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局所進行直腸癌における生存率がMRIで予測可能に

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局所進行直腸癌における生存率がMRIで予測可能に

米国臨床腫瘍学会(ASCO)

局所進行直腸癌における生存率がMRIで予測可能に

 

連絡先:Nicole Fernandes 571-483-1354 nicole.fernandes@asco.org

 

本情報のダイジェスト・ 2011年8月29日付Journal of Clinical Oncologyオンライン版に掲載された試験の要約によると、進行直腸癌に対し術前治療の有効性を評価するため手術の前にMRIを撮影することは、全生存期間や無病生存期間と関連することが明らかとなった。・ ASCOの癌情報委員会のメンバーで腫瘍外科治療専門家のMorton Kahlenberg医学博士の研究からの引用である。・ 詳しくはASCO患者向けウェブサイトCancer.Netまで。

 

磁気共鳴画像法(MRI)を術前(ネオアジュバント)の化学療法または放射線療法に対する反応を評価するために使用すると、進行性直腸癌患者の生存期間が予測できる可能性が、新たな試験から示された。本知見から、ネオアジュバント療法の腫瘍における効果をMRIで評価することは、医師らにとってよりよい後治療を患者らに提供する助けとなることが示唆される。

 

手術前のMRI評価は、より強力な治療や,初回化学療法に抵抗性を示した患者に異なる化学療法を行ったり,手術計画を組み直すような場合など,様々な場面で患者の管理に役立つ。

 

「この試験は、MRIが初回放射線化学療法を完了した直腸癌患者に対し転帰を予測するということを示した最初のものです」と、イギリスサットンのRoyal Marsden Hospital NHS Trust放射線科の顧問放射線医師・客員シニア講師で、筆頭著者のGina BrownMBBS, MDは述べた。「放射線化学療法前後での直腸癌のMRIによるステージ分類や再評価は、全ての患者に対して常に行われているわけではありません。MRIを術前に使用すると、患者ケア過程の変更に役立てられ、医師がより有効な化学療法剤の選択するのを可能にしたり、場合によっては手術を避けるといったようなことも有り得るかもしれません。」

 

本試験(MERCURY試験)では、以前に術前放射線療法あるいは化学療法と放射線療法(放射線化学療法)を受けた111人の進行性直腸癌患者において、腫瘍縮小の評価にMRIを利用した。この患者群は2002年に開始された直腸癌のステージを改善するのにMRIを使用するという大規模研究に含まれたもので、彼らを5年間追跡調査した。治療後の腫瘍縮小の程度を示す「腫瘍縮小グレード(tumor regression grade、TRG)」や、治療後の腫瘍断端での癌の遺残を示す「環状切除断端(circumferential resection margin、CRM) 」を評価したり,あるいは、手術後の残存を予測した。MRIの結果を基に、患者らを放射線化学治療の反応が「良好」もしくは「不良」のどちらかに大まかに分類し、両群の生存率を比較した。

 

その結果、化学治療・放射線に対し反応が良好であった患者の72%が5年後も生存していたが、反応が不良であった患者の生存は27%であった。無病生存割合においては、反応が良好の患者では64%が生存したのに対し、不良の患者では31%であった。さらに5年後の局所再発割合は、MRIでCRMの残存が予測された患者では28%、対して腫瘍縁に癌を有しないと予測された患者では12%であった。

 

通常、直腸癌はステージが進んでから発見されており、結果、腫瘍を縮小させ切除を容易にしようとするため、しばしばネオアジュバント化学放射線が行われている。手術では癌が再発することを最小限にするために腫瘍を完全に切除しようとするものの、進行した癌は完全に除去することはかなり難しく、手術時に組織縁で目に見えない癌が残存する可能性がかなりある。切除断端に癌が認められる(外科切除の境界部で腫瘍が残存する)ことは、局所再発の強力な予測因子としてみなされる。

 

試験での患者111人のうち、73%(81人)は初回治療前に外科的周縁部で癌が残存していたと考えられた。ネオアジュバント治療後では、外科的周縁部で癌が残存していると予測された患者はわずか42%(47人)であったが,この群では依然として術前から再発のリスクがあったわけである。

 

「次なるステップはこれらの腫瘍反応グレードを利用し、その反応の程度を基準にしてどういった治療アプローチが最良であるかを決定することです」と、Brown氏は述べている。

 

Brown氏は、ネオアジュバント化学療法とその後に行う化学放射線療法を検討する今後の試験では、良好に反応し化学療法のみで十分な患者や手術前にさらなる治療が必要な患者のサブグループが同定できるのではないかと記している。術前治療で腫瘍の存在が認められなくなり、医師が手術の必要性を疑問視するケースもあり、こういった化学放射線のみで癌が残らず手術を猶予する患者に何が起こっているのかを調べる試験が開始されている。その他、肛門括約筋を長期間残すことができるというケースもあり,治療効果に関しMRIの結果を利用するというまた別の試験も計画されるだろう。

 

本試験の全PDFはこちら

 

ASCOの展望について: Morton Kahlenberg医師 ASCO癌情報委員会のメンバー、腫瘍外科治療専門家

「初回放射線化学療法を施し手術前にMRIを行うことで転帰を長期に予測でき、また手術前により積極的な治療に適している患者を同定できるということを示した点で、本試験は科学的・臨床的に非常に重要なものです。MRIを利用することで、手術前のさらなる治療の必要性が示唆されることもあるため,これにより、患者に対する標準的なケアの方向を転換しうるかもしれません.この重要な疑問に取り組むため、臨床試験が必要です。」

 

Cancer.Netの関連リンク集・ Journal of Clinical Oncology誌の癌アドバイス(JCO Cancer Advances)・ 直腸癌ガイド(Guide to Colorectal Cancer)・ MRIに期待できること(MRI – What to Expect)・ 化学療法を理解するために(Understanding Chemotherapy)・ 放射線療法を理解するために(Understanding Radiation Therapy)

 

Journal of Clinical Oncology誌は米国臨床腫瘍学会(ASCO)が3カ月ごとに発行する論文審査のある学術誌です。ASCOは癌患者の治療に携わる医師を代表する世界有数の専門機関です。

原文掲載日

翻訳山下裕子

監修林 正樹 (血液・腫瘍内科/敬愛会中頭病院)

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