ユーイング肉腫の投与間隔を短縮した化学療法の有効性

キャンサーコンサルタンツ

Journal of Clinical Oncology誌に掲載された臨床試験結果によれば、限局性ユーイング肉腫の患者において、3週間サイクルの化学療法投与と比べて2週間サイクルの投与の方がより高い有効性が得られ、細胞毒性の増加も認められないことが示されている。

ユーイング肉腫は骨、軟部組織に発生する腫瘍の一種である。身体の骨のどの部位にも発生するが、そのほとんどは骨盤、大腿、下腿、上腕および肋骨部位にみられる。また、身体の軟部組織内にも発生することがある。

限局性ユーイング肉腫は発生した骨および隣接した筋肉や腱のみに生じ、その他の部位への転移は検出されない。限局性ユーイング肉腫に対する標準治療法としては、ビンクリスチン/ドキソルビシン/シクロフォスファミドおよびイフォスファミド/エトポシドによる化学療法の投与サイクルを交互に行い、さらに原発腫瘍に対する手術療法または放射線療法あるいはその両方を行う。

化学療法サイクル間での投与間隔を短縮したことにより治療結果が改善されるかどうかを検証するために、研究者は50歳以下の新たに限局性ユーイング肉腫(硬膜外腫瘍に限定)と診断された568人の患者を対象とした前方視的比較臨床試験を行った。患者は21日間サイクルの標準的な化学療法投与間隔群、または14日間サイクルの投与間隔短縮群にそれぞれ無作為に割り当てられた。

患者は2種類の化学療法レジメン(ビンクリスチン/ドキソルビシン/シクロフォスファミドおよびイフォスファミド/エトポシド)を交互に合計14サイクル投与され、原発腫瘍に対する治療法(手術療法または放射線療法あるいはその両方)は13週目から開始するように計画され、それは標準投与間隔群では4サイクル、投与間隔短縮群では6サイクルの投与を行った後となる。

主要評価項目である5年無再発生存率(EFS)は投与間隔短縮群では73%に対して、標準投与間隔群では65%であった。毒性の発現率は両者とも同程度であった。

研究者は限局性ユーイング肉腫について以下のように結論付けている。すなわち2週間サイクルの化学療法投与は3週間サイクルと比較してその有効性が高く、かつ毒性発現の頻度は増加しない。

参考文献:
Womer RB, West DC, Krailo MD, et al. Randomized controlled trial of interval-compressed chemotherapy for the treatment of localized Ewing Sarcoma: A report from the Children’s Oncology Group. Journal of Clinical Oncology. Published early online October 22, 2012. doi: 10.1200/JCO.2011.41.5703


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翻訳担当者 石川寛和

監修 寺島慶太(国立成育医療研究センター腫瘍科)

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