

FDAが進行卵巣癌の治療にオラパリブを承認

米国食品医薬品局(FDA)ニュース

治療に適切な患者の特定に、初のlaboratory-developed test(LDT)のコンパニオン診断検査も承認

速報

米国食品医薬品局(FDA)は本日、FDAの承認を受けた検査(BRACAnalysis CDx)により検出された、BRCA遺伝子変異陽性の進行卵巣癌患者の新しい治療薬として、オラパリブ[olaparib](Lynparza)を迅速承認した。

 

卵巣癌は、一対の女性の生殖腺の1つであり卵子を形成する卵巣に生じる。米国国立癌研究所(NIH)は2014年に21,980人のアメリカ人女性が卵巣癌と診断され、14,270人が同疾患により死亡すると推定している。

 

オラパリブは損傷したDNAの修復に関わる酵素を阻害するポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤である。すでに多くの治療を受けたBRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌患者を対象とする。

 

「本日の承認は卵巣癌を適応とした新たな段階の薬剤では初めてのものとなります。オラパリブはBRCA遺伝子に特定の異常を有する患者に対し承認され、疾患の発現機序の理解を深めることが、より個別化された標的治療にどのようにつながるかを示す例になります」とFDA医薬品評価研究センターの血液学・腫瘍製品室長であるRichard Pazdur医師は述べた。

 

FDAは、卵巣癌患者の血液サンプル中のBRCA遺伝子変異(gBRCAm)を検出するコンパニオン診断の遺伝子検査(BRACAnalysis CDx)と共にオラパリブを承認した。BRCA遺伝子は損傷したDNAの修復に関与し、通常は腫瘍増殖を抑制するように機能する。BRCA遺伝子の異常につながる変異をもつ女性は卵巣癌に罹患しやすく、すべての卵巣癌患者の10~15%はこの遺伝性BRCA変異に関連していると推定されている。

 

FDAはハイリスク医療機器に適用される当局の上市前の承認手続において、BRACAnalysis CDxの安全性と有効性を評価した。これまでは製造業者に該当する臨床検査室が本検査を販売していたが、単独の検査室で設計、製造および使用される検査であるlaboratory developed test (LDT)としてFDAの承認は取得しておらず、また、コンパニオン診断としての使用に限られたものではなかった。新しい検査はコンパニオン診断検査として承認されており、オラパリブ治療の対象になる可能性がある進行卵巣癌患者を特定する目的のみに使用される。

 

「安全かつ有効なコンパニオン診断検査と薬剤の承認は癌領域において重要な開発であり続けます。BRACAnalysis CDxが上市前の承認申請に基づきFDAで承認された初のLDTであり、さらに、初めて承認を受けたLDTのコンパニオン診断検査であることをとても嬉しく思います。コンパニオン診断検査を用いることで、患者のニーズに合った安全かつ有効な治療薬を市場に導入することができます」とFDA医療機器・放射線保健センターの体外診断薬・放射線保健室長であるAlberto Gutierrez博士は述べた。

 

FDAはオラパリブの承認を支持するために用いた臨床試験データに基づいてBRACAnalysis CDxを承認した。臨床試験参加者の血液サンプルで検査を実施し、試験対象において本検査をBRCA遺伝子変異を検出するために使用する妥当性を示した。

 

オラパリブの有効性はBRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌患者137人を対象に本薬剤を投与した試験において評価された。本試験は奏効率(ORR:腫瘍の一部縮小または完全消失を経験した患者の割合)を評価する計画であった。参加者の34%が平均7.9カ月の間ORRを示すという結果が得られた。

 

最もよくみられたオラパリブの副作用は悪心、疲労、嘔吐、下痢、味覚異常、消化不良、頭痛、食欲不振、一般的な風邪様症状(鼻咽頭炎)、咳、関節痛、筋骨格痛、筋肉痛、腰痛、皮膚炎、腹痛などであった。重篤な副作用は、骨髄が十分な機能をもつ血液細胞を生産できない疾患である骨髄異形成症候群の発症、急性骨随性白血病、骨髄癌、肺炎などであった。

 

最もよくみられた臨床検査値の異常はクレアチニン上昇、平均赤血球容積の増加、赤血球数(ヘモグロビン)の減少、白血球数(リンパ球と好中球)の減少、血小板の減少であった。

 

オラパリブは維持療法(癌の再発予防のための治療)としての有用性について、FDAの抗腫瘍薬諮問委員会から6月に審査を受けた。諮問委員会は、11対2の投票結果からオラパリブの本適用に係る迅速承認を支持できないとFDAに勧告した。諮問委員会後、製薬企業は3つ以上の化学療法をすでに受けたBRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌患者を対象にするという、異なる適用を支持するオラパリブの追加情報を提出した。

 

FDAは同局の迅速承認制度の下でオラパリブを承認している。迅速承認制度では、代替評価項目に対する薬剤の有効性を示した臨床データから患者への臨床効果が十分に期待される場合に、重篤なまたは生命を脅かす疾患の治療薬剤を早期に承認することができる。また、本プログラムにより、検証的試験を企業が実施している間に、患者が有望な新規薬剤を早期に利用することができる。オラパリブの申請はFDAの優先審査制度の下で審査された。本優先審査制度では重篤な疾患や病態の治療を目的とした薬剤に対し、承認された際には既存薬と比較して有意な改善が期待できる場合に優先的な審査が実施される。

 

BRACAnalysis CDxの申請はFDAの医療機器に対する優先審査制度の下で審査された。本制度では生命を脅かすまたは不可逆的に衰弱させる疾患や病態の治療や診断を目的とし、承認された場合には既存の医療機器と比較して有意に臨床的に意義のある治療、診断方法を提供することが期待できる、といった特定の基準を満たす医療機器に対して優先的な審査が実施される。

 

オラパリブはデラウェア州ウェルミントンに本拠地を置くアストラゼネカ社により販売される。BRACAnalysis CDxはユタ州ソルトレイクシティに本拠地を置くミリアド・ジェネティック・ラボラトリーズ社により製造実施されている。

原文掲載日

翻訳下野龍太郎

監修喜多川 亮(産婦人科/NTT東日本関東病院)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 五十音 アルファベット 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他