5-FU+ロイコボリンにイリノテカンを加えてもステージ3結腸癌の治療結果を改善しない

キャンサーコンサルタンツ
2007年8月

多施設臨床試験の結果、ステージ3結腸癌患者の治療で、5-フルオロウラシル(フルオロウラシル)+ロイコボリンにCamptosar〔カンプト〕(イリノテカン)を加えても、フルオロウラシル+ロイコボリンのみの場合と比較して治療結果を改善しないことが明らかになった。本試験の詳細は、2007年8月10日に発行されたJournal of Clinical Oncology誌に記載されている。

転移性結腸癌患者にフルオロウラシル+ロイコボリンにイリノテカンを加えた場合は、フルオロウラシル+ロイコボリンのみの場合と比較して治療結果の改善を示している(関連記事略)。しかし、そこまでの病期に至っていない結腸癌患者にフルオロウラシル+ロイコボリンにイリノテカンを加えて投与した場合については評価中である。

米国内にある複数の医療機関の研究者らが、ステージ3結腸癌の治療にフルロウラシル+ロイコボリンにCamptosar(イリノテカン)を加えた場合の効果をさらに評価するための臨床試験を実施した。本試験では、イリノテカン+フルオロウラシル+ロイコボリンあるいはフルオロウラシル+ロイコボリンのどちらかの投与を受けた患者1264例を直接比較した。

再発までの生存期間、全生存期間に関して、2群間で差はなかった。
毒性(副作用による死亡を含む)の発現は、イリノテカンを加えた群が有意に高かった。

研究者らはフルオロウラシル+ロイコボリンにCamptosar(イリノテカン)を加えてもステージ3結腸癌の治療結果を改善しないという結論を出した。著者は「転移性疾患の治療における進歩が必ずしも補助療法の進歩に変換できるわけではない」と述べた。

コメント

薬の数が多いほうが必ずしもよいわけではない例である。

参考文献

Saltz L, Niedzwiecki D, Hollis D, et al. Irinotecan fluorouracil plus leucovorin Is not superior to fluorouracil plus leucovorin alone as adjuvant treatment for Stage III colon cancer: Results of CALGB 89803. Journal of Clinical Oncology. 2007; 25: 3456-3461.

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翻訳担当者 舛田 理恵

監修 平 栄(放射線腫瘍科)

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