2007/06/26号◆癌研究ハイライト | 海外がん医療情報リファレンス

2007/06/26号◆癌研究ハイライト

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2007/06/26号◆癌研究ハイライト

同号原文

NCI Cancer Bulletin2007年6月26日号(Volume 4 / Number 20)
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◇◆◇癌研究ハイライト◇◆◇

一般的な症状が卵巣癌を示唆する可能性あり

いくつかの一般症状のうちのいずれかに数週以上悩まされる女性は、卵巣癌の徴候である可能性が示唆されるため、医師(婦人科医が望ましい)の診察を受ける、という推奨が、新たな合意声明によってなされた。

婦人科癌基金(Gynecologic Cancer Foundation)、婦人科腫瘍学会(Society of Gynecologic Oncologists:SGO)とアメリカ癌協会によって発表された同声明では、一般女性に比べて卵巣癌を有する女性に発症する傾向が強いことが複数の試験で示唆された4症状を挙げている:1)膨満感、2)骨盤痛あるいは腹痛、3)摂食困難あるいはすぐに満腹を感じる、4)突然尿意をもよおす、または頻尿。声明文によると、「初期卵巣癌であってもこれらの症状がおこりうる」ことも示唆されている。

症状の後ろ向き調査を基礎とした「症状インデックス」による初期疾患検出の感度は約57%、進行期疾患検出の感度は約80%であり、さらに50歳未満の女性の特異度は90%で、50歳を超える女性の特異度86.7%に対してわずかに優れていることが、Cancer誌1月号に発表された最近のケース・コントロール試験によって明らかになった。

「早期の自覚症状が予後を改善するという裏づけはまだ存在しないが、早期の医学的評価や介入につながる可能性のある卵巣癌症状への意識が高まることにより、失うものは少なくとも得るものは多い」と、SGOの学会長Dr. Andrew Berchuck氏は声明で述べた。

卵巣癌患者が診断前にこれらの症状があることを申告したにもかかわらず、医師に精査してもらったり、「卵巣癌の可能性を疑う」ことさえ大幅に遅れた、と話すことがしばしばあると、NCI癌治療・診断部門のDr. Ted Trimble氏は語る。「この観点から、本声明は教育的プロセスの一環であり、時宜を得た適切なものである」。

フォックスチェイスがんセンターの上席統括責任者であるDr. Robert F. Ozols氏は、このような推奨を行う前に、前向きに収集したデータを含めたさらに強固なエビデンスを確認したいと述べた。彼はこれらの症状が実際に意味するところにも懸念を抱いた。

「この疾患の自然歴から発せられる大きな疑問は、これらの症状に初期診断を期待できるのか?ということである」と、彼は問いかける。これら症状の多くは「疾患後期とみられる、腫瘍サイズに起因する症状によるものである。」と、彼は述べる。

本合意声明は、「この疾患がある場合、すでに進行していることがあまりに多い」という苛立ちを表すものだとDr. Trimble氏は述べる。NCIが支援する他の研究プログラムはもとより、NCIのPLCOスクリーニング試験、卵巣癌スクリーニングのUK共同臨床試験など進行中の多くの試験では、卵巣癌の早期発見を向上させる方法が発見される見込みがあると彼は続ける。

初期膵臓癌患者は手術を提案されていない

手術の対象となるI期膵臓癌患者の治療に関する米国内初の包括的レビューによって、明白な生存ベネフィットがあるにも関わらず、10例中4例にのぼる患者に手術という選択枝が提案されていないことが明らかになった。

本試験の実施にあたり、研究チームは1995~2004年のAmerican College of Surgeons’ National Cancer データベース上の全膵臓癌患者のデータを解析した。このデータベースは米国で膵臓癌と診断された全患者の76%をカバーしている。I期患者は9559例であった。

全体として、手術を受けたI期患者は28.6%に過ぎなかったと、ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のDr. Mark S. Talamonti氏らはAnnals of Surgery誌6月14日号電子版において報告した。しかし合併症や年齢、手術拒否などで手術を行わなかった患者を除くと、手術が提案されなかった患者は38.2%であることが明らかになった。

手術が提案されないことに関与していた因子は、年齢66歳以上、アフリカ系アメリカ人、メディケイドやメディケア加入者、治療実績が少ない病院あるいは地域病院で治療を行っている、などであった。

