エルビタックス(セツキシマブ)/エルビタックス®+導入化学療法は、頭頸部癌に対し100%の奏効率をもたらす

キャンサーコンサルタンツ
2006年6月

導入化学療法+エルビタックス(セツキシマブ)を評価する第2相臨床試験は、頭頸部癌を持つ患者で、100%の全奏効率をもたらした。これらの結果は、第42回米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会で発表された。

エルビタックスは、上皮増殖成長因子受容体(EGFR)の外ドメインに結合するキメラ・モノクローナル抗体である。エルビタックスは、放射線療法との併用で、局所または局部進行頭頸部癌、または、単剤で、過去に白金ベースの療法に反応しなかった進行性、EGFR発現の頭頸部癌に現在承認されている。エルビタックスはまた、Camptosar®(イリノテカン)での治療で過去のCamptosarベースの療法に反応しなかったEGFR発現の転移性大腸癌患者、または単剤では、Camptosarベースの療法に不適格であるEGFR発現進行性大腸癌を持つ患者に対して承認されている。エルビタックスは、さまざまな癌の治療でいくつかの臨床試験において評価づけが行われている。

研究者らは、頭頸部の扁平上皮癌で、まだ治療を受けていない患者において、導入療法として化学療法と併用でエルビタックスの有効性を評価する臨床試験を実施した。患者は、タキソール(パクリタキセル)135mg/m2、パラプラチン(カルボプラチン)AUC 2、エルビタックス第1週目400 mg/m2、その後毎週250 mg/m2を6週ごとのクールで受けた。患者は、TMN分類でT0-4、N2b/c/3、M0で、PS(一般状態)0または1であった。患者は、リスクによって層別化され、それによって化学療法+エルビタックスに加えて、手術や放射線療法が施行された。41例が、奏効率と安全性の評価対象となった。

・100%の患者で奏効が認められた
・83%で完全奏効が認められた
・17%で部分奏効が認められた
・4分の1近くの患者は、化学療法後、疾患が認められない状態であると考えられた。
・これまでで、3例は腫瘍の再発が認められた。

全患者のほぼ半数に影響した重度の皮膚発疹を除くと、エルビタックスを加えることによって毒性を増加させるようには思われなかった。

研究者らは、導入化学療法へのエルビタックスの追加は、頭頸部癌の治療において忍容可能な副作用に加えて、高い活性をもたらすように見える、と結論づけている。さらに長期のフォローアップと、エルビタックスを併用、または併用しない化学療法の直接比較は、今後、頭頸部癌の環境においてエルビタックスの位置づけを確立することに役立つだろう。

参考文献: 

Kies M, Garden A, Holsinger C, et al. Induction Chemotherapy (CT) with Weekly Paclitaxel, Carboplatin, and Cetuximab for Squamous Cell Carcinoma of the Head and Neck (HN)。 2006年6月、ジョージア州アトランタでの第42回米国臨床腫瘍学会年次総会の会報から抜粋。アブストラクト# 5520。


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翻訳担当者 湖月 みき

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