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パリフェルミンのFDA承認

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パリフェルミンのFDA承認

商標名:Kepivance™

原文 2004/12/15掲載 2013/07/03更新

・重度の口腔粘膜炎(2004/12/15)

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報がFull prescribing information(英文)で参照できます。

2004年12月15日、米国食品医薬品局(FDA)は、高用量化学療法と放射線療法の後に幹細胞レスキューを受けた血液悪性腫瘍患者における重度の口腔粘膜炎の発症と持続期間を軽減するためにパリフェルミン(Kepivance™、Amgen社の登録商標)とよばれる遺伝子組み換え蛋白を承認しました。粘膜炎 -口腔粘膜の痛みと潰瘍‐はある種の癌治療の一般的な副作用です。

パリフェルミンはヒトケラチノサイト増殖因子(KGF)の遺伝子配列の特定の部分を含むように遺伝子操作され、大腸菌により産生されたグリコシル化されていない16.3kDの蛋白です。内因性のKGFは間葉細胞と線維芽細胞によって産生されるパラクリン増殖因子です。KGFが隣接した上皮細胞組織のKGF受容体に結合すると分裂増殖や分化を起こします。

KGF受容体は、調べた結果、舌、口腔粘膜、食道、胃、腸、唾液腺、肺、肝臓、膵臓、腎臓、膀胱、乳腺、皮膚(毛嚢と脂腺)、眼球水晶体といった多くの組織の上皮細胞に存在していることがわかっています。KGF受容体は造血系細胞には存在しません。

内因性KGFが上皮細胞を損傷から守り回復を早めるメカニズムとして、有糸分裂の誘導、組織肥厚と細胞保護作用の誘導の可能性が考えられています。

パリフェルミンの推奨投与量は、骨髄破壊的コンデイショニング処置の完了後、幹細胞の再注入開始直前とその後3日間の連続静脈ボーラス投与する方法で、60μg/kg/dです。

パリフェルミンを、骨髄毒性療法の前後24時間以内には投与するべきではありません。さらにパリフェルミンをヘパリンを含む静注ラインを通して投薬するべきではありません。

パリフェルミンは、造血系幹細胞移植を受ける血液悪性腫瘍患者における重度の口腔粘膜炎の発症と持続期間を軽減する目的での使用が推奨されます。 固形癌患者でのパリフェルミンの安全性と有効性は確立されていません。

承認は主に212人の患者で実施された無作為化プラセボ対照多施設試験の結果に基づいています。この試験では、無作為化、プラセボ対照、多施設、複数の投与方法を用いるという条件下で、結果を確認しました。両試験とも、骨髄機能廃絶化学療法と全身放射線療法を受けた血液悪性腫瘍患者で造血系幹細胞レスキューを受けた症例で行なわれました。

初期の有効性試験では、患者はパリフェルミン対プラセボに1対1で割り付けられました。両方の試験の治療計画は以下のようでした。臨床試験薬(パリフェルミン/プラセボ)は11、10、9日目に、8、7、6、5日目に分割した1200cGyの全身照射、4日目にエトポシド60mg/kg、2日目にシクロホスファミド75-100mg/kg、0日目に幹細胞再注入、臨床試験薬(パリフェルミン/プラセボ)は0日、1日、2日目に投与されました。ニューポジェンは、0日目から21日目まで、または好中球移植の成功が確認されるまで投与されました。

初期の有効性試験では、パリフェルミンを受けた患者のWHO規準のグレード3/4の粘膜炎の持続期間中央値は有意に短縮されました。(3日対9日。P値<0.001,CMHテスト)重度の粘膜炎の持続期間中央値の減少は重度の粘膜炎の発症の減少(67%対98%)と重度の粘膜炎を経験し発症した患者における持続期間中央値の短縮(6日対9日)を反映しています。

WHO規準グレード4の粘膜炎の発症も減少しました。(20%対62%)また治療開始から移植後28日までのオピオイド鎮痛剤の必要量も減少しました。患者らは口、喉の痛みの程度を毎日日記に書き留めました。プラセボ治療の患者と比較してパリフェルミンでの治療を受けた患者の方が口、喉の痛みの報告は少数でした。

これらの結果は第2相試験の結果を確認するものでした。この試験では、プラセボと比較してパリフェルミンを受けた患者でWHO基準グレード3/4口腔粘膜炎の持続期間の中央値が減少し(4日対6日)、WHO規準グレード3/4粘膜炎の発症が減少しました(67%対80%)。WHO規準グレード4の口腔粘膜炎もパリフェルミンを受けている患者で減少しました(26%対50%)。

重篤な有害事象の発現はパリフェルミンとプラセボを受けた患者で同様でした。パリフェルミンに起因する唯一の重篤な有害事象は皮膚の発疹でパリフェルミンを受けた患者の1%以下で発症しました。パリフェルミンに起因する最も一般的な副作用は皮膚毒性(発疹、紅斑、浮腫、掻痒症)、口腔毒性(異常感覚、舌変色、厚舌症、味覚変化)、痛み、関節痛、異常感覚でした。

皮膚毒性が発生するまでの期間の中央値は、パリフェルミンの3日連続投与の初日から6日目で持続期間の中央値は5日でした。パリフェルミンを受けた患者では異常感覚(感覚過敏、感覚鈍麻、知覚障害を含む)はたいてい口周に局限しました。一方プラセボを受けた患者では異常感覚は手足により多くみられました。

パリフェルミンで治療を受けた患者はプラセボ対照群と比較すると血清アミラーゼ上昇(38%対31%NCI CTCグレード3/4)と血清リパーゼの上昇が多く見られました(11%対5%NCI CTCグレード3/4)。第1相試験では、投薬に関係する軽度の血圧上昇と蛋白尿の増加が報告されましたが、腎臓毒性や高血圧の明白な増加は有効性試験では報告されませんでした。

KGF受容体は悪性上皮細胞にも存在するので、パリフェルミンがKGF受容体を有する悪性細胞の分裂増殖を刺激するかもしれないという理論的なリスクがあります。また眼球水晶体の細胞へのKGF刺激の結果として、視覚毒性のリスクも理論的に存在します。今日まで臨床試験では二次癌や視覚毒性の増加は見られていません。上皮由来の腫瘍に対する刺激と、視覚毒性のリスクに関連した追加的な非臨床、臨床試験は実施中または計画されています。

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内村美里人 訳
島村義樹(薬学)監修
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この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。
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