進行メラノーマに対するニボルマブ評価試験は優れた結果を得たため早期終了

キャンサーコンサルタンツ

進行メラノーマに対して開発中の癌免疫療法薬ニボルマブの臨床試験が早期終了となったとの報告が、火曜日、Bristol-Myers Squibb社から発表された。ニボルマブが生存期間を延長すると判断されたためである。

ニボルマブはPD-1阻害薬と呼ばれる新種の薬剤で、免疫システムによる癌の認識と攻撃とを促進する能力に大いに注目が集まっている。PD-1は特定の種類の免疫応答を阻害するタンパク質である。PD-1の作用を遮断する薬剤であれば、免疫システムが癌と闘う能力を高められると考えられる。ニボルマブの作用は、このPD-1を阻害することである。

毎年新たに100万人を越える人が皮膚癌と診断されるが、その中で約76,000人がメラノーマである。米国では毎年9,000人を超える人がメラノーマで死亡する。メラノーマは、他のタイプの皮膚癌よりも体の他の部位に転移しやすいので、危険である。

Journal of Clinical Oncology誌で先に報告された試験では、ニボルマブは進行メラノーマ患者に持続的な奏効を示した。全生存期間中央値は16.8カ月であった。1年生存率は62%、2年生存率は43%であった。奏効率は31%であった。奏効した患者33人の奏効期間中央値は2年であった。

CheckMate-066と呼ばれる最近の第3相試験で、ニボルマブは進行メラノーマ患者に対する初回治療または一次療法として評価が進行中であった。Bristol-Myers Squibb社によれば、独立データモニタリング委員会が実施した中間解析において、ニボルマブを投与された患者は化学療法のダカルバジンを受けた患者に比べて全生存期間がかなり長いというエビデンスが得られたとのことである。委員会は早期に試験を終了し、ダカルバジン投与患者がBristol社の薬剤投与に切り替えられるようにした。

独立モニタリング委員会は、様々な時点で盲検化試験データを定期的に解析し、安全性に問題が生じた場合や、試験薬が対照薬よりも顕著に優れているとみなされる場合、試験を終了できる。

生存利益の期間については、まだ確認されていない。Bristol社は今後、試験データの完全評価を完了し、その結果発表に向けて研究者らと協力を進める予定であると話した。

参考文献:
Topalian SL, Sznol M, McDermott DF, et al: Survival, Durable Tumor Remission, and Long-Term Safety in Patients With Advanced Melanoma Receiving Nivolumab. Journal of Clinical Oncology. Published early online March 3, 2014. doi: 10.1200/JCO.2013.53.


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翻訳担当者 大木勝弥

監修 田中謙太郎(テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)

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