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アファチニブ+セツキシマブ併用はEGFR阻害薬に耐性がある肺癌患者に有益

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アファチニブ+セツキシマブ併用はEGFR阻害薬に耐性がある肺癌患者に有益

米国がん学会(AACR) プレスリリース

 

第1b相臨床試験データによれば、EGFR阻害薬エルロチニブ(タルセバ)およびゲフィチニブ(イレッサ)に反応しなくなった、EGFR遺伝子変異を有する肺癌患者に対し、EGFRを標的とする抗腫瘍治療薬アファチニブ(ジオトリフ)とセツキシマブ(アービタックス)を併用投与したところ、患者の29%に臨床反応が認められたという。試験結果は、米国癌学会(AACR)の機関誌Cancer Discovery誌に掲載された。

 

「エルロチニブやゲフィチニブによる治療は、EGFR遺伝子変異を有する肺腺癌患者の腫瘍を劇的に退縮させ、また生存期間を改善させています」と、Yelena Y. Janjigian医師は語った。Janjigian氏は、スローンケタリング記念がんセンター(所在地:ニューヨーク市)の副指導医で、Weill Cornell Medical大学(所在地:ニューヨーク市)助教である。「しかし、残念ながら、このタイプの癌は例外なくエルロチニブやゲフィチニブに対する耐性を獲得してしまい、患者の病勢は進行します。こうなると、現状では有効な治療法がないのです」。

 

米国では、毎年約2万人がEGFR遺伝子変異を有する肺腺癌と診断されている。EGFRチロシンキナーゼ領域の変異が、癌細胞のシグナル伝達を有効にするプロテインキナーゼの異常活性を引き起こす。

 

「まだ、大規模なランダム化試験をおこなって、この結果の裏づけをとる必要がありますが、抵抗性を獲得していてもアファチニブとセツキシマブの併用により、持続的で好ましい臨床反応を得られる可能性が、私たちの研究から示されました」と、Janjigian氏は続けた。「重要な点は、EGFRのT790Mと呼ばれる二次的遺伝子変異の結果生じるエルロチニブあるいはゲフィチニブに対する獲得耐性の有無にかかわらず、アファチニブとセツキシマブの併用投与が患者に有益であったことです」。

 

Janjigian氏らがおこなった臨床試験の登録患者201人のうち、126人が最大耐量でアファチニブ+セツキシマブの併用投与を受けた。これらの患者は、いずれもEGFR遺伝子変異型肺癌で、エルロチニブあるいはゲフィチニブによる治療中に病勢が進行していた。このうち37人で、アファチニブ+セツキシマブに対する客観的奏効が確認された。全奏効期間中央値は5.7カ月であった。

 

客観的奏効が確認された37人のうち、22人では50%以上の腫瘍退縮が認められた。Janjigian氏によれば、これ程の腫瘍退縮は、癌に関連する症状の軽減や患者のQOL改善につながることから、臨床的に意義深いという。

 

エルロチニブあるいはゲフィチニブに対し、抵抗性を獲得する最大の原因の一つは、腫瘍がEGFR T790M遺伝子変異を起こすことである。本研究では、客観的奏効率が、腫瘍にEGFRのT790M遺伝子変異を有する患者で32%、有さない患者で25%であり、両群間で統計学的な差はみられなかった。奏効期間中央値は、EGFR T790M変異陽性患者で5.6カ月、陰性患者で9.5カ月であった。

 

「EGFR T790M変異陽性と陰性のいずれにも奏効が認められたことは喜ばしい限りです。現在、EGFRのT790M遺伝子変異を標的にする第3世代EGFR阻害薬の開発が進められていますが、これはT790M陰性患者には効果をもたらす可能性が低いため、今回の結果は重要なのです」と、Janjigian氏は述べている。

 

「本研究では、この分野で議論が続いている概念を初めて臨床的に裏付けたこと、すなわち、エルロチニブおよびゲフィチニブに対する抵抗性を獲得したEGFR遺伝子変異型肺腺癌でも、その増殖と生存を依然としてEGFRシグナル伝達に依存している例が、有意な割合で存在していることを示した点がもう一つの大きなポイントです」と、Janjigian氏は付け加えた。

 

本研究は、Boehringer Ingelheim社および米国臨床腫瘍学会(ASCO)のConquer Cancer 基金から研究助成を受けた。Janjigian氏は、Boehringer Ingelheim社、Bayer社、Genentech社およびEli Lilly社より奨励金を受領あるいは申請中である。

 

原文掲載日

翻訳菊池明美

監修後藤 悌 (呼吸器内科/東京大学大学院医学系研究科)

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