Bendamustine Hydrochloride [ベンダムスチン塩酸塩]のFDA承認

原文 2008/03/20掲載 2013/07/01更新

商品名:TREANDA[トレアンダ]

B細胞非ホジキンリンパ腫に承認’

慢性リンパ性白血病に承認

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B細胞非ホジキンリンパ腫

2008年10月31日、米国食品医薬品局(FDA) は静注型アルキル化剤であるベンダムスチン塩酸塩(TREANDA(R)、Cephalon社)を、リツキシマブまたはリツキシマブを含む療法で治療中もしくは治療後6ヵ月以内に進行した低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)患者の治療に承認しました。

ベンダムスチン塩酸塩は、低悪性度B細胞NHL患者100人を対象とした単群の臨床試験で評価されました。患者全員にリツキシマブまたはリツキシマブを含む療法で治療中または治療後6カ月以内に病状の進行が見られました。ベンダムスチン塩酸塩は、21日を1サイクルとし1日目と2日目に120 mg/m²の用量で60分以上かけて点滴静注され、最大8サイクルまで投与しました。

国際ワーキンググループ(International Working Group)によるNHLの改訂版治療効果判定基準を用いて、試験薬について知らされていない独立審査委員会が有効性を評価しました。有効性の評価項目は、全奏効率(完全寛解、不確定完全寛解、部分寛解)および奏効期間(DR)でした。

全奏効率と奏効期間中央値はそれぞれ74%(95%信頼区間64.3, 82.3%)と9.2ヵ月(95%信頼区間7.1, 10.8ヵ月)でした。治療を受けた患者において、完全寛解は13%、不確定完全寛解は4%、部分寛解は57%と報告されました。

ベンダムスチン塩酸塩の安全性は、上記の試験および追試験で評価されました。リツキシマブ治療歴のある合計176人のB細胞NHL患者(低悪性度リンパ腫患者161人、形質転換したNHL患者15人)で安全性を評価しました。

最も多く報告された非血液系の副作用は、悪心(75%)、疲労(57%)、嘔吐(40%)、下痢(37%)および発熱(34%)でした。最も多く報告された血液系の異常は、リンパ球減少(99%)、白血球減少(94%)、貧血(88%)、好中球減少(86%)および血小板減少(86%)でした。

グレード3/4の副作用は安全性を評価した全集団の71%で報告されました。最も多く報告された非血液系のグレード3/4の副作用は、疲労(11%)、発熱性好中球減少症(6%)、および肺炎、低カリウム症、脱水症(各5%)でした。

最も多く報告されたグレード3/4の血液系の異常は、リンパ球減少(94%)、好中球減少(60%)、白血球減少(56%)、血小板減少(25%)および貧血(11%)でした。3人が骨髄抑制に関連した副作用で死亡し、死因は好中球減少性敗血症、グレード3の血小板減少を伴うびまん性肺胞出血、およびサイトメガロウイルス感染による肺炎でした。

低悪性度NHL患者に対しては、ベンダムスチン塩酸塩は21日を1サイクルとした1日目と2日目に60分かけて点滴静注され、最大8サイクルまでとします。推奨用量は120 mg/m²です。

ベンダムスチン塩酸塩の上記の投与量、注入期間、サイクル長は、慢性リンパ性白血病(CLL)適応に承認された投与計画とは異なります(下記参照)。CLL患者に対しては、ベンダムスチン塩酸塩は28日を1サイクルとした1日目と2日目に30分かけて点滴静注され、最大6サイクルまでとします。CLL適応の推奨用量は100 mg/m²です。


慢性リンパ性白血病

2008年3月20日、FDAは静注型アルキル化剤であるベンダムスチン塩酸塩(TREANDA(R)、Cephalon社)を慢性リンパ性白血病(CLL)患者における治療に承認しました。

ベンダムスチン塩酸塩の安全性と有効性は、CLL患者の一次治療であるクロラムブシルとベンダムスチンを比較した多施設共同ランダム化比較試験で評価されました。本試験はBinet分類B期またはC期(Rai分類I~IV)の要治療CLL患者301人(ベンダムスチン群153人、クロラムブシル群148人)を対象に実施されました。臨床試験の選択基準は、造血機能不全、B症状(10%以上の体重減少、盗汗、極度の疲労、38.0℃以上の原因不明の発熱など)、急速な病状の進行、または巨大リンパ腫脹による合併症の危険性などがあることでした。自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少、リヒター症候群または前リンパ球性白血病への転化のある患者は除外されました。ベンダムスチン100 mg/m²を28日間サイクルの1日目と2日目に点滴静注する群と、クロラムブシル0.8 mg/kg/日を28日間サイクルの1日目と15日目に経口投与する群のいずれかに患者を無作為に割りつけました。このサイクルを各患者に6サイクルまで投与しました。

有効性解析は米国国立癌研究所のワーキンググループ基準に基づいて行われました。全寛解率は、ベンダムスチン群では59%であったのに対し、クロラムブシル群では26%(p<0.0001)、完全寛解はベンダムスチン群では8%であったのに対し、クロラムブシル群では1%未満でした。無増悪生存期間の中央値は、ベンダムスチン群では18カ月でクロラムブシル群では6ヵ月でした(ハザード比=0.27:95%信頼区間=0.17-0.43; p<0.0001)。生存期間のデータは未確定です。

ベンダムスチンの治療を受けた患者における副作用(89%)は、クロラムブシルの治療を受けた患者における副作用(79%)よりも高い発現率でした。最も多い副作用(約15%)は、好中球減少、発熱、血小板減少、吐き気、貧血、白血球減少および嘔吐でした。好中球減少性発熱は、クロラムブシル投与群と比較してベンダムスチン投与群でより多く発現しました。ベンダムスチンで治療された患者の20%が赤血球輸血を受けたのに対し、クロラムブシルを投与された患者の6%が赤血球輸血を受けました。ベンダムスチン投与患者において試験中止の原因として最も多かった副作用は、過敏症と発熱でした。治療期間中の死亡数は両治療群で同等でした。

ベンダムスチンの推奨用量は100 mg/m²で、28日を1サイクルとした1日目と2日目に30分以上かけて点滴静注し、最大6サイクルまでとします。

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張 知子  翻訳
辻村 信一(獣医師・農学メディカルライティング) 監修 
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この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

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