アービタックスは大腸癌肝転移に対する化学療法の奏効率を改善する | 海外がん医療情報リファレンス

アービタックスは大腸癌肝転移に対する化学療法の奏効率を改善する

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

アービタックスは大腸癌肝転移に対する化学療法の奏効率を改善する

キャンサーコンサルタンツ
2009年11月

大腸癌肝転移患者において、FOLFOX6またはFOLFIRIにアービタックス(セツキシマブ)を追加投与すると奏効率が改善し、外科的切除がさらに効果的となることが、ドイツとオーストリアの研究者らにより報告された。本試験の詳細は、Lancet Oncology誌の2009年11月25日付電子速報版に掲載された[1]。

 

大腸癌から肝転移した患者は、手術で治療が可能である。患者のおよそ25%が全腫瘍の完全切除から5年間生存しており、一部の患者は10年以上生存することもある。しかし、ほとんどの患者において癌はさらに進行し、手術の適応がなくなる、もしくは手術で治癒または緩和できなくなる。ネオアジュバント(術前に行う化学療法あるいは放射線照射)もしくはアジュバント療法(術後に行う化学療法など)によりある程度は、患者らに手術が施行できるようになる。

 

アービタックスは、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)の細胞外ドメインと結合するキメラ型モノクローナル抗体で、現在大腸癌の治療に承認されている。アービタックスの単独投与は、KRAS遺伝子変異を有していない局所進行大腸癌あるいは転移大腸癌患者の治療に有効であることが認められている。大腸癌患者の30〜40%がKRAS遺伝子変異を有していると推定されており、そのためこのような患者は、結局のところEGFR標的治療の対象外となる。アービタックスをFOLFOX6(エロキサチン [オキサリプラチン]+フルオロウラシル+フォリン酸)またはFOLFIRI(カンプト [イリノテカン]+フルオロウラシル+フォリン酸)に追加投与することで、転移大腸癌の治療に効果が認められている。

 

本試験には、切除不能な大腸癌肝転移患者114人が参加した。この患者らを、アービタックスを追加したFOLFOX6もしくはFOLFIRIのどちらかに無作為に割り当てた。奏効率は、アービタックスとFOLFOX6の投与群に割り付けた55人で68%、アービタックスとFOLFIRIの投与群に割り付けた53人で57%であった。腫瘍全てを完全に外科的に切除できたケースは、アービタックスとFOLFOX6による治療を受けた患者の38%、アービタックスとFOLFIRIによる治療を受けた患者の30%に上った。効果はKRAS遺伝子変異を有しない患者の70%、KRAS遺伝子変異を有する患者では41%に認められた。アービタックスと化学療法の併用治療により、切除可能率が推定基準値と比べ倍増すると推測された。

 

コメント:「セツキシマブ(アービタックス)を化学療法と併用すると、過去対照値より高い奏効率が得られ、切除可能性が有意に上昇することとなる。」と、著者らは結論づけている。

 

参考文献:
[1] Folprecht G, Gruenberger T, Bechstein WO, et al. Tumour response and secondary resectability of colorectal liver metastases following neoadjuvant chemotherapy with cetuximab : the CELIM randomised phase 2 trial. Lancet Oncology [early online publication]. November 25, 2009.

 


  c1998- 2009CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳山下 裕子

監修太田 耕士(精神科)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  2. 2リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  3. 3BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  4. 4若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  5. 5「ファースト・イン・ヒューマン」で注目のNCI免疫療...
  6. 6ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  7. 7コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  8. 8CAR-T細胞療法、副作用の対処法ガイドラインを作成
  9. 9アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  10. 10治療が終了した後に-認知機能の変化

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他