また、膵頭部腫瘍(通常ウィップル手術と呼ばれる術式を要する部位)の患者では手術が提案される可能性が低い。この手術はこれまで死亡率が高く困難であると考えられてきたと、共著者であるDr. David Bentrem氏は述べる。しかし過去20年でこの手術の安全性は劇的に向上した、と彼は続ける。

手術が十分に行われていないという問題を改善することは至難の業です、とDr. Bentrem氏は認めた。

「一部のグループは地域的ケアを提唱しており、膵臓癌や食道癌などの困難な癌の手術に対しても、地域ケアが有用になりうると主張している」と、彼は付け加える。「しかしこれらの癌に対しても、もし大規模施設と小規模施設がより密接に協力すれば、患者が最良のケアを受ける一助となるであろう」。

小児に対する非血縁臍帯血移植は骨髄移植に比肩する

急性白血病の小児に対する非血縁臍帯血移植と骨髄移植を直接比較した初めての試験により、臍帯血移植は骨髄移植に劣らず、ある条件下では骨髄移植をしのぐ可能性があることが示された。本結果はLancet誌6月9日号に掲載された。

研究者らは国際血液・骨髄移植研究センターとニューヨーク血液センターの国立臍帯血プログラムから、16歳未満で臍帯血移植を受けた小児503例と骨髄移植を受けた小児282例のデータを用いた。

2抗原が不適合の臍帯血を移植した患者で再燃率が低いという、移植片対白血病効果がより強いことと整合性がある結果を除いて、臍帯血移植患者と骨髄移植患者の再燃率は同等であった。

臍帯血が適合している、あるいは細胞数が多い場合の臍帯血移植患者の死亡率は骨髄移植患者の死亡率と同等であった。白血病再発のない5年生存率は適合骨髄移植患者で38%、不適合骨髄移植患者37%、適合臍帯血移植患者60%、1抗原不適合で細胞数が少ない臍帯血移植患者36%、1抗原不適合で細胞数が多い臍帯血移植後で45%、2抗原不適合の臍帯血移植後では33%であった。

臍帯血群、骨髄群ともに、白血病再発が死亡原因として最も多かったが、2抗原不適合の臍帯血移植患者では比較的低かった。その他の死亡原因には移植片対宿主病、間質性肺炎、感染、臓器不全が含まれる。

本試験が後ろ向き、非ランダム化試験であるという弱点に留意しつつも、著者らは悪性疾患がありドナーが制限されている小児に対する最良の移植源を決定するために、細胞数および抗原適合性と、骨髄回復までの時間および生存との間にある明確な関連性を利用しうると指摘した。「HLA適合と細胞数が生存にとって重要であることから、臍帯血へのさらなる投資が必要であることをわれわれの知見は裏付けた」と彼らは記した。

年1回のマンモグラフィーは高齢乳癌サバイバーの死亡率を低下させる

65歳を上回る年齢の乳癌サバイバーに対して行う年1回のマンモグラフィー検査は、乳癌死のリスクを再発あるいは新しい原発癌のいずれであっても、劇的に低下させる。Journal of Clinical Oncology誌の電子版6月4日号に掲載された結果では、年1回のマンモグラフィーの継続は女性の乳癌死リスクをそれぞれ約31%低下させることが示された。すなわち、その低下を複合して計算した4年目までの累積リスクは88%カットされた。

ボストン大学のDr. Timothy L. Lash氏が本コホート研究の筆頭著者であった。本研究は人種的、地理的多様性が最大となるように選択した6箇所の癌研究ネットワーク(Cancer Research Network:CRN)から、乳癌患者1846例を特定した。1990年~1994年に乳癌I、II期と診断され、試験の趣旨より、最初の乳癌治療終了90日後をもって「サバイバー」とされた全女性とした。5年以内に死亡した178例を634例のコントロールと精確にマッチさせた。年1回のマンモグラフィーの予防的効果はI期女性と、乳房切除術を行った患者、年齢80歳以上の女性で最も高かった。

論説欄で、ワシントンDCにあるロンバルディ総合がんセンターのDr. Jeanne Mandelblatt氏は、NCI出資の12の大規模マネージドケア・システムのコラボレーションであるCRNから得た「質の高い観察研究」を推奨した。この大規模コホート研究は、この疑問に対して示しうる最良のデータを提供している。なぜなら「マンモグラフィーなし」に女性をランダム化する臨床試験は、サバイバーに対し年1回のマンモグラフィー検査を推奨する現行ガイドラインを無視するものであるからである。

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Okura 訳
林 正樹 (血液、腫瘍医) 監修

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