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大規模な研究により結婚と癌転帰との関係が明らかとなる

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大規模な研究により結婚と癌転帰との関係が明らかとなる

米国臨床腫瘍学会(ASCO)

問い合わせ先:
Kate Blackburn
kate.blackburn@asco.org
(571) 483-1379

 

Journal of Clinical Oncology誌に新しく発表された米国国立癌研究所のSEERプログラムデータベースによる大規模な後ろ向き研究の結果によると、癌の診断を受けた時点で既婚の患者は結婚していない患者より明らかに長生きすることが判明した。研究者らはまた、既婚の患者は結婚していない患者より癌の初期ステージで診断を受ける傾向にあり、適切な治療を受ける傾向がより強いことを発見した。これは米国における主な癌関連の死因10(肺癌、大腸癌、乳癌、膵癌、前立腺癌、肝・胆管癌、非ホジキンリンパ腫、頭部・頸部癌、子宮癌、食道癌)のそれぞれについて、結婚が生存にもたらす一貫した顕著なメリットを明らかにした初めての研究である。

 

患者が意思決定をする手助け、治療方法に関する指示、患者のうつ状態や不安への対応などの社会的支援が、癌と診断された後の患者の生存を延長させることは以前から確認されている。

 

「結婚という関係は、以前より多くなった社会的支援という機会を通して癌患者の転帰を改善すると思われます。本研究の結果は、結婚していない患者は十分な社会的支援を受けるべく友人や癌サポート、宗教ベースやチャリティ団体、そして主治医に助けを求めるべきであることを示唆しています」とマサチューセッツ州、ボストンにあるハーバード大学医学部、放射線腫瘍学チーフレジデントであり、健康科学修士でもある研究筆頭著者のAyal Aizer医師は述べた。

 

既婚の癌患者にとって配偶者は概して第一の社会的支援者である。配偶者はたとえば、患者の癌からくる精神的苦しみを分かち合ったり、通院に付き添ったり、患者が指示された治療を確実にやり遂げるようにさせる。結婚が癌患者の転帰を改善するだろうということは以前から指摘されていたが、これまでの研究では婚姻状態が転帰に及ぼす影響は明確にはされていなかった。

 

本研究はSEER登記簿の中より、2004年から2008年の間に癌の診断を受けた734,889人の癌患者の臨床的かつ、人口統計学的データを選び出し検討評価したものである。研究者らはそれぞれの癌について癌の診断を受けた時点の患者の婚姻状態と病期、適切な治療の受診、癌が直接原因となる生存状態との関係を検討した。分析の結果、総体的に既婚の癌患者は結婚していない患者に比べて、最初に癌と診断されたときに転移している可能性は17%低かった。また既婚の非転移性癌患者は結婚していない患者より53%多く最適な治療を受ける傾向にあった。結局どの段階でも既婚の患者の方が、結婚していない患者より20%多く生存している傾向にあった。本研究では既婚患者、結婚していない患者両方において全生存期間中央値は得られなかったので(どちらの群でも50%弱の患者が死亡した)、平均してどれだけ長く既婚の患者が生きるのか結論づけるには長期追跡調査が必要である。診断時の癌の病期について統計的に補正を行っても平均して既婚の患者は長生きする傾向にあった。

 

観察されたメリットが結婚によるものであって、結婚に関連するなにか他の要素、例えば家計収入などではないことを確実にするために、研究者らは既婚患者と結婚していない患者のベースライン特性の違いを明らかにしている。得られたデータはまた、たとえば年齢、性別、学歴、居住地(都市が田舎か)などのような他の人口統計学的要素についても調整された。

 

前立腺癌、乳癌、大腸癌、食道癌、頭部・頸部癌の患者において結婚は生存延長と関連しており、それぞれの癌に対する標準化学療法を行うよりも大幅に増加していた。(発表された臨床検査・メタ分析の結果に基づく)

 

「この結果から抗癌治療に加えて他にも癌転帰を改善する方法があるかもしれないということが考えられます。癌患者のために社会的支援を充実させることは効果的な癌治療を行うことと同じくらい重要であり、しかも他の癌治療よりも社会的支援を広げ、取り入れるのに費用はかかりません」とマサチューセッツ州、ボストンにあるダナファーバー/ブリガム&ウィメンズ癌センター放射線腫瘍学助教である研究統括著者Paul Nguyen医師は述べた。さらに、個々の医者や病院、保険会社、その他の医療提供媒体は結婚していない患者にサポートを提供することにもっと力を注ぎ、そしてそのサポートが患者の満足するものであることを確認する必要があると付け加えた。

 

「私たち医者は、結婚していない患者がどのようなレベルの社会的支援を受けているのか、例えば誰が、癌という重荷を背負う患者を支援しているのか、誰が診察に連れていくのかなどということを検討評価するべきです。そして患者が癌による感情的、精神的、身体的ストレスとうまくつきあっていることを確認しなければなりません。もし患者が十分なサポートを受けていないのであれば、患者が必要としているサポートを得られるように患者の家族や友人、ソーシャルワーカー、メンタルヘルス専門家、宗教ベースやチャリティ団体、そして癌サポートグループの助けを手配しなければなりません」とAizer医師は述べた。

 

本研究の結果は議論の余地はない一方で、研究者らはこの結果を立証するための前向きランダム化臨床試験の必要性を強調した。結婚していない癌患者にとって一番助けになる社会的支援や媒体の種類を探すためにはさらなる調査が要求される。

 

原文掲載日

翻訳楳田典子

監修大渕俊朗(呼吸器外科/福岡大学医学部)

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