コレステロール低下薬スタチンにより大腸癌患者の生存率が改善する可能性 | 海外がん医療情報リファレンス

コレステロール低下薬スタチンにより大腸癌患者の生存率が改善する可能性

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

コレステロール低下薬スタチンにより大腸癌患者の生存率が改善する可能性

キャンサーコンサルタンツ

スタチンは広く使用されているコレステロール低下薬だが、英国の新しい研究によると、大腸癌患者の生存率を改善するようだ。この研究により、全体として、アトルバスタチン(リピトール)やシンバスタチン(Zocor、※日本での商品名:リポバス)などのスタチンを服用している大腸癌患者は、服用していない大腸癌患者と比べて、大腸癌による死亡リスクが29%低いことが明らかになった[1]。

 

アメリカ癌協会による推計値では、2013年に米国で新たに結腸癌と診断されたのは10万2,000症例、直腸癌は4万症例であった[2]。これらの癌により、あわせて5万人を超える患者が死亡した。しかしながら、米国の大腸癌に関しては良いニュースがある。過去15年間、大腸癌に関連する死亡率は低下しており、また、健診、予防、治療は進歩し続けている。

 

Journal of Clinical Oncology誌の電子版で発表された臨床試験では、新たに大腸癌と診断された7,600人超の患者に関する情報が評価された。研究者らは、1998年から2009年までのデータから、対象となる患者について平均5年分の病歴を評価した。

 

研究者らにより、スタチンの使用が1年を超える患者では、大腸癌による死亡リスクが36%低下したことが明らかになった。また、スタチン使用が1年に満たない患者では、同リスクは21%低下した。全体として、スタチン使用により、大腸癌による死亡リスクは29%低下した。

 

研究者らはまた、本研究のスタチン使用患者において、原因を問わない死亡のリスクが25%低下したことも明らかにした。しかしながら、本研究でみられた関連性は、因果関係を証明するものではない。

 

他のいくつかの研究では、スタチンを服用している大腸癌患者において生存率のわずかな向上が認められているが、これらの研究は小規模であった。

 

スタチンは、コレステロール値を改善することにより、心臓につながる動脈におけるプラークの形成を遅延させ得る。スタチンがどのようにして大腸癌の死亡率を低下させ得るのか、正確にはわかっていない。これらは予備的な研究結果であり、他の臨床試験にて評価、確認される必要があるということを患者は理解しなければならない。

 

それまでの間は、スタチンを使用している大腸癌患者は、スタチンが大腸癌に負の影響を与えていないことに安心してよい。スタチンを服用していない患者は、スタチンのリスクと利益について担当の医師に相談するのも良いだろう。

 

参考文献:

1. Cardwell CR, Hicks BM, Hughes C, Murray L. Statin Use After Colorectal Cancer Diagnosis and Survival: A Population-Based Cohort Study. J Clin Oncol. 2014 Aug 4. pii: JCO.2013.54.4569. [Epub ahead of print]
2. Cancer Facts and Figures http://www.cancer.org/acs/groups/content/@epidemiologysurveilance/documents/document/acspc-036845.pdf Accessed March 2014.

 


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

原文掲載日

翻訳下川智美

監修北村裕太(内科/東京医科歯科大学医学部付属病院)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  2. 2がんに対する標的光免疫療法の進展
  3. 3アルコールとがんについて知ってほしい10のこと
  4. 4個別化医療(Precision Medicine)に...
  5. 5非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  6. 6リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  7. 7アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  8. 8専門医に聞こう:乳癌に対する食事と運動の効果
  9. 9ルミナールAタイプの乳がんでは術後化学療法の効果は認...
  10. 10治療が終了した後に-認知機能の変化

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 五十音 アルファベット 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他