FDAが化学療法に伴う貧血の治療薬(ESA製剤)に対する新たな安全性計画を発表

FOR IMMEDIATE RELEASE: 2010年2月16日 Media Inquiries: Karen Riley, 301-796-4674 Erica Jefferson, 301-796-4988 Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

FDAが化学療法に伴う貧血の治療薬(ESA製剤)に対する新たな安全性計画を発表

米国食品医薬品局は本日(2月16日)、赤血球生成促進剤(ESA製剤)のリスクを医療従事者と患者に通知するためのリスク管理プログラムを承認した。 癌患者を対象とした本プログラムではまた、化学療法によって起こりうる貧血を治療するためにこれらの薬剤を投与する場合の適切な投与も目的としている。 epoetin alfa(販売名はProcritおよびEpogen)およびdarbepoetin alfa(販売名はAranesp)などのESA製剤は、Amgen社が製造している。ESA製剤は、ヒトタンパク質エリスロポエチンの一種であり、骨髄を刺激して赤血球を産生させる。 2008年4月、FDAはAmgen社に対し、ESAによって腫瘍の増殖が促進されて早期死亡に至った癌患者も認められた試験の結果に基づいてこのリスク管理プログラムを作成するよう要請した。 REMS(Risk Evaluation and Mitigation Strategy)と称するAmgen社の本リスク管理プログラムでは医療従事者に対し、薬剤の安全な使用法に関する患者向け情報を含む医薬品ガイドをESA投与患者に提供するよう要求している。 さらに、REMSに含まれる同社のAPPRISE(Assisting Providers and Cancer Patients with Risk Information for the Safe Use of ESAs)プログラムでは、癌患者に化学療法を施行したり患者のカウンセリングを行ったりする医療従事者の特別訓練や認可も要求している。ただし、これはその他の原因による貧血のためにESA投与を受けている患者には該当しない。 FDA医薬品評価研究センター抗腫瘍薬製品室長であるRichard Pazdur医師は、「赤血球生成促進剤は、2004年以降継続した集中的なプロセスを経て評価されている。例えば、一連の一般公開会議、添付文書の変更、医薬品ガイドの要請などが行われている。今回の新しいリスク管理プログラムは、患者や医療従事者がESA製剤使用のベネフィットとリスクを十分に考慮するうえで役立つであろう」と述べた。 本リスク管理プログラムを介してAmgen社は、癌患者の治療に当たる医療従事者に対して下記の事項を確実に遂行させる義務がある。 ・ESA APPRISEプログラムに登録し、登録状態を維持すること。 ・癌患者へのESA製剤投与方法に関する特別訓練学習を完了すること。 ・ESA製剤を用いた治療コースを開始する前にESA製剤のリスク、ベネフィットおよびFDA承認済み使用法について癌患者と話し合い、患者から書面で承認を得たうえで話合いの内容を文書化すること。 Amgen社はまた、医療従事者や医療機関が全般的なリスク管理プログラムのあらゆる側面に完全かつ確実に従うよう、癌患者にESA製剤を使用する医療従事者や医療機関を監督してモニタリングすることも要請されている。 ESA製剤は、腎不全、一部の化学療法、AZT剤(HIV感染の治療に使用される)を原因として起こる場合の多い貧血の治療、および手術を受けた患者での貧血の治療に承認されている。 Procrit、EpogenおよびAranespはThousand Oaks社およびAmgen社(カリフォルニア州)が製造している。 詳細は下記を参照のこと。 FDA Office of Oncology Drug Products

http://www.fda.gov/AboutFDA/CentersOffices/CDER/ucm091745.htm1

Drug Safety Communication: Erythropoiesis-Stimulating Agents (ESAs): Procrit, Epogen and Aranesp

http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/PostmarketDrugSafetyInformationforPatientsandProviders/ucm200297.htm

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****** 齊藤 芳子 訳 吉原 哲(血液内科/造血幹細胞移植/兵庫医科大学病院)監修  ******


原文


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