ホルモン不応性前立腺癌患者にプロベンジを用いた治療での生存期間に関する最新結果発表

キャンサーコンサルタンツ
2010年3月

IMPACT試験に携わる研究者らは、経過追跡の追加と更なる解析を行いで、プラセボと比較しプロベンジ(sipuleucel-T)はホルモン不応性前立腺癌男性患者における生存期間の改善を顕著に示したとする報告を発表した。この試験結果の詳細は、米国サンフランシスコ市で3月5日〜7日開催の2010 Genitourinary Cancers Symposium(泌尿生殖器癌シンポジウム)において発表された。[1]

プロベンジは、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)抗原を標的とする活性化免疫細胞製剤である。PAP抗原は前立腺癌全体の約95%に存在する。前立腺癌患者を対象としたプロベンジに関する第1相および第2相試験の結果によると、プロベンジを用いた活性化免疫細胞療法は安全かつ潜在的に有用であることが示された。先行した2試験(D9901およびD9902A試験)では、合計225人の患者を組み入れた。参加者はプロベンジ投与群またはプラセボ投与群に無作為に割付けられ、プラセボ投与群で増悪が認められた場合はプロベンジを投与した。初回解析では、プラセボ投与群と比較し、プロベンジ群の患者では死亡率が47%減少した。その後の試験結果の解析で、無症候転移性アンドロゲン非依存性前立腺癌でプロベンジを投与され、のちに増悪が認められタキソテール(ドセタキセル)を投与された患者において、プロベンジは生存率を向上することが示唆された。

転移性アンドロゲン非依存性前立腺患者におけるプロベンジの有効性を評価するために、IMPACT(IMmunotherapy for Prostate AdenoCarcinoma Treatment)試験と呼ばれる第3相試験が実施された。この試験では男性患者512人を登録し、プロベンジ(341人) またはプラセボ(171人)を投与した。追跡期間の中央値は現在36.5カ月となっている。

  • 全生存期間中央値(OS)は、プロベンジ投与群では25.8カ月、プラセボ投与群では21.7カ月であった。
  • OSに関する試験成績は、低リスクまたは高リスク患者で一致していた。
  • 生存期間のハザード比(HR)は、プロベンジ投与群では0.76であった。
  • 36カ月生存率は、プロベンジ投与群では32%に対しプラセボ投与群では23%であった。

コメント:最新試験成績から、ホルモン不応性前立腺癌男性患者において、プロベンジはプラセボに対して生存期間を改善することが確認された。この試験成績により、FDAはプロベンジを承認するものと見込まれる。

参考文献:
[1] Kantoff P, Higano CS, Berger ER, et al. Updated survival results of the IMPACT trial of sipuleucel-T for metastatic castration-resistant prostate cancer (CRPC). 2010 Genitourinary Cancer Symposium; abstract 8.


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翻訳担当者 菅原 宣志

監修 榎本 裕(泌尿器科医)

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