非小細胞肺癌の術前化学療法、第3相臨床試験での評価 | 海外がん医療情報リファレンス

非小細胞肺癌の術前化学療法、第3相臨床試験での評価

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

非小細胞肺癌の術前化学療法、第3相臨床試験での評価

キャンサーコンサルタンツ
2010年6月

非小細胞肺癌(NSCLC)に対する術前化学療法第3相臨床試験において、有益であるという明らかなエビデンスが得られなかったことが判明した。最終結果を待たずに終了したこの試験の結果に関する情報はJournal of Clinical Oncologyに紹介されている[1]。

 

世界的にも肺癌は癌による死亡原因の上位に入る。米国では非小細胞肺癌(NSCLC)が肺癌全体の75-80%に相当する。手術により癌を切除可能な肺癌患者に限り、術後補助化学療法または術前(導入) 化学療法が有用であることがいくつかの試験で示されている。

 

今回の試験では手術療法のみ行った場合と、パクリタキセルとカルボプラチンによる併用化学療法を術前に行った場合とを比較し、早期NSCLC患者の生存率を検証するランダム化第3相臨床試験を実施した。

 

その結果、手術療法のみ受けた群よりも、術前化学療法を行った群の方が生存率、無増悪生存率ともに高いことが判明した。一方で、試験結果は統計学的に有意ではなく、偶然の結果であると捉えることもできる。

 

他の臨床試験で早期NSCLC患者に対し、術後補助化学療法と手術単独療法を比較して生存率を検証したところ、前者に統計学的有意差が認められたことから、今回の臨床試験は登録数わずか354人にとどまり早期に中止された。[2][3]

 

研究者は、現在のところ「早期NSCLCに対する術後化学療法はより高いエビデンスを持つ」と結論づけている。早期NSCLCに対し、生存率の向上や生活の質を保つため、患者ごとに最適な治療法を選択できるようにするための研究が今後も続けられる。

 

参考文献
[1] KMW Pisters, Vallieres E, Crowley JJ, et al. Surgery With or Without Preoperative Paclitaxel and Carboplatin in Early-Stage Non–Small-Cell Lung Cancer: Southwest Oncology Group Trial S9900, an Intergroup, Randomized, Phase III Trial. Journal of Clinical Oncology. 2010;28:1843-1849.
[2] The International Adjuvant Lung Cancer Trial Collaborative Group. Cisplatin-based adjuvant chemotherapy in patients with completely resected non-small cell lung cancer. N Engl J Med. 2004;350:351-360.
[3] Winton T, Livingston R, Johnson D, et al. Vinorelbine plus cisplatin vs observation in resected on-small cell lung cancer. N Engl J Med. 2005;353:2589-2597.

 


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳白神ルミ子

監修林 正樹(血液・腫瘍内科)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3「ケモブレイン」およびがん治療後の認知機能障害の理解
  4. 4がんに対する標的光免疫療法の進展
  5. 5若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  6. 6BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  7. 7治療が終了した後に-認知機能の変化
  8. 8ASCO、がん臨床試験に対する適格基準の緩和を推奨
  9. 9コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  10. 10リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他