2012/03/06号◆対談「ザ・フー(The Who)のヴォーカリスト、ロジャー・ダルトリー氏に10代のためのがんセンターについて聴く」 | 海外がん医療情報リファレンス

2012/03/06号◆対談「ザ・フー(The Who)のヴォーカリスト、ロジャー・ダルトリー氏に10代のためのがんセンターについて聴く」

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2012/03/06号◆対談「ザ・フー(The Who)のヴォーカリスト、ロジャー・ダルトリー氏に10代のためのがんセンターについて聴く」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2012年3月6日号(Volume 9 / Number 5)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~
PDFはこちらからpicture_as_pdf

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◇◆◇ 対談 ◇◆◇

ザ・フー(The Who)のヴォーカリスト、ロジャー・ダルトリー氏に10代のためのがんセンターについて聴く

英国のロックバンドThe Whoのヴォーカリスト、ロジャー・ダルトリー氏は、英国でこれまで12年間、10代および若年成人の癌に特化した治療センターの設立のためのスポークスマンとして活躍してきた。昨秋、同氏はThe Whoのギターリストで作詞作曲も担当するピート・タウンゼンド氏と共に、他の有名なミュージシャンの支援を得て、ロナルド・レーガンUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)医療センター内に「ダルトリー/タウンゼンド10代と若年成人のための癌プログラム」を立ち上げた。(囲み記事は原文参照)

●どうして10代および若年成人の癌に関わるようになったのですか?

私の主治医とその夫人であるDr. Andrian WhitesonとDr. Myrna Whiteson夫妻が1990年代初頭から10代の癌の専門診療科を立ち上げるべく「ティーンエイジ・キャンサー・トラスト(Teenage Cancer Trust)」の設立を考えており、私にその後援者として協力を求めたのです。患者ケア(経過観察)の第一原則として、彼らは大事なことに気づいたのです。「10代の癌患者は子供でもないし、もちろん成人でもないということを医療専門家が理解してあげられないために、彼らは不必要な苦しみを経験している」と。彼らは全く別のグループであり、彼らの環境に則した10代に優しい診療施設が必要です。

私はその考えに賛同し、この活動に参入しました。2000年までに、この基金により6つの治療科が設立されていましたが、私が本格的に支援に加わったのは、6つのうち、ヴィクトリア朝時代の病院内にあった2つの治療科が廃止になると知った時でした。これでは後退してしまうという危機感を持ちました。

The Whoは、エディー・ヴェダー、ブライアン・アダムス、ノエル・ギャラガー、ケリー・ジョーンズ、ステレオフォニックスなど多数のゲストを招いてロイヤル・アルバート・ホールで2日間のチャリティコンサートを行いました。それは素晴らしかったですよ。われわれは、そのDVDやライブアルバムの権利を‘ティーンエイジ・キャンサー・トラスト’に譲渡したところ、その資金で2つの治療科の廃止が免れました。このコンサートの経済的影響は膨大でしたが、それ以上に英国の一般市民への問題提起というボーナスも得られました。この基金は益々大きくなり、これらのチャリティコンサートは12周年を迎えました。

設備の家具代はもちろん、ボルトやナットから壁のレンガやドア、窓といったあらゆる費用を「ティーンエイジ・キャンサー・トラスト」は捻出せねばならず、現在の平均運営コストは500万ドル(4億円)程度です。これまで、英国国民保健サービス(National Health Service)の敷地内に、10代および若年成人の癌患者のために17病棟を建設し、現在も10病棟が建設中です。社会的にも大きな影響を与えた成功となりました。

●それらの10代のための治療センターの特徴は何ですか?

私たちは、センターを設計する際、10代の若者にも意見を聞いています。彼らにとって優しい施設とするために、静かになりたいときには静かな環境を、騒ぎたいときには騒げる環境を得られるよう整備しています。学業でも遅れをとらないように勉強ができる場所も設置します。自炊できるキッチンも、そして親のための施設も作ります。癌の子供を持つ親もまた、この時期、たくさんのサポートが必要ですから。

10代の子を持つ親にとって最も難しいことは、彼らに話をさせることだといいます。癌の診断において見逃しや遅れも高率で発生しますし、非常に珍しい癌や極度に進行の早い癌に苦しんだりもします。状況は悲惨です。鼻の上にできたニキビに大騒ぎする年頃で、このような疾患に襲いかかられるのです。

例えば髪の毛や足を失う、またはもっと最悪の事態に遭遇した時、人は心を開くことが重要ですが、10代の若者たちは内に閉じこもってしまうことが多いのです。若者同士が集まれる場をつくれば、お互いに大きな支えとなります。互いに非常に率直に、正直に話しができ、心理的に大きく改善します。それは彼らが集まることでしか実現しないのです。大人たちの中では見せない顔です。10代にありがちな特性ですよね。

●センターは、若い患者にどのような影響を及ぼしましたか?

英国のシステムで素晴らしい点は、全国民に統一の医療制度があり、われわれの取り組んでいる治療科の10代の若者を含め、皆が同じ治療を受けることができるということです。われわれは、ほぼ20年にわたるデータを持っており、われわれの専門科を利用した若者たちと、残念ながらこういったサービスを受けられなかった若者とを比較することが可能です。

小児専門医メンバーによると、われわれのセンターの若者たちでは、同じ治療を受けた他の若者たちより経過が良好だそうです。この影響は引き続き調査され、より多くのデータで確認されれば、われわれのプログラムで治療を受けた若者たちでの心理的効果が明らかになるでしょう。

●どのようにしてUCLAの10代のためのがんセンター設立に至ったのでしょうか?

2年ほど前、私がロサンゼルスで自閉症のチャリティーに参加したとき、そこでUCLAヘルス・システム長のDr. David Feinberg氏にお会いしたのです。その際、「ティーンエイジ・キャンサー・トラスト」についてお話したところ、2カ月も経たないうちに、施設から英国に医療チームが派遣されてきました。徹底的にわれわれの専門診療科を観察してこう言われました。「これは、10代および若年成人の治療のゴールド・スタンダードともいえるものです。是非、UCLAでも実施したい」。

彼らは、UCLAに専門診療科を設置する場所を準備し、2011年11月、私は、ロバート・プラントとデイヴ・グロールと共に、その施設の設備品を揃えるためのチャリティコンサートを行いました。

また、その施設で初めての患者となる若者たちに会って歓迎することができました。米国における施設の第1号として今後広まっていくことを望んでいます。エール大学とデューク大学の医療センターともすでに話し合いが進んでいます。米国民と、さらに多くの音楽業界の人々(収益の多くは10代の若者から得ている)の支援を得て、米国の10代および若年成人の皆さんにこれらの施設が役立つことを祈念しています。

—Interviewed by Bill Robinson

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野中 希 訳
金田澄子(薬学) 監修
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